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第231回 参入が容易な国と困難な国(アジア編)

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、参入が容易な国と困難な国(アジア編)ということでお話をしていきたいと思います。

アジア、非常にたくさんの国があるわけですけども、当然ながら参入障壁が高い国、低い国というのが存在します。これをしっかり理解しておくと、これから新規で参入する際に、この国は参入障壁が高いからこれぐらいの戦略の準備をしておかなきゃいけないとか、逆に、この国は参入が障壁低いのでこの程度やっておけばある程度の成功を見込めるということが想定できる、大変重要なチャートになっていると思いますので、ぜひ今日はチャートを使いながら、参入障壁、参入が容易な国と困難な国ということで一緒に学んでいきましょう。

じゃあ、早速チャートを出していただいて。これ、皆さんから左のグループAから右のグループDまで、A、B、C、Dというふうにありますが、Aに行けば行くほど難易度が低くて、Dに行けば行くほど難易度は高いということになるんですが。これはB2Cの製造業、B2Bの製造業、また、どういうインダストリーの製造業かによっても当然変わってくるんですけども、一般的にこの順番でDに行けば行くほど参入障壁は高くなります。つまりは俗人的な海外展開がなかなか通用せずに、かなり高い仮説を持った戦略的な参入が必要になってくるというのがDの領域。ちょっと1つ1つ、グループを見ていきたいんですが。

まずA、香港、台湾、シンガポール、韓国、これ、共通事項はもう先進国なんですよね。香港も台湾も、すみません、これを中国とするのか、香港・台湾とするのかはちょっと別の議論として置いておいて、基本的には先進…、国家と言っていいのか、都市と言っていいのか、言葉を選びますが、先進的な地域なわけですよね。シンガポール、韓国もそう。言ったら、日本に大変近い地域になってくるので、こういったところって、当然、消費者の所得も日本に近しいわけ、もしくは日本より上だったりするので、日本で売っているものがそのまま受け入れられる、もしくは日本に対する情報量もふんだんに持っているので、日本のものを現地適合化、そんなにせずとも、そのままのかたちで輸出をして、ある程度売れていく、B2Cだったら、例えば、関税がある程度乗って、1.5倍、2倍になっても、香港、台湾、シンガポール、韓国だったら、商品が受け入れられると、それだけの所得がある。B2Cだったら、例えば、FMCGだったら、伝統小売ではなくて、近代小売の市場なので、日本企業がある程度得意な市場ということで、やりやすさというのも圧倒的に多い。ただ、一方で市場性から見たときに、市場性というか、市場の規模から見たときに、いずれの国も小国であるので、マーケットのポテンシャルという観点から言うと、やっぱり小さいですよね、ある程度限られちゃう。例えば、香港とかシンガポールと言うと流動人口がとても多い、観光客の流動性が非常に高い国なので、他国への波及とかっていう意味で狙うというのは当然あるんですけど、香港だけとか、シンガポールだけで見てしまうと、やっぱりマーケットというのは小さいので、どれぐらいの売上が上げられるか、収益を稼げるか、もしくは将来的なポテンシャルがあるかというのは別にして、難易度で言うと、やっぱり低いのはこのグループAの4カ国。

次にやっぱりグループBの中国が来ていて。これ、中国は華北、華東、華南というふうになっていますけども、主要都市 上海、北京、広州、天津、深セン、武漢、成都、重慶、その他大都市というふうになっていますが、やっぱり、これは20年前、僕は中国 広東省、華南ですね、華南の広東省の深セン市というところに一時期住んでいたことがあるんですけども、当時に比べると、圧倒的に中国は発展して、劇的に発展をしているので、当時からは、想像はできるんですけど、もう相当に変わっている。深センなんかも本当に変わっていて、当時僕が深センでスーツを着ているとジロジロ見られるというような、そんな時代でしたから、今はもう全くの先進的な都市なので。中国は、あの時代に比べたら本当にビジネスやりやすいし、今世界中で最も金払いがいいのは中国企業だというふうに思っていますので。うちも、お客さんの取引、中国企業といっぱいしていますけども、ものすごく支払が安心できる。2000年当時なんていうのは、中国企業と商売をしても、債権回収の問題を考えるとやっぱり怖いよねという、そんな時代で、20年経って全く状況が変わっているので、やっぱりグループBの中国というのは非常にやりやすい国。むしろ、わけの分からない新興国よりも中国企業とか、中国人と商売をするほうがよっぽど本当に商売しやすいというふうには感じます。昔はやっぱりお金がなかったので、お金がない企業といくら商売をしても、これは儲からないので、そういう意味では中国はだいぶ商売しやすくなったんじゃないかなというふうに思います。

一方で、もう1つグループCのMTというふうに書いていますけど、これ本当はシンガポールが加わって、ASEANだけで見たときにはSMTというグループ、シンガポール、マレーシア、タイのグループと、VIPというベトナム、インドネシア、フィリピンのグループと、CLMというカンボジア、ラオス、ミャンマーの国に分けられて、3つの国に分けられて、上に行けば行くほどいわゆる難易度が低くなるんだけども、下に行けば行くほど高いということで。例えば、これ、MTと書いていますけど、シンガポールと一緒で、MT、マレーシア、タイも、先進的な都市なんですよ。これも、FMCGで言うと、近代小売の比率が約5割ぐらい、VIPなんていうのはまだ2割ぐらいの、2割以下なので、そうするとやっぱりマレーシアも、クアラルンプール、ジョホール、バンコクなんかももう本当に一人前の大都市、近代国家なので、そういう意味では商売しやすい。私がシンガポールに住んでいた1980年代とかって言うと、マレーシア、タイに行くと言ったら、ジャングルに行くんですか?みたいな、そんな時代だったので。やっぱりそこから比べると本当に先進的な国になったし、B2Cもやりやすいし、B2Bなんかも、タイなんかは産業集積地が多いんで、マレーシアもそうですよね。B2Bは市場がやっぱり、さっき「必ずしもこの通りにならない」と言ったのは、産業集積地でスペックインしないとそもそも駄目なので、例えば、タイで自動車がつくられているんだとすると、タイで部品がスペックインしなかったら絶対にスペックインすることはないので、産業集積地が重要ですけども。そういう意味から言っても、タイ、マレーシアというのは非常にやりやすい。今、日本企業がすごく注目しているのはベトナム、インドネシア、フィリピンで、これは人口が全部億超えしているという。最もASEANの中で将来性の高い国というのはこのVIPなので。ただ、一方で、やっぱりB2Cのビジネスで言うと、近代小売がまだまだ少ない、2割ぐらい、伝統小売何十万、何百万の伝統小売の攻略をしないとB2Cのビジネスは難しいし、B2Bもやっぱり、B2Cが潤わないとB2Bも潤わない構造なんですよね。だって、B2Cの会社が消費者、個人から収益を得て、B2Cの会社が潤うからそこに設備が入ったり、機械が入ったり、何かが入ったりというB2Bの会社が潤うと、こういう産業構造になっているわけですから、B2Cが潤わないとB2Bも潤わないということで、難易度がだんだん高くなる。カンボジア、ラオス、ミャンマーは、もちろんこれは業種にもよるんですよ。ミャンマーなんて2012年ぐらいにミャンマーブームというのがって、もう猫も杓子もミャンマーみたいな、中小企業が「ミャンマー」と言っていて、僕、「やめておきなさい」と散々言ったんですよね。だって、中小企業というのは経営資源が少なくて、経営資源が少ない国にとって新興国ほど難しい市場というのはないので。中でもミャンマーって、いや、ベトナムで成功しているんだったら、フィリピンで成功しているんだったら、ミャンマーは理解できるんだけど、タイでもベトナムでもフィリピンでも成功していないのになんでミャンマーで成功するんですか?と、ロジックが合わないと散々言いましたけど、日経のセミナーとかでも言いましたけど。ミャンマーはすごく今、例えば、ホテルとかがバンバン建っているので、またちょっと内装系の会社は潤っていたりするんですけど。カンボジア、ラオス、ミャンマーなんかは非常に難しい。今ちょうど、ミャンマーなんかは自動車がもう出ていて、これから家電が出るか出ないかというところで。家電が出ると、今度は消費財が出るという、こういう産業がそういう構造になっているので。前回話しましたかね、そういう話、順番、インフラが行って、自動車が行って、家電が行って、食品が行くみたいなね、まさにそういう感じなので難しいです。

もっと難しいのが、最後、インド。ただ、インドもこの20年で劇的に変わっていて、ニューデリーとかムンバイとかコルカタとかの大都市はやっぱりもうこれは近代都市なので。こういう、中国もインドもそうなんですけど、インドをインドで見ちゃ駄目で、中国も中国で見ちゃ駄目で、上海国、北京国、広州国みたいなね、ニューデリー国、ムンバイ国、コルカタ国みたいな、都市ベースで見ていかないとやっぱりこれはなかなかうまくいかない。日本みたいに全国津々浦々、同じ常識と同じ商習慣で同じ価値観で進んでいるという感じではないので、やっぱり都市ベースで見ていくということがすごく重要で、都市別戦略をしっかりつくっていくということが重要になるわけなんですけども。インドなんかは距離的な問題もあるし、非常に難しい。やっぱり日本人にとって、中国人とやり合ってきた歴史とインド人とやり合ってきた歴史の長さを考えても、やっぱり中国人のほうがやりやすいし、僕自身も、やっぱりビジネスをしていくうえで日本人は中国人のほうがまだ合っているんだろうな、やりやすいんだろうなというのを感じるところもあるので、あれなんですけど、大変難しい市場。ただ、もちろん非常に大きい、最も大きい市場なので、インドにも大変大きな期待をしたいということですけども。
だいたい参入難易度と言うと、こういう順番、AからDまでの順番になっています。ただ、重要なのは、これ、市場の規模を本当は横軸じゃなくて縦軸に、今度、時間があったらチャートをつくっておきますけども、縦軸で並べると、じゃあ、参入障壁が高いということは市場規模はどうなんだと、市場規模が小さくて参入障壁が高かったら、これは全くもって行く意味はないんだけども、市場規模が大きくて参入障壁が低いって、これはなかなか探すの難しくて、やっぱり市場規模が大きいんだけど参入障壁も高いよねという、市場規模的な縦軸と、もう1つが競争環境的な、市場規模が大きいところには必ず競合が出ていますから、同じことを考えていますから、その市場を獲りに出ていますから、そうすると、もう1つ三次元で軸を引いて、そうすると、市場が大きい、でも競合がいる、そして参入障壁が高いとか、こういうふうに三次元で見ていくということは大変重要なわけですけども、今回は難易度ということでご紹介しましたけども、シンプルにこういうかたちで難易度というのは決まっていきますので、もちろん、産業、企業、業種、インダストリーによって違いますけども、参考にしてみてください。また機会があったら、これに競争環境と市場環境を掛け合わせたチャートで解説をしていきたいと思います。

それでは今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。