第158回 アジア新興国市場 マーケティング・ミックス(4P)まとめ
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、この間違ったマーケティング・ミックスと正しいマーケティング・ミックスのまとめということで、前回、前々回とやってきたわけですけども、非常に重要なことなので今回まとめということでお話をしたいと思います。日本の企業がグローバル市場に参入をする、アジア、特にアジア新興国市場に参入をするうえで、これはB2Cの企業であってもB2Bの企業であっても、僕は最も重要なことは「ターゲティング」と「4P」だというふうに思っています。(4C)というふうに捉えてもいいかもしれませんが、いかに自分のターゲットを明確にするかということと、そのターゲットに対して適切な4Pを打つかということが戦略の一番重要な部分だというふうに僕は思っているので。この今、日本の多くの消費財メーカーが間違った4Pを展開をしていて、これをいかに正しい4Pに変えていくかということはすごく重要で。本当に正しい4Pができている会社というのはほんの一握りで。これは、例として分かりやすく消費財、FMCGの話をしていますが、B2Bでも一緒で、これからお話することを皆さんがB2Bの部品メーカーだったら、自分たちの事業に置き換えて聞いていただければいいと思いますし、設備メーカーであったり、サービス産業でもいいですけども、自分たちに置き換えて考えてもらえれば分かりやすいんじゃないかなというふうに思います。
消費財、FMCG、食品・飲料・菓子・日用品等の消費財メーカーを例にしてお話をしますが、まず4Pが間違っていて。これ、非常に重要なんですけど、順番がターゲティングから4Pなんですよね。いかに自分のターゲットを明確にするかということは、まず最初にあって。そのターゲットに対して4Pを考えないといけない。にもかかわらず、日本の多くの消費財メーカーは、まず4Pがあって。じゃあ、この4Pに当てはまるターゲットってどこかな?でターゲットというものがつくられる。どういうことかと言うと、アジア新興国の最大の魅力というのは、中間層なんですよね。2030年に30億人に拡大する爆発的な中間層、この数の原理でアジア新興国というのは魅力的になっている。さらに、FMCG、食品・飲料・菓子・日用品というビジネスモデルは、いかにたくさんの人に、いかに早い頻度で、いかに繰り返し、いかに永遠にその商品お買い続けてもらうかということがビジネスモデルの根幹で。そうすると、やっぱり数がすごい重要。100円200円のものを売っているわけですから、もう数なんですよね。これが、1箱5,000円のチョコレート、1本5,000円の化粧水を売っているというんだったらまた話は違うわけですけども、そうじゃない限り、もう絶対数なんですよ。そうすると、やっぱりターゲットは中間層。このことも日本の消費財メーカーは分かっています。頭では分かっているんだけども、4Pが間違っちゃうから、結局、中間層からターゲットが軸ブレして、上位中間層とか富裕層、まずは富裕層ね、「まずは」という言葉が付くんですけど、まずは富裕層、そして永遠に富裕層というところから抜け出せなくなってしまう。どういうふうに間違った4Pかと言うと、この図の通りなんですが、日本で実績のある商品を、できればさほど変えずに売りたいというのがやっぱり本音にあるわけですよね。原材料を変えるとかって、まあ大変なわけですよ。原材料を変えて何か起きたら誰が責任を取るんだと。自分たちはこのクオリティ以下に落とすことで、自分たちの存在意義はあるのかと。自分たちの存在意義云々の前に、重要なのは、いかにアジア新興国の中間層が求める商品をつくるかということが重要で、それがビジネスなわけで。自分たちの存在意義を発揮するためにビジネスをしているんじゃないわけですよね。そうすると、やっぱりこのProductがまず間違っちゃっている。そして、次に間違っちゃっているのは、少しは安くするけど、できれば日本と同じぐらいの価格で売りたい。これが日本の消費財メーカーの本音。でも、重要なのは、アジア新興国の人たちが賄える価格じゃないといけない。中間層が賄える価格、賄えるというのが非常にミソで。賄えるというのは生活の中に取り込むということです。日用品に、食品・飲料・菓子・日用品なので、1回2回3回4回買うことは誰にでもできると。賄うというのは、自分の生活に取り込んで、それを長い期間ずっと買い続けてくれるということで、そうしないと意味がないわけですよね。そうすると、やっぱり価格は賄える価格に設定しないといけない。3つ目、Place、これもいわゆる日本では伝統小売というのは存在しないので、基本的には日本の消費財メーカーは、日本で慣れ親しんだ近代小売を中心に商品を配荷をするわけですけども、ディストリビューション・チャネルも近代小売中心につくっていくわけですよね。でも、この番組でも過去にお伝えしていますけど、重要なのは伝統小売で。近代小売と伝統小売をいかに同時にやるかということが重要で。中間層が買いやすい売り場に並べるということがものすごく重要なわけですよね。それで、中間層というのは近代小売でも買うけども、伝統小売でも買う。だから、近代小売も伝統小売も両方やらないといけない。にもかかわらず、近代小売を中心としたディストリビューション・チャネルになっちゃっているということが間違っていて。4つ目のPromotionに関しても、できれば実績が出るまで、Promotion費用はかけたくないなと。これも、中間層が選びたくなる仕掛けをしないと、並べるということはチャネルの力で並ぶんですけども、並んだものというものは、イコール競合と隣り合わせに小売に並ぶわけですよね。それが、消費者が、あなたの会社の商品を選ぶということは、やっぱり何かしらのトリガーがないと選ばなくて。アジア新興国の人たちにとって1ドルは大変重要な価値なので、知らないものを買って食べるということはほぼ少ない。日本よりも少ない。そうすると、皆さんの会社は、アジア新興国では、日本よりも知名度がないし、信頼も安心もないわけですよね。そうすると、いかに自分たちの商品を選んでもらう、仕掛けをするか、Promotionをするかということが非常に重要で、この間違ったマーケティング・ミックス、日本で実績のある商品を、できればさほど変えずに、少しは安くするけど、できれば日本と同じぐらいの価格で、日本で慣れ親しんだ近代小売を中心に、できれば実績が出るまでPromotionは投資したくないなと、こういうこふぉをやっていると、必然的にターゲットは中間層からずれていって、結局、上位中間層とか、まずは富裕層、そういう話になっちゃうわけですよね。なので、ターゲティングがあって4Pじゃなくて、もう自分たちの4Pが日本での実績がベースになっちゃっていて、それが固まって基本の根底にあって、それに合うターゲットに行かざるを得ないというのが今の日本の消費財メーカーのいわゆる戦略になって。だから、うまくいかないわけですね。だから、伝統小売の攻略がいかなくて、マーケットシェアが獲れなくて、利益が上がらなくて、なかなかうまくいかない。
一方で、スライドを切り替えてもらって、正しいマーケティング・ミックスというのは、やっぱりターゲットがもう明確にある。もう、これは動いてはいけない・先進的なグローバル消費財メーカーのユニリーバとか、ネスレとか、P&Gとか、それこそジョンソン&ジョンソンとかコカ・コーラとか、そういった会社は、ターゲットが絶対にブレない。「中間層がアジア新興国のおいての最大のターゲットです」ということを明確に最初にまずfixしてしまうと、じゃあ、このターゲットに対してProductはどうあるべきだ?中間層が求める商品であるべきだと。じゃあ、Priceはどうあるべきだ?と、中間層が賄える価格であるべきだと。じゃあ、Placeはどうである?中間が層買いやすい売り場に並べるべきであると。そして、Promotionに関しては中間層が選びたくなる仕掛けであるべきだということになってくるので、ターゲットに対して4Pが明確、むしろ4Pというより、4C観点で描かれる、それが戦略にそのままなるわけですよね。だから、中間層の攻略に成功する、結果、マーケットシェアが高くて利益が出ると、こういう構造になっているわけなので。やっぱりこの4Pが本当に戦略上は最も僕は重要だと思っているので、日本企業は、ターゲティング、ターゲットをまず明確にして、それに対する4Pをいかに描くかと、これは必ずしもFMCGだけじゃなくて、B2Cだけじゃなくて、B2Bの企業にも言えることなので、今一度、皆さんの会社の4Pを整理していただいて、ターゲットが明確になっているか、そのターゲットに対して4Pが最適化されているか。それをしっかり見ていけば、皆さんの会社は、もともと日本企業というのはものづくりに長けている会社なので、もっともっとグローバル展開に成功するんじゃないかなというふうに思います。
それでは今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。