東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、前回は販売面で重要なことは?ということだったんですけども、売上を実際に上げるためにマネージメントをしていかなければいけないというのをよくおっしゃるんですけども、マネージメントをしていく上で管理指標というか、数値が必要だと思うんですが、その辺はどうしていったらいいのかというのを少しかみ砕いて教えていただければと思うんですけど。
森辺:多くの日本企業が海外で事業をするときに、売上を拡大させるためのKPIの設定がない、もしくは間違っていると。基本的に、前年度何%アップみたいな大枠だけ決まっていて中身のKPIが決まっていないというケースがやっぱり多くて。メーカーさん、消費財メーカーの場合、ストアカバレッジとインストアマーケットシェア以外に設定するKPIなんてないはずなんですよ。ストアカバレッジというのは間口のことを言っているんですけど、いかにたくさんの間口に置けるか、これはMT、TT含めて、ということと、置いた間口でいかに競合の商品よりもたくさん売れるか、インストアマーケットシェアというのは、例えばですけど、店販の売上が10万だとして、10万のうちの3万がチョコの売上でしたと、でも、チョコは3社で3万を構成していますと。そうすると、このチョコの売上が、店の売上が10万しかないのに、いきなり5万とか8万とかになるわけないんですよ。例えば、3万だったら3万なんですよね。いかに競合から奪っていくか、要は、1社均等割りしたら1万だけどもそれをいかに1万5,000円にするか、2万円にするかということが重要で、その指標を僕は、インストアマーケットシェアと呼んでいるんですけどね。それの2つをひたすら追っていくことはすごく重要で。そもそも、日本の消費財メーカーはストアカバレッジが足りなさすぎる。万単位にやれていると言うと少ないですよね。やれているところはやっぱり売上がしっかり立っていますもんね。
東:もう1回、そのストアカバレッジとインストアマーケットシェアをそれぞれ教えていただければと思うんですけど。
森辺:ストアカバレッジは間口です。自分たちの商品が置かれている間口数を、僕は横軸でストアカバレッジと呼んでいると。これをいかに1万、2万、3万、10万と増やしていくかということが重要で。同時に間口に置いた自分たちの商品が、いかに競合他社の商品よりも多く選ばれるか、競合の製品は5人に1人が選ぶんだけど、自分たちの商品は3人に1人が選ぶという状態がインストアマーケットシェアですよね。この2つを上げるためにすべての営業活動、セールス活動、マーケティング活動というのはあるべきで、ここのKPIがやっぱり日本企業というのはしっかり設定されていないから、余計なことをやっているんですよね。この2つしか、例えば、ユニリーバとかネスレなんてこの2つしかやっていない。このKPIを、2つのKPIをどれだけ管理していくかということがもうすべてになっているので、うまくいっている会社はだいたいそうですよね。
東:その、ちょっと初めて言葉をお聞きになるリスナーもいらっしゃると思うんですけども、その2つが上がるとなんで売上が上がるのかというのを簡単に説明していただければと思うんですが。
森辺:例えば、1店舗で商品を売っていても、当然、1店舗で売るより10店舗のほうがいいじゃないですか。10店舗より100店舗のほうがいいと。なので、ストアカバレッジが高いほうがいいというのはいいですよね?
東:はい。
森辺:インストアマーケットシェアのほうは、要は、置いても売れない商品って世の中にいっぱいあって。僕らが、今、コンビニで見ている商品というのは、売れ筋だということをコンビニ側がPOSデータで全部記録を取っていて売れるというのが分かっているから、あれ、置いてくれているわけですよね。アジアなんかに行くと、棚代と言って棚に置くのにお金を取るわけですね。売れなかったら、彼らは損じゃないですか、置いている分、売れないので、小売にしてみたら。なので、どんどん、どんどん、撤去されていくので、いかに売れるかということがすごく重要で。日本の企業、日本でビジネスしていると、もうコンビニに置いたら売れるの当たり前なわけですよ。日本にある消費財メーカーなんてみんな有名な企業ばっかりですからね。売れない商品をつくっているところなんかとうに淘汰されているわけで。でも、海外に行くと無名の状態で始まるわけだから、置いたって売れないわけですよ。そうすると、日本では置くことしかないんですよ、置けば売れるので。あとは、プロモーションをバンバン打ってどれだけ売上を稼ぐかという。ただ、アジアに行くと、この「置くこと」と「選んでもらうこと」、これを両方突き詰めていかないといけないので、ストアカバレッジを伸ばしながらインストアマーケットシェアを上げるということをやらないと、なかなか収益が立たないということですね。
東:分かりました。森辺さん、今日はここまでにしたいと思います。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。
<終了>