第206回 【Q&A】中国/ASEAN/インド 新たな国を展開する際に何から始めたら良いのかわからない
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、皆さんからの質問にお答えをしていきたいとお思います。よろしくお願いします。それでは、今日の質問お願いします。今日の質問、「新たな国へ展開する際に、何から始めたら良いのかわからない。消費財メーカーです。現状、数カ国への海外展開を行っていますが、今後新たな国へ自社の商品を販売していくことを検討しています。今までは戦略構築ということをさほど意識せぬまま海外展開をしてきており、新たな国へ参入する際の戦略と言われても、正直何をどうして良いのかわかりません。参入戦略を立てるためには、具体的に何から始めたら良いのでしょうか?」と。
なるほど。多いですよね、こういう企業。そんなに戦略、戦略と言っても、戦略があって今まで海外展開してきてなくて、工場進出の時代がそもそもあったわけです。日本の製造業の海外展開というのは、まずは生産拠点の展開が70年代80年代90年代あって、その流れの延長戦上で今度は消費市場としての進出があるわけなので、どちらかと言うと、工場進出のときの流れのようなかたちで出ていっているというケースがあるので、いかにその市場を獲るかということを戦略的に突き詰めて出るというのはなかなか、ごく本当に一握りの企業しかできていなくて、多くの企業はエイヤーで出て、出て走りながら考えて何とかしてみようみたいな、そんな話だと思います。出て走りながら考えようというのも非常に重要な要素ではあるんですよね。グチグチ数字を社内でこねくり回しているより、まず出てやってみてというところは非常に重要なんですけども。ただ、仮説を持って実行するのと、全く仮説なくうわっと出てしまうのでは、これは全く意味が違うので、そういう意味ではしっかりと戦略を持って出ていくということが非常に重要ですと。
そんな中で、この戦略、何から始めたら良いんですかということなんですが、あんまり難しいことを考えずに、やっぱりいろんなフレームワークがあるんですけども、僕、非常にシンプルなのは、「ターゲットは誰なんだ?」ということを本当に突き詰めることと、「そのターゲットに対してどういう4Pを組みますか?」ということを、この2点を徹底的に掘り下げるということが、戦略をつくる最も重要なことなんじゃないかなというふうに思います。例えば、これ、今回、消費財メーカー…でした?消費財メーカーでした?質問者は…消費財メーカーですね。消費財メーカーなのであれば、どういうターゲット、どの国のどのエリアの、どの消費者をターゲットとしているのか。それはなぜなのかということからまず突き詰めていくことが非常に重要で。それがターゲットなのであれば、どこに置くって、小売に置くわけですよね、その人たちが買い物をしやすい場所に置く。その小売がどこなんだ?ということがまず最初に可視化されるべきで。それに対して4Pを組んでいく。Product・Price・Place・Promotion。
なので、ターゲットが、例えば、消費財メーカーのターゲットって、絶対中間層なので、シンプルなんですよ。中間層である。なんだけど、この中間層もピンからキリまでいるわけですよね。非常に層が、所得の層も広いので、どの中間層なんだということをしっかりとターゲティングするということが、まずやるべきこと。例えば、しっかりターゲティングできていないなというようなケースだと、初めてのASEAN進出なのにいきなりベトナムに出ちゃうとかね。ベトナムなんて、ASEANの、VIPの中で、ベトナム、インドネシア、フィリピンの中で最も難しい市場なのに、なんで先にベトナムに出たの?とか。例えば、タイもやれていないのにベトナムに出るってあり得ないでしょう?とかというのは当然あって。もちろん、ベトナム、タイをやらずにベトナムに本当に大々的に投資をして、ベトナムなんだということであれば、これは別に構わないと思うんですけども、そういうことがまさにターゲティングで。本当にどの国のどの地域のどの消費者を狙うんですか?ということを深く掘っていくということがまず1つ重要。
それができたら、今度、そのターゲットに対してどういうProductをどういう価格帯で、どういう売り場、流通を通じて、どういうふうに告知、Promotionしながら売っていくんですか?という、ここを固めることがまさに戦略で。重要なのって、ターゲットは中間層なんですから、中間層の求める商品を、中間層が賄える価格で、中間層が買いやすい売り場に並べて、中間層が手に取りやすい仕掛けをするという、ここをもうできる限り細かく細かく突き詰めていく。いろんな調査をやって可視化をして、ここが完璧に整えば、非常に精度の高い仮説ができるわけですよ。この仮説に伴ってアクションを起こしていく。そうすると、必ず仮説に対してブレが出てきますから、そのブレを修正しながらまた新しい仮説をつくって戦略を固めていく。戦略なんて、最初にバーンとつくって、はい、これで全部が完璧です。ドーンっていきませんから、つくって実行した瞬間に、その戦略というのは微調整、微調整、微調整をして、より良い戦略に変わっていくべきなんですよね。なので、そういったことをやっぱりやっていく必要があって。フレームワークとしては、僕はターゲティングと4Pを徹底的に突き詰めるということは重要なんじゃないかなと。
あと、もっとベーシックで言うと、R-STP-MM。これはResearchのRですよね。マクロ環境分析、ミクロ環境分析、SWOT分析のR。また、うちのPodcastとか、この番組でも説明しているのかな。過去にR-STP-MMとかって言っていると思うので、過去の番組で見てもらって。R-STP-MM、それから、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング、STPね。セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング、自分たちはどういうセグメントのどういうターゲットを狙うのか。そして、自分たちのポジショニング、立ち位置はどうなの?ということを見ていく。最初のRのマクロ環境分析、ミクロ環境分析、SWOT分析というのは、マクロ環境分析というのは、簡単に言うと、その市場は儲かる市場なの?どうなの?どれぐらい儲かるの?と。ミクロ環境分析というのは、じゃあ、その儲かる市場ってどれぐらいの脅威がそこに待っているの?どんな強い競合がいるの?ということを見る。SWOT分析というのは、じゃあ、その儲かる市場、すごく怖い競合がいる、強い競合がいるところに自分たちが参入したら一体何が起こり得るの?ということをSWOTして分析するというのがこのSWOT分析で。それが終わると今度、じゃあ、自分たちのセグメント、どういうセグメントのどういうターゲットを狙うんですか?自分たちはどういうポジショニングで行くんですか?ということがあって、最後に4Pですよね。Product・Price・Place・Promotion、これを最適化していく。こういったことを完璧に最適化していくと、戦略の精度がすごく固まっていくので、すべてはこのR-STP-MMにつながっているんですけど、こういうことをやっていく。
あと、われわれの、弊社が推奨している参入戦略までの6つのステップとか8つのステップというのをこの番組でも公開しているので、またそういうのも参考にしれもらえれば、しっかりとした戦略がつくれるんじゃないかなというふうに思います。
あまり頭でっかちになるのもよくない。アクションをまず打つということも非常に重要だし、経験値に勝るものって絶対にないので。ただ、経験値も無駄な経験値と良い経験値とというのがあって、仮説を持たずにただやみくもに出るというのは、これはもう、経験値を得るというよりかは、あまり賢くないやり方なので、しっかりとした仮説を持って、その仮説を検証するためにアクションがあるべきで、いきなりよく分からないけどとにかくアクションって、これはあんまりよろしくないので、そこは間違えないようにしていただきたいなというふうに思います。
それでは今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。