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第159回 【Q&A】アジア市場 MTとTTは同時に攻めないといけないのか?

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、この番組に寄せられる皆さまからのご質問にお答えをしていきたいと思います。よろしくお願いします。それでは、今日の質問をお願いします。今日の質問、「ASEAN市場では本当にMTとTTを同時に攻めないといけないのか」と、消費財メーカーさんからの質問ですね。

まず、結論から申し上げますと、答えはYESです。ただし、ASEANと言っても、主に3つのパート、9つの国から構成されるので、国に。まずここでASEANを整理したいんですが、われわれがASEAN市場と言ったときに主に日本企業が現在ターゲットとしている国というのは9つあって、それは大きく3つのパートに分けられると。どういうパートかと言うと、まず、SMTと言われる先進ASEAN、先進的なASEANですよね。これはシンガポールやマレーシアやタイランドと言って、MT比率が比較的高い国。シンガポールなんかはほぼ100%なんですが、MTというのは近代小売の略ですね、それが1つ。その次に日本企業がなかなか攻略で苦しんでいるVIPと言われるベトナム、インドネシア、フィリピン。まさにこれから発展をしていくと言われている新興ASEANと言われるVIPですね。そのあとがメコン経済圏と言われるミャンマー、ラオス、カンボジアという後進ASEANの3つに主に市場が分けられて。難易度としては、やっぱりSMTというのは日本に非常に近い市場なので、比較的MT化が進んでいる、小売の近代化が進んでいるので、近代小売だけで商売をしていても、実際には、現地法人があるなしにもよりますが、そんなに大きく赤字になることはないと。基本的には、どれぐらいの規模の現地法人がそこにあるか、現地法人を設置するということはコストがかかるということなので、そのコスト、オーバーヘッドを超えられるかどうかというのが問題になるので、構えている現地法人にもよるんですが、基本的にSMTというのは、近代小売だけでもビジネスが成り立つと。シンガポールはほぼ100%、小さな国ですけど、小売の近代化は済んでいるし、マレーシア、タイは40~50%はもうすでに近代小売です。一方で問題なのは、このVIPとメコン経済圏で、ミャンマーとカンボジアとラオスというのはかなり上級で、SMTやVIPで成功していないのに、いきなりミャンマー、カンボジア、ラオスに行って成功するかと言うと、これはなかなか難しいので、ここは一旦、今日のお話からは外しておく。

そうすると、このVIPが問題になるわけなんですが、VIPは、特に今回のこの質問、MTとTTを同時に攻めないと駄目なのかということなんですが、答えは本当にYESで。なぜかと言うと、結局、MTだけでは商売にならないんですよね、消費財メーカーにとって。これってもう店舗数ベースで見ていくと非常に火を見るより明らかで。例えば、MTの数、ASEAN6と言われる今のシンガポール、マレーシア、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピンのこの主要な6カ国で、MTの数が最も少ないのがベトナム、約2,000店舗ぐらいしかないです。近代小売が約2,000店舗。ホーチミン、ハノイ、ダノン、あらゆる都市を全部合計して2,000店舗しかない。近代小売が2,000店舗しかないと、週販どれぐらい売ったって、絶対にこれ、現地法人持っていたらもう、プラスにはならない。一方で、TTってベトナムにどれぐらいあるかと言うと50万店存在すると。うち、食品が置けるようなTTって30万店存在するわけですよね。そうすると、このMTだけでは週販2,000店舗ですから、仮に100%の配荷率を獲ったって絶対にプラスにはならない。どれだけMTを獲って、MTで売れることによってTTのオーナーがそれを取り扱いたいという意欲になりますから、取り扱ってTTをどれだけ間口を広げられるかということが勝負で。同時に攻めないとまず儲からないということが1つの理由だし。あと、TTに置かないと、2,000店舗と50万店だったら、当然儲からないわけなのでTTに置かなきゃいけないんだけど、このTTのオーナーさんが取り扱い、狭い店舗、横2m、奥行き2mみたいな狭い店舗で、あまりたくさんのものは置けないと。もうすでにギチギチにものが置かれている状態で、本当にそこで置きたいものって、やっぱりMTで売れ筋のものしか置きたくないわけですよね。そうすると、いかにMTで売れ筋になっているかということが非常に重要になるので、その2つの意味でMTとTTは同時にやらないといけない。「なぜTTやらなきゃいけないの?」「MTだけじゃ儲からないから」「なぜMTやらなきゃいけないの?」「MTで売れていないものはTTのオーナーが取り扱わないから」という、こういうロジックになるわけですよね。

じゃあ、MTが最も多いASEANの国ってどこかと言うとインドネシアなわけですよね。インドネシアは3万5,000店あります。ただ、3万5,000店のうちの3万店はアルファマートとインドマレットって2社のローカル系のコンビニエンスストアなんですよね。セブンイレブンが1年…、去年、一昨年ぐらいに撤退しましたけども、セブンイレブンが撤退をせざるを得ないぐらいにこの2社のローカル系のコンビニエンスストアの撃侵というのは非常に大きいわけですよね。2社で3万店ですと。3万5,000店の近代小売、MTのうちの3万店をこの2社が獲っていたら、どれだけ小売の交渉力が、この2社の交渉力が強いかということは火を見るより明らかで。そうすると、この2社に置けないと、ほぼほぼ残り5,000店舗ぐらいしかないので、これまた非常に問題で。一方で、インドネシアってTTどれぐらいあるかって言うと、300万店存在するんですよね。ASEANで最も多い300万店。なので、やっぱりこのインドネシアも近代小売を押さえつつ同時にTTを押さえるということをやらないと、なかなか黒字化していくということは難しい。フィリピンでも、これ、近代小売が6,000店、一方で伝統小売は80万店ぐらいあると。インドなんて言うと、もう計測が不可能なぐらいの数があって、金額ベースで99%もう伝統小売の市場というのがまたインドの市場で。いわゆる新興ASEAN、VIPと言われる、これからまさに成長していくようなASEANですらそれだけTTが大変だと。ただ、このTTに投資することで、今度、メコン経済圏、次なる市場、メコン経済圏でもそのノウハウというのは生きてくるし、さらにインドの市場、もっと言うとアフリカの市場でも生きてくるので、決してそのノウハウは無駄にならないということだと思います。

なので、この質問者からのお答えに答えるとすると、答えはYESで、やっぱり同時にやらないといけない。なぜ同時にやらないといけないかと言うと、もうMTの数だけでは儲かりません。もちろん、「うちは1億やればいいんです」「2億やればいいんです」とそういう桁でお話をされるのであれば、MTだけやっていればいいんでしょうけども、「100億200億1,000億やりたいんです」「シェアでマジョリティ獲りたいんです」「欧米の先進グローバル企業にも勝ちたいんです」ということであれば、やっぱりMTだけでは駄目でTTをやらないといけない。数の原理でTTをやらないといけないということと、もう1つがTTのオーナーはMTで売れているものしか取り扱わないので、その2つの理由で両方同時に攻めないと駄目ですよというのが答えでございます。

それでは、皆さん、また次回、質問お待ちしております。お会いいたしましょう。