東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、前回まではB2B企業について少しお話したんですが、700回のときに、中堅・中小企業に関しても少し力を入れていきたいということだったので、今現状、森辺さんから見て、中堅・中小企業の人たちが海外進出に際する悩みとか課題とか、どういった課題感を持っているのかというのは、その辺をお聞かせいただきたいのですが、いかがでしょうか?
森辺:1つはやっぱり日本国内だけじゃなくて、海外にも販路を広げていかないといけないというのが、同じく中堅・中小企業の悩みで、中堅企業の場合は、大企業、中堅のほうに分類する中堅と、中堅・中小のこの小さいほうに分類する中堅とあると思うんですけど。総じて中小企業と言うとそういう悩み、海外にとにかく販路を広げたいんですよと。ただ、経営資源が足りませんと。何をどこからどう考えて、社内の何にどうやらせたらいいのか、全く分からないと。ただ、海外の売上が必要だ、将来にわたって海外には投資していかないと、やっぱりシュリンクする国内市場だけでは10年後15年後、しいては20年後の未来がないよということの課題認識が強いということだと思うんですよね。
東:はいはい。
森辺:そんな中で、どうしたらいいですか?というのが、たぶん、中小企業さんの総じてのご依頼事項という感じですかね。
東:そうすると、まだこれからというところなのか、今やっているけど…。
森辺:どっちかと言うと、もう今やっているという中小企業のほうが多いですよね。これから、本当に新規ですと言うと、なかなかちょっとあれじゃないですか、中小というよりか、たぶん零細に近くなっちゃうので、やっているけど、もっとできると思っているとか、なかなかうまくいかないとか、そういう感じかなというふうに思いますけども。でも、新規でもいるね。零細じゃない中小で、今まで不得意だからあまりやってこなかったけど、これからっていうのはやっぱりいるね。
東:そういう企業さんの悩みと言ったらいいんですかね、どこが悪いとか、どういたらいいとかというのは、森辺さんなりに、一般論でも構わないので。
森辺:1つは、やっぱり中小であったって、大企業であったって、海外戦略はしっかりつくらないといけないので、戦略がないですよね。中小だからワーッと行くかと言うと、そうでもなくて、中小企業には中小企業の戦い方があるので。大企業みたいなことはしなくてもいいですよね、戦略をつくるのにね。ただ、中小企業のやるべき戦略というのはあって。何が違うかと言ったら、時間軸と求めている売上が違うんです、中小企業と大企業って。大企業は、できる限り短期で大きな利益を求めるわけです。極端な話を言うと、分からないですけど、5年で100億とか、そういうことを求めてくるわけじゃないですか。一方で、中小企業って、取りあえず5年で10億にいったらいいと、3年ぐらいで3億5億になったらいいなという、そういうレベル感なわけですよね。そしたら、じゃあ、5年で10億やるのと、5年で100億やるというのだと、もうこれ、戦略全然違うわけですよね。
東:そうですね。
森辺:10倍違うんですからね。そうすると、やることも違ってくるので、その計画をしっかり立てるということがやっぱり重要で。これ、立てたことがない人が、行ったこともないというか、あんまり知らない未開の地においてそれを立てるとなると、日本で立てるならまだ分かるよ。福岡でやりますみたいな。
東:そうですね。
森辺:5年で10億やりますとかっていう、北海道でやりますというのは分かるんだけど、これ、タイでやります、ベトナムでやりますと言ったときに、圧倒的に知識量が不足しているわけだから、それをやっぱり一緒につくっていくというのが、われわれがご支援することとしてはまず1つなのかなと。まず、それをつくって。今度、つくったのを実行していくというときに、人がいないのが中小企業の問題なわけですよね。それを中小企業さんと一緒にやっていく、もしくは中小企業に代わってやっていくというのが、2個目のわれわれのお仕事で。そんなことをやりながら、彼らに5年で10億をつくる、3年で5億をつくるというようなことをやっていくわけですよね。
東:うんうん。
森辺:ものにもよるんですけど、やっぱり経営資源がないというのが中小企業でしょう?
東:はい。
森辺:「経営資源って何ですか?」と言ったら、人・もの・金・情報じゃないですか。情報はわれわれが持っているものを提供します。人もわれわれが代わりにやりましょうと。ものは、これはどうにもならない、中小企業のものだと思うので、その中でより成功化率の高いものをわれわれが選別しますと。最後、お金じゃないですか。これも全くないと支援のしようがないんですけど、ある程度のベースをいただきながら、われわれもキラリと光るというか、可能性のある、ポテンシャルのあるものに関しては、パートナーとしてやらせていただくことで、成果報酬でお受けしたりということも中にはあるので、ご依頼の2割ぐらいしか、たぶん成果報酬では受けられないんですけど、なかなか売れるものというのは少ないので。なので、そんなことをしながら支援をするというのが、中小企業さんのケースでは多いですかね。
東:分かりました。そうすると、求める売上が違うので、当然、やり方も変わってくるということなんですかね。
森辺:そうですね。そこがたぶん一番大きくて。それを混同してしまって、最近、僕、しつこいぐらいいろんなところで講演するんですけど、中小企業には中小企業の戦い方があるから、例えば、国選びでも、大企業がうわーっとあっちの国に行っているけど、実は中小企業はそこじゃないよねみたいな。「なんで中小なのに先にベトナムへ行くの?」とか、「なんで中小なのに先にミャンマーへ行っちゃうの?もっと簡単に売上を上げれる国あるでしょう」みたいな。「そもそも国じゃなくて都市でしょう」とかね。「結局、現法なんか出すお金ないんだから、輸出でやるわけでしょう。そうすると、出張ベースでやると言ったって、年に何回かディストリビューターとかパートナーに会って、本気で売ってなんてくれないでしょう。そのための方法はこうだよね」みたいなことを提案するんですよね。だから、そこが改善できれば、中小企業でもまだまだ全然海外やれると思いますけどね。
東:分かりました。今日は、森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。