阪西:皆さんこんにちは、ナビゲーターの阪西です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは、森辺一樹です。
阪西:今日は森辺さん、お話したいことがあるっていうことですが、お聞きしてよろしいでしょうか。
森辺:今日はそうですね、実は先週ですね、海外からディストリビューターが来日していて、私と同じ世代のディストリビューター。一代で数十億のディストリビューターを作り上げた人もいれば、二代目ぐらいで数百億のディストリビューターのご子息もいると。アジア中からディストリビューターが色んな仕事で来日をしてもらって、一緒に何日間か日本で過ごすことが仕事柄あるんですけどね。その時にお酒を飲みながらざっくばらんにディストリビューターの人達と話をしていて、僕はとても悔しいというか悲しいというか、そういう思いをしましたというエピソードなんですけどね。
何かって言うと、お酒の入った場なんですけどね、彼らが「Kazuki」と。下の名前が一樹なんで「Kazuki」と呼ばれてますけど、「Kazuki,Japanese company is sleeping.」って言うんだよね。「日本の会社は寝てる」と。「いつまで寝てるんだ?あいつらは」と。どういうことかと言うと、結局一時代中国やアジアのディストリビューターから見たら、日本の商品を取り扱えるなんて物凄い誇りあることだったわけですよ。そんなハイクオリティで世界に誇る日本のメーカーの代理店をやれるなんていうのは、物凄く幸せなこと。80年台90年台ぐらいまでかな。でもそれが今では、中国や韓国の企業でもエレクトロニクス系は作れるようになったし、消費財に関してだって、今やアジアで一兆円超えるような消費財メーカーも出てきてるし、欧米の先進グローバル消費財メーカーの進出も激しいと。
そんな中で、総じて日本のメーカーはね…今回集まったディストリビューターっていうのは消費財のメーカーだったんで、消費財のメーカーのことを言ってるんだけど、一兆円の売り上げが越えてるか、まあ5000億あるとかね、でっかいのは分かってるけど、いつまで寝てんだろうねあの人達と。日本では高いマーケットシェアを上げてるけど、世界で見たら小さな会社だと。彼らがいつ目を覚ますんだろうと。
ユニ・チャームは半分寝ぼけてるけど、ようやく起きてるよね、と。まだいいねと。ユニ・チャームは日本の中では先進的なグローバル企業だから。そのユニ・チャームのことですら、彼らは半分寝ぼけてるって言うわけなんだよね。味の素も、まだ3分の2は寝てるねと。
結局彼らは、日本の企業は自分達のマーケットがあまりにも大きいから、アジアのマーケットを軽視して、日本のマーケットにずーっと着目してきたんだろうと。今日本の人口が減って、高齢者の胃袋にそんなに沢山の食品も、日用品もそんなに沢山の量使わないことが目に見えて分かっているにも関わらず、まだ寝てると。その間に俺たちはローカルのメーカーの商品を担ぎ出すぞと。欧米先進グローバルのメーカーの商品を担ぎ出すぞと。速くKazuki彼らを起こしてやれよ、っていうことを言うわけですよね。
でも残念ながら多くの消費財メーカーのお客様とお付き合いしてて、失礼を承知で言いますけど、彼らが言う寝てるっていう表現は、先進グローバル企業の、今のアジアでの取り組みの力の入れ方を見てたら、決してそんなことは無いとは僕は言い返せなかったわけなんだよね。僕が言えたのは、眠れる巨人がね、もう起きるぞと。巨人が起きたら凄まじいぞっていう、負け犬の遠吠え的な話しか僕はできなかったんだけど。
何が言いたいかというと、彼らが既にそう思ってるっていうことなんだよね。彼らローカルの人達の間の中では、そういうこと言ってるわけですよね、日本の企業はまだ寝てると。クオリティが高いから後で入っても大丈夫と思ってたら大間違いだと。今入れてないやつが後でなんか入れるわけ無いと。
「sleeping」って言ってるわけですよね。日本に僕のホストで彼ら来てね。でも地元のディストリビューター仲間は「何で日本にいるんだお前は」「いや、ちょっと日本でビジネスを」言ったら、彼らがメッセージで「日本に行ったって、皆んな寝てるだろ」みたいな、っていうのを流してきて、それを僕に見せて「どういう意味?」っていうところから、お酒のテーブルで盛り上がったら、「いやマレーシアでもインドネシアでもフィリピンでも中国でも、皆んなそいういう表現使ってるよと、ディストリビューター連中は。日本は寝てると。寝ぼけてる」と。
日本人の前では本音は語らないですよ。たとえ今取り引きしててもね。けど腹の中ではそんな風に思っているんだよっていうね。でもそれは確かに、今のアジアの消費財メーカーや欧米の先進グローバルメーカー見てたら、まだまだ日本の消費財メーカーがやってることなんて、寝ぼけてるって言われたってしょうがないレベルでね。僕はそれが悲しかったなーって思って、ちょっとまだブルーなんですよね。
阪西:ショックですね。
森辺:なのでね、僕今日ちょっとトーンが低いんでね。調子が良いとどこまでも乗っていくんですけど、打ちのめされるとしゅーんとなっちゃうのよ、僕の特徴でね。これは褒められて育てられたからだと思うんですけどね。でもね、リスナーの皆さん、消費財のメーカーさん多いと思うんですけど、眠れる巨人は起きたら強いっていうのをね、日本企業もっともっと証明していかないといけないし、物を作らしたらどこの国の商品にも負けないわけなので、これからはその物作りだけじゃなくて、いかにチャネルを作って欧米の先進グローバル消費財メーカーであったり、ローカルの消費財メーカーを叩きのめしてシェアを上げていくかっていうことを考えて行きたいなと。海外売上比率を気にするような輸出ビジネスではなくて、いかに現地のマーケットシェアにインパクトを与えるチャネルビジネスをやるかが、メーカーのグローバル展開の本筋だと僕は思ってますので、是非頑張ってもらえたらなという風に思っております。
何か今日は暗い話ですいません。以上です。
阪西:はい、ではそろそろお時間になりましたので、この辺で終わりたいと思います。
森辺:ありがとうございました。
阪西:ありがとうございました。