東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:前回、タイでなかなかディストリビューターが見つからないというようなご相談の背景をお伺いしたんですけど、もう1度おさらいで、ここから聞くリスナーさんもいらっしゃると思うので、教えていただきたいんですが。
森辺:タイはASEANの中でも小売が強い市場にもう変わっていっていますよという、先進的な市場、SMT、シンガポール、マレーシア、タイの分野に入るので、ASEANはよく僕、「3つのグループに分けて」という話をすると思うんですけど、先進ASEAN、SMTのTですよね。
東:はい。
森辺:主要な市場ってバンコクだと思うんだけども、そのバンコクはやっぱり小売が強いですと。例えば、コンビニだったら1万2,000店のセブンイレブン、スーパーだったらTESCOとBigC、それぞれ店舗数が、TESCOで2,000店舗だったっけ?
東:はい。
森辺:それぐらいあるから、やっぱりそこに入れていかないとあまりメーカーとしては旨味がないですよと。そうなったときに、やっぱり小売が強いわけですよね。それだけ、だって、セブンイレブンだって、日本ですら2万店だよ。
東:そうですね。
森辺:その半分がタイであるというわけだから。そうすると、やっぱりそこと取引関係の強いディストリビューターのグループから選定をしていくということをやらないと全く駄目で。これが、例えば、違う市場であれば、ディストリビューターからつくっていくということは、まだ中間流通のほうが強い市場。だけど、今のタイは小売流通のほうが強いので、逆算で考えていってくださいという話をしたんだと思うんですよね。
東:はい。
森辺:フィリピンなんかもそうなりつつあるよね。フィリピンも、SMを筆頭に、SM系のグループを筆頭に、ピュアゴールド、それからルスタンズがロビンソンズに買収されたから今はロビンソンズグループなのかな。
東:そうですね。
森辺:なので、この3強グループじゃないですか。
東:はい。
森辺:いずれも、言ったら財閥系だよね。それぞれ金融を持っていたり、不動産を持っていたりするわけだけども。だいぶ強いわけだよね。そうすると、ディストリビューターも、どんどん、どんどん、集約されていっているので。これは10年ぐらい前は、まだちょっと、ディストリビューターの力がもう少しあったような感じもするんだよね。でも、やっぱり決まってきちゃっているよね、もう、ディストリビューターね。だからもう、ASEANは何となくもう、菓子ならここだし、飲料ならここだし、ビールならここだし、食品ならここだし、みたいな、そういうのがだんだん出来上がってきちゃっているよね。
東:うーん。
森辺:その椅子取り合戦なのに、何をのんびりしているんですか、というね。
東:はいはい!
森辺:育てるのなんか大変ですよと。ノウハウがない日本のプリンシパル、メーカーが、ディストリビューターを育てるって相当大変ですよ、みたいな。
東:そうですね。
森辺:そういう部分もあるので、大変じゃないかなと思うんだけどね。
東:そうすると、やっぱりじゃあ、フィリピンもそうなりつつあるみたいに。
森辺:あるよね。ありますね。
東:市場がなりつつあると。
森辺:はい。
東:そうすると、タイなんかは、タイの地場企業も結構強くなっているし、中国製が結構入ってきているイメージがあるので、やっぱりそういう商品、メーカー側の商品を提供する側の力もやっぱり関係してくるということですかね?
森辺:そうですね。だから、そんなにおちおちしてられないと思うんですよね。小売とのリレーションシップもしっかりメーカーが持たないと、プリンシパル側がね。本当にタイなんて、地場メーカーの成長が著しいし。インドネシアとかもそうですよね。フィリピンはね、製造業の進化が遅れた。
東:まだちょっと…。
森辺:ASEANの国でもあるからあれだけど。そこは1つあって。逆に、ベトナムなんかはね、まだまだ中間流通側が強いというか。
東:そうですね。
森辺:MTの数が、たかだかコンビニ入れても3,000店ぐらいでしょう。そうすると、やっぱり3,000店舗じゃ、どれだけ週販売ってもなかなか利益出ないのは見えているから、MTが強い交渉力を持つというよりかは、ディストリビューション側、メーカー側もまだまだ強気でいけるので、逆に言うと、そこは小売側から流通をつくっていくというよりかは、ディストリビューター側から流通をつくっていく、ということでもいいと思うんですよね。
東:そうすると、やっぱり国によってだいぶやり方も変えていかないと。
森辺:と、いけないですよね。
東:うんうん。
森辺:日本企業の場合、何となく大きいところのディストリビューターとかね、同業種の製造業と一緒になって安心みたいなね、その中で、細かい管理、管理というか、細かく報連相はさせるんだけど、別に何か戦略提言したり、そういうことはしないから、途中であまりうまくいかなくなって仲たがいするなんていう例は、みんな隠しているけど、ぶっちゃけたくさんあるじゃないですか。
東:はい。
森辺:だから、そうですよね…。ディストリビューターの選定はもうちょっと労力とお金を掛けてもいいんじゃないかなと思いますけどね。
東:分かりました。今日はお時間が来たので、ここまでにしたいと思います。ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。