第208回 ASEAN市場 – ディストリビューターの選定方法
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も早速、視聴者の皆さんからの質問に答えていきたいと思います。よろしくお願いします。じゃあ、質問を読んでいきます。「いいディストリビューターの選定方法を教えてください」と、B2Cの製造業です、今回は。「いいディストリビューターはどのように選定すれば良いでしょうか、ASEANなんですが、業界ごとのリストなどが存在するのでしょうか。ディストリビューターの選定に悩んでいます。よろしくお願いします」ということですけども。ASEAN、B2C、ディストリビューターの選定、私が「選定、選定」とよくいろんな番組で言ってるから選定というふうに言ってくださっているんだと思うんですけど、ディストリビューターをどのやって見つけたらいいんですかということだと思うんですが、いいディストリビューター、リストがあるんですか。結論を先に申し上げると、ございません。これはなかなか日本みたいに、例えば、B2Cなので、そうですね、家電系で言ったらこことか、日用品系で言ったらこことか、ドラッグ系で言ったらこことか、菓子系で言えばこことか、いわゆる業界ごとの問屋リストみたいなものが、業界団体が出していたりとか、いわゆる帝国データバンクとか、東京商工リサーチみたいなところが出したりするのかしないのか分かりませんけど、矢野経済とか、ああいうところが出していたりするのかもしれませんけど、そういったものがあるのかと言うと、ほぼないというのが現状でございます。それは、ある程度やっぱりつくっていかないといけない、というのが実際でございます。B2Cなのであれなんですけど、これあれか、言っちゃいけないですね、B2C以上のことはちょっと申し上げられないんですけど、リストはないので、やっぱり自分たちでつくっていくということをやっていかないといけない。
これ、ディストリビューターの選定方法で、まず間違った方法を教えると、いわゆる自分たちが手の届く範囲のディストリビューターをまず集めて、それを比較して、「じゃあ、ここにしよう」「あそこにしよう」と決めてしまう方法。これはどういうことかと言うと、自分たちの、いわゆる知識で知っている手の届くところ、それから、誰かにたまたま紹介してもらえたところ、これも手が届きますよね、銀行さん、証券会社さんに紹介してもらったところ、また、自分たちがもともと知っていたところとか、分かりませんけど、自分たちがとにかく手の届くところだけを集めて、それで比較してここにしよう、あそこにしよう、もしくは、向こうからアプローチがあった先とか、こういったものだけだと、言ったら全部自分たちが手が届くところですよね。いかに自分たちがまだリーチできていないようなところのディストリビューターを集めて全部を並べて比較検証しなきゃいけないというのが、このディストリビューター選びではすごく重要で。なぜならば、この手の届くところだけで比較すると、よし、このA社の陳さんが一番いいと、チンさんって華僑なのでだいたいそういう名前なんですけど、ディストリビューターはね、チンさんが一番いいと思ったら、B社のタンさんだったかもしれないし、はたまたC社のワンさんだったかもしれないということが後で分かっても、結局、1度ディストリビューターを決めちゃうと、1年目目標いかなくても「1年目だからしょうがない。もう1年様子見ようか」で2年目になりますと。2年目になると全く成果が出ないわけじゃないんだけども、「まあまあ出たんだけど、やっぱり目標いかなかったよね。もう1年見てみましょうか」って3年目になるわけです。3年付き合うと、「なかなかちょっと切っていくのも難しいね」で4年5年6年と。結局、ディストリビューター代えられないという状態になるので、1回決めたら3年はロスすると思って決めた方がいい、考えたほうがいい、理解したほうがいいです。ディストリビューターは1度契約してしまったらなかなか、「はい。パーン」ってできるかと言うと、日本企業の性質上やらないし、やれない。契約書上はできたとしても、実際に組織がそう動くかというと、なかなかそうはならない。結果として、最低でも3年は損するということを考えると、ディストリビューターの選定にはしっかりと労力をかけるべきであって、自分たちの届くところのディストリビューターから選ぶのであれば、これはお金掛からないんですよね。
一方で自分たちが知らないディストリビューターもこの選定、比較対象に持ってきたりとか、あと、第三者の目で客観的にこれらを比較するなんていうことをやると、当然外部の機関に委託をすることになるので、お金が掛かるわけですね。これは決して、うちに、弊社に仕事をくださいという営業をしているわけじゃないんだけども、でも、やっぱり第三者の目で客観的に見ないと、自分たちだけではなかなか選定はできないんじゃないかなと。一方で、重要なのは、さっき言った、チンさん、ワンさん、タンさんみたいな話にならないためには、その業界のディストリビューターを全部縦に並べるということがすごい重要で。要は全部可視化しちゃう。明らかにしちゃう。全部並べてしまう。そのうえで絶対評価と相対評価を繰り返して選定していくということがすごい重要なんだけども。ロングリスト、ミドルリスト、ショートリスト、ベリーショートリストというのをつくっていくわけなんですけど。絶対評価ってどういうことかと言うと、将来、例えばですよ、極端な話、「100億やりたい」と言っているのに、今10億しかない会社と付き合ったって、これ、彼らに100億のキャッシュを回させるのって、もうほとんど難しいじゃないですか。問屋の利益率なんてたかがしれているわけですから。そうすると、やっぱりそれなりの規模のディストリビューターじゃないと付き合えないとか。あと、自分たちが食品系の消費財なのに、日用品系のディストリビューターと付き合っても、これ、日用品系のディストリビューター、同じ小売には食品も日用品も置かれているんでしょうけど、やっぱり日用品に強いところは食品にはあまり強くなかったりするので、そういうことで絶対評価をして切っていくと。そういう、いろんな絶対条件、これはお客さまとわれわれと決めていくわけなんですけど、絶対条件でどんどん切っていくと、どんどん、どんどん、選択肢が少なくなっていって、最終的に残った3社とか5社を相対評価していくという。これ、いわゆる5社を比べていくわけですね。
この比べるときに、スキルセットとマインドセットというものを見ていくということをよくやるんですけど。スキルセットというのは、僕は基本的には配荷力と、B2Cだと配荷力というものを、どれだけ配荷できるかという力ですね。あと、小売提案力、B2Cだと小売で売るわけですから、いかに小売に提案をできるかという小売提案力、配荷力。そして、キャッシュですよね、キャッシュの力、これがどれぐらいあるのか。結局、キャッシュがないと回せませんから、キャッシュのない会社じゃ全然駄目だということになりますので、この3つを僕はスキルセット、自分たちの、いわゆる事業計画上、どういう小売提案力があって、どういう配荷力があって、どういうキャッシュの力があるかということ、最低限これがないとそもそも駄目だよと。だって、自分たちはこの小売とこの小売とこの小売に商品を配荷をしたいのに、そこの小売に配荷できないような会社じゃ駄目だし。ただ、配荷するだけじゃなくて、その小売にどれだけ強い提案力があるのかということも重要になるので、そこの実績を見るし、はたまた自分たちはこれだけのボリュームの金額をやりたいのにやっぱりキャッシュが回らなかったら駄目なので、そういうことを見ていくというのは、そうですよね。これが見えると、最低限、要は絶対評価で絞り込んできているので、その中でスキルセットを比べていく。これをスキルセットを見ていくときというのは、やっぱりディストリビューターと交渉していくわけですよ、いろんなことを。ここに配荷をしたいと、これぐらいのマージンでやりたいんだ、こうやりたいんだ、ああやりたいんだって。そうすると、5社いたら、3社は向こうから離脱していきます。そんなあれだったら嫌だとか、こうじゃなきゃ嫌だとかって、それで2社ぐらいになっていくわけですね。2社~3社ぐらいになっていく。
最後の最後、じゃあ、どこで決めるかと言うと、僕はスキルセットよりもマインドセットで決める。マインドセットというのは、オーナー社長のマインドがどうあるのかということはすごく重要で。ディストリビューターなんか、絶対にこれオーナー社長と話しないと絶対駄目ですよね。もちろん一部の財閥系というのもあって、大きくてなかなか会えない、会いにくいというのもあるのかもしれない。こっちのメーカー側の規模がどれぐらいかというのにも当然関係してくるんですけど。基本的にはオーナー社長のマインドセットがどれぐらいなのか、自分たちの商品にどれぐらいの興味を持ってくれていて、どれぐらいの熱量でこれを取り扱いたいと思っているのか。それって、メーカー側がどういうビジョンと戦略で、その国で何を実現したいのかということを戦略とビジョンをディストリビューターにバーンとぶつけたときに、向こうから同じような熱量で、やっぱり返ってくるものがあるんですよね。そのマインドセットが高いところを僕は最終的に選びます。日本の製造業の場合、こっちの戦略とかビジョンみたいなものを語らない。語るのは会社概要みたいな、そういうメーカーが非常に多いので、会社概要なんかどうでもいいので、自分たちのビジョンと戦略、「自分たちはこういう戦略で、この国でこういうことを実現したいんだ。そのためにあなたにこういうことをやってほしい」ってバーンって熱量で語ったときに、同じ熱量でそれがオーナー社長から返ってきた、そうすると本当に締結前にしっかりと戦略まで握れるので、そういうディストリビューターを最終的には選定をしていくということになるわけなんですが。
うちのPodcast番組でも、このディストリビューターの選定方法というのはもう何回も何回も、ほぼ700回の放送の中で話していますし、この番組でも、具体的にこのパネルを使って授業形式で流している回が何回かにあると思いますので、ぜひちょっと見てみてください。また、今後そういったこともやっていきたいなと思いますけど。その図を出しておきますね。図、1個目の図がこの図です。2個目の図がこの図で。この1個目の図というのは、いわゆる無作為に選んでしまったという場合ね。2個目の図は、絞り込んでいるという図になります。結局、ディストリビューターの選定というか、選定だけじゃないんですけど、ディストリビューター、いい、強いチャネルをつくるには3つ目のこの図のように、ディストリビューターの選定、「発掘選定」と、それから、「契約交渉」、そして「管理育成」と、この3つが非常に重要ですよという、この3つ目の図があるので、いろんなところで話していますので、ぜひ見てみてください。
それでは以上になります。また次回お会いいたしましょう。