第191回 【Q&A】中国/ASEAN/インド 良いディストリビューターを選ぶポイントとは?
新刊はこちら » https://www.amazon.co.jp/dp/449565019X
定期セミナーはこちら » https://spydergrp.com/seminars/
テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は番組に寄せられる皆さんからの質問に答えていきたいと思います。よろしくお願いします。その前に、ぜひこの番組のチャンネル登録をお願いします。たぶん、この辺にチャンネル登録ボタンが出ていると思います。よろしくお願いします。では、質問のほうにうつりたいと思います。今日、今回の質問お願いします。製造業の方からの質問で、「良いディストリビューターを選ぶポイントとはどのようなポイントでしょうか?教えてください。よろしくお願いします」ということで、これ、セミナーなんかに行ってもよくある質問で、これだけで数時間の講義ができてしまう話なんですけど、非常に重要なので、なるべく簡潔にまとめていきたいと思いますけど。まず、ディストリビューターっていう存在って非常に重要で、製造業で、これはB2Cの製造業なのか、B2Bの製造業なのか分かりませんけども、質問者がですね。B2Cだったら、ほぼ100%海外でディストリビューターって必要になってくるんですよね。アジア新興国の場合は、もう絶対に必要になってくるので、ディストリビューターの存在が重要になってきます。特に、伝統小売をやっていくとなると、自前だけではなかなか難しいところがあるので、MTは、近代小売は直販でもいいけど、伝統になればなるほど、ディストリビューターっていうのは重要になってくるので、ディストリビューターは重要ですと。B2Bも、例えば、設備とか装置とか、そういったものを入れているような製造業さんだと直販というのが主流なのかもしれないですけど、基本的にはディストリビューターを使う。直販をやる顧客と、ユーザーと、それからディストリビューター経由のユーザーとあるので、両方使っているというB2Bもあると思うんですよね。少なからず、製造業にとって、ディストリビューターって全く要らないかと言うと、そうじゃなくて、だいぶ重要な存在です。
このディストリビューターって、実は日本の製造業は、このディストリビューターを決める行為、選定する行為を、ここで選ぶポイントというふうに言っていますけど、この選ぶということを、結構、何となくやってきちゃったというのが、過去20年とか30年の、このアジア新興国の状況で。なぜならば、中国やASEANって、過去20年30年前って、そんなにマーケットとして重要視されていなかったわけですね。やっぱり、日・欧・米というのが経済支配をしていた時代だし、中国とかASEANなんていうのはマーケットではなくて、生産拠点であったと。その中で、逆に言うと、向こう側から御社の商品取り扱いたいと言われて、ちょっと調べて安心だな、大丈夫そうだなというところにキャッシュオンデリバリーで先にお金を払ってくれるんだったら、出荷しますよというので輸出をして、何となくディストリビューターをさせていた。日本の製造業は非常に守りの契約はしっかりしていますので、非独占契約で、なおかつ単年度更新みたいな契約でずっとやってきたんですよね。そこがなかなかこの時代になってきて、アジア新興国も重要だと、こうなってきて、今、頻繁に行われているのがディストリビューション・ネットワークの再構築、つまりは、今まで付き合ってきたディストリビューターだとなかなかこれからの成長って難しかったり、もしくは、今までのディストリビューターをさらに活性化させるためにどういうアクションを一緒にやっていけるかみたいな、そういうことがあって、ディストリビューターを切り替えたり選んだりということも非常に多く起こるようになってきた。その中で、ディストリビューターを選ぶことに失敗すると、3年~5年は、その国での事業が停滞しちゃうんですよね。どういうことかと言うと、いざ決めたディストリビューターと、1年目って、目標いかなくても、まあまあ初年度だし、もう1年様子見ましょうかということに必ずなるの、日本企業の場合。2年目に投入して、あれ、2年目も目標うまくいかなった、これ、いよいよまずいぞ、どうしようということを悩み始めるのが3年目。3年目経って、じゃあ、切り替えないとってなったんだけど、なかなか、じゃあ、どこにどう切り替えていいの?って言っているときに4年目。これぐらいで人事異動で、海外の国の担当者が替わって、口頭・書類上では引継ぎはされたものの、実感値の湧いていない新たな担当が「どうもー」と入ってきて、またここで5年、6年、7年とこう、ずっとそういう状態が続いて、トーンが上がったり下がったりするので、なかなか1回決めたディストリビューターとお別れできない。国によっては、ディストリビューター保護法みたいのがあって、そんなに簡単にメーカーがディストリビューターをポーンと替えれなかったりもするわけですよね。訴訟になったりする場合もあるので、1度決めると非常にややこしい。にもかかわらず、結構、適当に決めていると言ったらちょっと聞こえが悪いですけど、そういうケースが見受けられる。なぜ、このディストリビューターにしちゃったんだろうと。重要なのって、その国の競合のディストリビューターと自分のディストリビューターのケイパビリティを比べたときに、自分たちのディストリビューターはどう勝っているのかとか、どう劣っているのかということをしっかり理解して決めないと、永遠に競合とのマーケットシェアの差って開くわけですよね。ディストリビューターを選ぶ基準なんて、対競合と自分たちのディストリビューターとの差異がどうなんだということで。その差異がもう致し方ないんだと、競合のほうが先に入っていて先駆者だし、マーケットシェアも多いし、いいディストリビューターを選んでいるんだ、仕方ない。なので、うちはNo.2、No.3じゃないとしょうがないんだということが明確に分かっていれば、じゃあ、そのNo.2とNo.1の差異の20%分を、じゃあ、自分たちはどういう戦略で埋めていくんだということを考えないといけないし。ただ、自分たちはつくる人、売るのはあなたたちでディストリビューターにポーンとお任せしていて、市場が出来上がってくるなんていうのは万に1つだし、こんなのビジネスじゃないし、たまたま論なんですよね。これをやってちゃ駄目なので、選ぶポイントというのを、僕は1つ、競合のディストリビューターと比べたときにどうなんだということは1つポイントだし。
あと、ディストリビューターを選ぶというのは方法があって、いわゆるディストリビューターって発掘選定、それから、契約交渉、管理育成という、こういうステップがあるんですね。われわれがクライアントから依頼を受けてディストリビューターを選定して、契約交渉して、そして管理育成を最後していくんですけど。重要なのは、今聞いているのは、この発掘選定のポイントって何かということを聞いているので、ただ、これって全部つながっていて、この発掘選定って、スキルセットとマインドセットで見るんですけど、自分たちがディストリビューターにお願いしたいスキルがまずあるのか、ないのかというところで全部消去法をしていく。例えば、B2Cだったら、自分たちはこのA店、B店、C店の小売に導入したいと。じゃ、そのA店、B店、C店に、今現状、彼らは商品を導入できているのか、できていないのかということを見ると、できていないところにお願いをして、そこでできるように新規で頑張れって、これ、何年先の話だという話になるので、基本的にノーですよね。こうやって切っていくと。B2Bの場合は、自分たちは、例えば、インダストリーを4つぐらいに分けたときに、このインダストリーで商売したいんだと。携帯通信インダストリーで商売したい、そうしたとき、自動車インダストリーで商売したい、そうしたときに自動車インダストリーの顧客をどれぐらい持っていて、今現状どういう取引をしているのかということをしっかりと見ていく。これを、まずスキルセットがないところ、もしくは蓋を開けてみないと分からないところと組んだって絶対駄目なので、それをどうやって絞り込むかという。それで、この絞り込みの課程で、そういう情報を出したがらないところ、そういうところと膝をついて話ができないところは、もうそもそもノーなので。もしくは、話している相手が悪いかですね。ディストリビューターなんて、なんてという言い方はよくないけど、所詮、B2Cだったら数百億ぐらい、FMCGだったらね、家電系でも…、まあまあ、数十億~数百億ですよ、FMCGで、家電系で数百億。大きくたって、コングロマリットしていなければ、数百億規模の華僑の会社で、そうすると、やっぱりオーナーと直接話さないと駄目ですよね。これ、ポイントの1つで、担当者といくら話したって、日本以上にワンマンですから、リーダーシップ、逆に言うと、リーダーシップの強い会社で、社長が右と言ったら完全に右なのが、華僑のディストリビューターなので、いかにオーナー社長と話すかということがすごく重要で、それも1つのポイントだと思います。その中で、自分たちが求めるスキルセットがあるかということと。あと、もう1つのマインドセット。スキルセットがないところを全部消去法で切り取っていって残ったところのマインドセットの中で、最も自分たちと近しいマインドセットを持っているところを選ぶ。例えば、事業計画をもう選定のときから一緒にやり取りしていくんですよね。自分たちはこういうところにこういうふうに売っていって、こういう年月でこういうことを実現したいんだと。それに対してどう考えるみたいな。そんな中で具体的に資料がバンバン出てきて、われわれだったらこういうことができる、ああいうことができるということを具体的に提案できるようなディストリビューターって、やっぱり皆さんの会社の商品の取り扱いの熱が高いわけですよね。オーナーがその熱量がないと絶対にうまくいかないし、担当者に熱量があってもオーナーがプッてやったら絶対プッてなってしまうので、いかにオーナーが皆さんの商品を売るということに熱量を持っているか、否かということにマインドセットはもうフォーカスをして、そこを測っていくということはすごく重要なので、ここで1つ見てみるというのはいいポイントかもしれないです。
ちょっと時間がだいぶ来てしまったので、今回はこれぐらいにしたいと思いますけど、重要なのは、スキルセットとマインドセットで測るということと、あと、1回決めたら結構大変ですよということと、それから、あとね…、あと、そうそう、B2Cの場合だと、ディストリビューターからいわゆる小売を決めるんじゃなくて、小売、入れたい小売を決めて、そこに入れれているディストリビューターはどこかということを逆で決めていくというのもいいかもしれないです。またちょっと、この質問をもう1回ぐらい分けてちょっとやったほうがいいのかなと思いますので、また次回、もう1回ちょっと続きをやりたいと思います。
今日はこれぐらいにしたいと思います。それでは、また次回お会いいたしましょう。