小林:皆さん、こんにちは。ナビゲーターの小林マアヤです。
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。
小林:森辺さん。前回に引き続き、本日もですね、マーケティング研究協会主催の、食品・飲料・菓子・日用品等の消費財メーカー向け「ASEANへの輸出を劇的に伸ばすための戦略的チャネル構築」、こちらのセミナーで出た質問について、ご回答いただきたいと思います。
森辺:質問ばっかで、リスナーの皆さん、退屈してないですかね。大丈夫かな。
小林:そうですね。
森辺:一生懸命答えるよ。
小林:お願いいたします。
森辺:今日の質問は何かな。
小林:本日の質問なんですけども、代理店以外からの情報収集の仕方はどうするべきか?との質問です。
森辺:覚えてます。この質問の前提にあったのは、自分たちは輸出でASEAN攻めてますと。ASEANには10年20年付き合ってるディストリビューターがいて、現法はないですと。そんな中で、年に何回か定期訪問してるわけなんだけども、自分たちの情報ってのは、すべてディストリビューターから得ているものであって、そのディストリビューターが言うことがすべてになっちゃってると。売上げが悪くなったりしたら、その理由はディストリビューターが言いますと。まあ教えられるんだけども、結局それがすべて。例えば、自分たちはもっと配荷率増やしたいんで、あの小売り行こう、この小売り行こう、その小売り行こうって言うんだけど、「あそこは行かない方がいい」とか「メーカーは一緒に来ない方がいい」とか、なんだかんだ理由つけて、メーカー側がやりたいこと・やろうとしてることっていうものを、色んな理由をつけて全部否定していくと。「俺たちに任しとけ」と。「大丈夫だから」と。「日本のメーカー、何も分かってないんだから」と。大概の場合は、ASEANのそういう輸出をやっているディストリビューターのマネジメントなんてのは、20代30代の若手が担当するわけですよ。出張ベースで。向こうは、ディストリビューターのオーナーつったら、50代・60代。その下に、もうちょっと年上のあれがいて、若手がその下にいるって中でね。日本人の優しい2・30代の海外担当なんてのは、ちょっとペロッとやってしまったら、いくらでも言うこと聞かせられるので、そういうディストリビューター非常に多い。悪気無いんですよ、彼らも。日本企業も現地のことよく分かってないし。実際問題ね。「分かってない奴は口出すな」と。「俺たちに任しとけ」って。当然そうなんだけども、そういうケースってよくあると。ただ、メーカー側としては、必ずしも自分たちのディストリビューターが言ってることがすべて正しいんじゃないんじゃないの?と、なんとなく思ってんですよ。ただ、思ってんだけども、そのディストリビューター以上にマーケットのことを知らないから、それに対して意見をぶつけたり議論をしたりするっていうことができない。ただ言われたら言われっぱなしで、聞くしかないと。飲み込むしかないと。それに対するフラストレーションの質問が、これなんだよね。要は、ディストリビューター以外に、情報を得れる方法はないんですか?と。そんなのはお金かけて調査するしかないし、自分たちが現場にディストリビューター以上に入り込んで、情報を自分たちで得ていくしかないわけですよね。そんなのはやっぱり、日本でパソコン見てたって絶対情報手に入らないんで。我々が色んな調査をお客さんから依頼されるってのは、まさにそういうことで依頼をされるわけだから、それは、情報はしっかり金で買う、自分たちの足で得るっていうことをしないといけないし。ディストリビューターも、悪気無いんですよ。日本のビジネス考えたら当たり前だと思うんですけど、メーカーよりも問屋の方がマーケットを知ってるなんてことは、絶対あり得ないわけですよ。メーカーの人たちは、自分たちの商品・ビジネスに命かけてるから、誰よりも日本の消費者のこと分かってるし、誰よりも、問屋よりも小売りのこと分かってるでしょ。けど、アジアに行くと、問屋の方が消費者のことやその国の市場のことを分かってて当たり前、っていう発想がそもそもおかしくて。そんなん、自分たちの商品売ってるんだから、現地のディストリビューターって問屋ですよ。問屋よりも、消費者のことは分かってないといけないし、中間流通のことも小売りのことも、やっぱり分かってないと、そりゃ問屋の言いたいようになるしね。現地のディストリビューターは、言ったよね、活動のROIを最大化したいわけですよ。つまりはね、自分たちはこの100店舗だけを売ってたら、一番ROIがいい。リターン・オブ・インベストメントがいいって。要は、儲かるんですよ。例えば100店舗ね。100店舗なんて、現実的にはあり得ないけど、この100店舗だけ売ってたら、もうそこはルーティンで活動範囲になってるわけですよね。他の商品も入ってるし、必ず行く。既にリスティング・フィーも過去に支払ってるから、リスティング・フィーが償却済み。そういうとこにだけ頑張って営業をすると、言ったら全部利益なわけじゃないですか。日本のメーカーから「100店舗じゃ足んないから、もう100店舗新規取ってきて」って言われると、今度そこにセールスマン行かせて、リスティング・フィー払って、メーカーはどうせ、輸出でやってる日本企業なんか、リスティング・フィー払うって発想ないからね。プロモーション代も出すっていう発想無いわけだから、若干の援助はしたとしても、かなりのリスクをディストリビューターは取らないといけないと。そうすると、利益率が一時的に悪くなるわけですよ。でも、そこでしっかり投資すればその後儲かるってことがたとえあったとしても、やっぱり目の前の利益を見るし、将来こうなる・ああなるなんていうことをストラテジックに、戦略的に考えたりする、その発想をそもそも持ち合わせてないような人たちだったりもするわけですよね。それをどう彼らと話して、彼らに腹墜ちさせて理解させてやっていくかっていうのが、本来のメーカーのあるべき姿なんだけども、なかなかそうなってないってのが、日本の輸出ビジネスをやっているメーカーの残念なとこなんだけども。でも、そこが変わらないと、劇的なビジネスの成功ってのは、ASEAN・アジアではあり得ないので、やっぱ、ここは日本の輸出ビジネスをやっているFMCGメーカーの一つの大きな課題なんじゃないかな、と思うんだけどもね。こんな回答で大丈夫ですかね。
小林:大丈夫と思います。ありがとうございます。
森辺:はい。
小林:では、お時間もやってまいりましたので、本日はここまでにいたします。リスナーの皆さん、ありがとうございました。
森辺:はい、ありがとうございました。
<終了>