森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺でございます。今日も引き続きよろしくお願いします。今日のお話は、海外展開に失敗する日本企業の共通する失敗の法則か、法則の3つ目でしたね、確かね、のお話をしていきたいと思います。
日本企業に共通する失敗の法則3つ目、これは「人頼り」ということで。簡単に言うと、戦略というよりかは俗事的な方法を取る傾向が非常に強いということで、本社に戦略がなく、多くが駐在員頼みになっていくというお話なんですけども。
とにかく社としての戦略が非常に弱いですよね。個としての能力は非常に高いわけなんですけども、個としての能力というのは、言ったら現地現場で使われる能力なわけですけども、でも、これってどんなに頑張っても戦術の域を出ないわけで、戦略がそもそも弱いと、どれだけ戦術が高くても、戦術で戦略は補えないので、つまりはあっちに行くぞという方向を示すのが戦略であると。そして、その方向、示された方向が間違っていたら、もしくは方向が示されなければ、戦術がどれだけ長けていても、結局間違った方向に進んじゃったら、どれだけ頑張って進んでも間違っているわけですよね。
じゃあ、間違った方向を示さずに…。方向を示さなかったと。たまたま個としての能力が高くて、方向が合致したと。合致したとしても、これはたまたまなので、結局再現性がないということになるので、戦略的に考えるのと、とにかくやりながら考える、日本企業の場合は戦略じゃなくてとにかくやってみようよと、まずやってみようみたいなね。まずやってみようって、非常に重要なんですけども、高度な仮説があってまずやってみようなのと、とにかくよく分からないからやってみようって、まったく得られるものが違っていて。高度な仮説があってまずやってみようだと、その仮説に対する乖離を検証して、次また質の高い高度な仮説が出来上がりますから、その仮説の検証をずっと繰り返せるので、それはいずれ戦略性の高いものになっていくわけなんですよね。
ただ、日本企業のまずやってみようというのは、アメリカのシリコンバレーのベンチャーのまずやってみようとはまったく質の違うもので。とにかくやってみようと、本社の戦略はよく分からない、とにかく現場やれと。そうなったときに、たまたま成功しても、これは全然再現性がないので。基本的には、日本企業によくありがちなのは、インドネシアでは成功しているんだけど、ほかの国では再現性がないから成功していない。もしくは、ベトナムでは成功しているんだけど、ほかの国では再現性がないので成功していない。なおかつ、インドネシアには15年駐在している何々さんがいるからうまくいっているとか、ベトナムは何々さんが10年以上いるからうまくいっているとか、そういう単位なんですよね。もしくは、もう30年その地で事業をやっているから成功しているとか、非常に投資対効果で考えたときに効率が悪い、再現性がない、これがいわゆる俗人性の落ちうる闇なんですけど。
マーケティング力というのは売れる仕組みをつくる能力で、これってまさに戦略ですよね。営業力というのは顧客と商談して受注を獲得する能力なので、これってどちらかと言うと戦術であると。そういうふうに考えるならば、日本企業の場合はやっぱりこの戦術のところ、営業力は非常に強いのにマーケティング力が著しく弱い。戦術には長けているけども、戦略が弱い。そういう傾向がやっぱりどうしてもあって、結局、俗人的になっちゃうんですよね。なので、先進的なグローバル企業は戦略的で逆算思考だけども、俗人的な日本企業は、戦略のない日本企業は俗人的で積み上げ思考という、これは非常に顕著に見てとれるので、「人頼り」というのも3つ目の大きな共通の法則、失敗の法則です。
まとめると、「モノ頼り」「パートナー頼り」「人頼り」ということで、すべてが戦略以外の何か別のものに頼っているという、こういう傾向が非常にやっぱり強くて、それだとやっぱりなかなかうまくいかないですよね。頼るべきは戦略なので、戦略ありきでモノが生きて、パートナーが生きて、人が生きるということなので、戦略が示されないと、これはモノもパートナーも人もまったく効力を生まないし、再現性が非常に低いものになってくるので、とにかく戦略ありきで考えていくということが大変日本企業にとっては重要なので、ここを攻略していくということが今後大切になると思います。
それでは今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。