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第210回 【Q&A】中国市場 – ディストリビューターの変更で起こり得る問題

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も皆さんからの質問にお答えをしていきたいと思います。それでは早速、質問を読んでいきたいと思います。

B2Cの製造業の方からの質問です。「ディストリビューターを変更した場合の不都合を教えてください。弊社はB2C製造業です。すでに20年近くディストリビューターを使っているのですが、過去10年売上はほぼ伸びておらず、ここ数年は年々売上が低下しています。一緒にいろいろと考えていこうともちかけても、ディストリビューター側は一緒に考えることにあまり乗り気ではありません。また、二次店の情報やコラボの情報など開示要求をしてもなかなか開示してくれません。とにかく一緒に何か前に進んでいこうとか、打開策を考えようということに乗り気ではないのです。このような場合はどうすることが最善でしょうか?」ということなんですが。この問題も、これ、質問者はB2Cの製造業ですけど、B2Bでも全然あって。比較的、輸出でやっているような会社さんが結構多いわけなんですけど、こういう問題というのは。現地に現法があって、生産拠点があって、現地に販売子会社があって、ディストリビューターがあるというところは、こういうレベルの問題というのはそうそう起こり得ないので、もう少し距離は近いんですが。輸出でやっていると、どうしても距離が離れていってしまって。

結構、日本の企業って、80年代90年代好景気に華僑系の、いわゆるディストリビューターをやっているような人たちからいろんなオファーがあって、オファーというか問い合わせがあって、「ぜひ自分たちの国で商品を取り扱いたい」と言うので、「まあまあ、そこそこちゃんとした企業だから任せてみよう」ということで。日本企業もアジア新興国、そんなに、これ中国なんですけどね、中国のことなんですけど、中国でものを売るというのは、80年代90年代そんなに真剣に考えていませんから、2000年代前半ぐらいから日本企業って中国の内需の獲得に本格的に、徐々に本格的になったというのは、そういう時間軸なので。ディストリビューター自身はいて、適当にやらせていたというのもあるんですよね。だから、大して日本企業の製造業側も本気じゃなかったと。そんな中で、当時、立場も、日本企業がこれぐらいだとしたら、中国のディストリビューターはこれぐらいの立場で。それがだんだん、だんだん、こういうふうになってきていて、今、もしかしたらこうなってきちゃっているかもしれないという中でずっとやらせてきたという、そういう歴史的な背景があって。

伸び悩んでいるという、こういうケースってよくあって。結局、「今までの20年間のコミュニケーションがどうだったのか?」というところからやっぱり振り返らなきゃいけなくて。結構よくありがちなのが、「この20年間にもう10人以上担当が代わっています」というケースがほとんどで、「また新しいのが来たよ」「また新しいのが来たよ」と、どんどん、どんどん、担当が代わっているので、過去のことがいまいちよく分からなくなっている。一方で、華僑って財閥系のスーパーワンマン企業で、ものすごいトップダウンの会社なんですね。向こうのトップを、いわゆる日本の製造業側の海外担当役員がしっかり押さえていないので、現場だけで繋がっているというケースが多い。現場と過去に結んだ契約書1枚ペラで繋がっているというケースが多くて。結局、人間関係が成立していないんですよね。ディストリビューター、華僑のディストリビューターとうまくビジネスを進めていくには、やっぱりオーナー社長さんたちと人間関係をしっかり構築しないといけない。その人間関係構築できるのは、決めれる人がやるべき仕事なので、日本の製造業側で言うと、海外担当役員がそれをやるということは必要。ただ、それも大してやってきていないというケースが多くて。結局、現場だけで繋がっているんだけども。現場も現場で、自分たちのいわゆるボスから明確な指示がないので、そんなに本気で動かなかったりするわけですよね。それでうんちらうんちらしているわけですけども。あまりうまくいっていないとなったら、結局、顧客の情報なんて開示したら、ディストリビューターを交換されたら、向こうもえらいこっちゃなので、基本的にはあまり開示したがらないし。結局、「日本企業は何の支援もしてくれないし、何も分かっていないのに、今更何だよ」というのが、たぶんあるわけですよね。「何か一緒に考えよう」と言ってもそれだけ乗り気じゃないというのは、向こうがそれだけやっぱりそういう気持ちにならないというのは、過去のやっぱり経緯があって。こういう問題って、やっぱり解決していくうえではトップ同士で1回話させないと、現場でいくらこれやったって何の解決にもならない。もう過去の清算をトップ同士でしっかりやって、「今まで自分たちはこうで悪かったけども、今後はこういうふうにしていきたいので一緒にこういうことをやっていこう」と。トップ同士がそれ話ができないのであれば、もうそのディストリビューターとは付き合うべきではないので、まずトップ同士でしっかり話をするということは1つ重要ですと。

一方で、そのディストリビューターを変更した場合の不都合なんですけども、それ、「市場環境がどう変わっているのか、20年前と」ということをしっかり見ないといけない。「そのディストリビューターってその市場の中でどういうポジションにいる会社なんですか」と。別のディストリビューターに代えるということはできるんですか。もしかしたら、そのディストリビューター圧倒的な力を持っていて、そのディストリビューターを代えると、売上がただでさえ落ちているのに、ガクンと落ちてしまうことになるのかもしれないし、どうなのかが全く分からない。一方でよくありがちなのは、20年前にいいと思って付き合ったところが、今のいいディストリビューターではないというケースが大概にしてあって。「こんなところと付き合っていたら一生マーケットシェア上がらないですよ」というようなディストリビューターとずっとだらだら付き合っちゃっているという日本企業が非常に多いので、そのディストリビューターのケイパビリティ負けを競合に対してしちゃっているというケースは非常に多い。だから、そういうケースもあるので、客観的に市場環境と競争環境をしっかり見て、自分たちのディストリビューターのレベルがどうなのかということをやっぱり見ないといけない。
例えば、競合が100だとしたときに、自分たちのディストリビューターってどこなんですか。120なんですか、それとも80なんですか、もしくは30なんですかという話になるわけですよね。もし仮に30なんだとすれば、これ、トップ会談で今までの反省や将来の協業について話したって、ぶっちゃけあまり意味がなくて。それよりもやるべきは、いかに競合との差の70を埋められるディストリビューション・チャネルを構築するかということを考えないといけない。競合がどういうチャネルストラクチャーで、何社のディストリビューターをどのエリアにどう配置して、どういう人員体制で、どういう教育をして、ディストリビューターをマネージメントしているのかということを理解をして。そして、それと近しいものをつくっていかないと一生シェアの差は埋まらないわけなので、そういうことを考えないといけないですし。まず、不都合っていっぱいあるわけですよ。ディストリビューターなんて替えるのと替えないの、どっちがいいかと言ったら、できれば替えないで穏便に過ごしたほうがいいわけなんですが、「穏便に過ごすと、結果として売上やシェアにどう差が出るのか」ということをまず把握したうえで穏便にするのか切るのかということを判断しなきゃいけなくて。結局、多くの日本企業は、「穏便に、穏便に」で替えないで来るんだけども、まず最初に競合のディストリビューターを100とした場合に自分たちのディストリビューターが50なのか、30なのか、それとも120なのか。120ということはそうそうなくて、ほとんどの場合が50、30なんですけども、それをまず見るということが先じゃないですかね。たぶん、不都合は「今ある売上を一時的に失う可能性がある」という問題はありますが、ディストリビューターの交換なんて、われわれもよくやりますけど、そんなに大したことないんです。向こうも慣れているので「了解」でカチャッと切り替わりますし、何かそれ、風評被害た立つとか、小売に影響が出るとか、そんなもの全く関係ないので。次のいいディストリビューターをどう見つけるかのほうが重要で、ディストリビューターを替える、切るということは大した問題にはならないので。まず「自分たちの置かれているレベルがどこなのか」ということを、対競合との比較で見るとういことが先決だと思います。

以上で、今日は終わりにしたいと思います。それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。