森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。ここ何回か、ナビゲーターの東さんとも日程がうまく合っていて一緒に収録していたんですが、ここに来てまた日程調整が難しくなっちゃいまして、放送に間に合わないということでしたので、今回私1人でぶつくさお話をしていきたいなというふうに思っています。
何の話をしようかなと思ってちょっと考えてたんですけども、新興国市場、アジア新興国市場における…、アジアじゃなくてもいいんですけど、新興国市場における人材採用に関することについてお話をしていこうかなと。
実はこの人材採用、新興国市場で人材採用するときに、日本企業の多くから聞かれてくるのが、ローカルの人材すぐ辞めちゃうよとか、皆まで言っても分からないとか、あまり使えないとかっていうことを非常に多く今までも聞いてきました。ただ、実はこのローカル人材に対する、新興国市場におけるローカル人材に対するネガティブな発言の背景には、日本企業の大きな誤解があって、これを気を付けていけば、実は人材がすぐ辞めることもなければ、人材を使えないと思うこともなくて、どちらかと言うと、人材が悪いのではなくて、採用する側の企業に大きな誤解が生じているということを少しお話をしていきたいなというふうに思っています。
私もこんな仕事を長くしていると、いろんな企業から、ローカルがすぐ辞めると、何回言っても分からないと、はたまた使えないというような、少し荒っぽいようなお話もたくさん聞いてきました。どちらかと言うと、日本の本社がね、現地のローカル人材に直接、指示命令を出すということはないので、どちらかと言うと現地の駐在員の方から聞かれるというケースが結構多いんですけども。
現地の駐在員も大変なんでしょうね。日本企業の多くは、本社の戦略が曖昧なまま、現地で現場力でなんとか戦略を、戦略らしきものをつくって戦術力でカバーしろみたいなことをムチャ振りされるわけですから、自分たちが部下として使う人材に対する要求も非常に強くなると。結果として辞めてしまえば「すぐ辞める」という発言につながるし、うまく仕事ができなければ「使えない」という発言につながってしまうというのは非常に理解はできますよと。
ただ、これはやっぱりいろんな先進的なグローバル企業なんかを分析していくと、1つ日本企業と先進的なグローバル企業の大きな採用に対する大きな差というのがあって、どういうことかと言うと、日本企業は現地のローカル人材を採用するときに優秀な人材を採用しようとするんですよね。とにかく優秀な人材と。じゃあ、その「優秀の定義って何ですか?」と言ったときに、「皆まで言わずともよくできる人材」みたいな、ぼやーっとしているんですよね、優秀の定義が。ただ、とにかく優秀な人材を採用すると。
でも、現地で自分たちがローカル人材にやらせようとしていることって、本当にそこまで優秀な能力必要なんですかという業務が結構あるんですよね。例えば、セールスをすると。ディストリビューターに対する訪問セールスをする場合に、どういうケイパビリティがその人材に求められるか。そうなったときに、必ずしも優秀である必要はないんですよね。あらゆることに優秀で長けている必要はなくて。そのやらせるジョブディスクリプションを愚直に、毎日飽きずに、どれだけ継続できるかということのほうが重要だったりするわけですよね。
そうすると、優秀な人材を採用するということ以上に自分たちがやらせようとしている仕事にどれだけ合致した人材を採用しているかということが非常に重要で。この誤解のせいで合致していない人材を優秀だと思って採用したんだけども、いや、彼は優秀しないんだけども、合致しないから、結局する辞めちゃうみたいなね。それをもって「ローカルはすぐ辞める」とか、そういうことになってしまうわけですよね。もしくは、別のフィールドでは優秀なので、全体的に優秀だと思ったから雇ったんだけども、実際にジョブディスクリプションがしっかりしてないので、いざ、やらせてみたらオールマイティじゃないと。日本の会社員というか、サラリーマンというのは、無難に何事も処理をするという、そういう能力に長けていると思うんですけど、そんな人材、どこへ行ったって日本ぐらいですよね。韓国にもいるかな。なんですけど、こと新興国に行ってしまえば、それってどんどん、どんどん、本当にジョブディスクリプションベースの話になってくるので、非常にそこが重要になってくると。
…時間ですね。もっと話したいんですけども時間だというふうに言ってますので、一旦今日はこれで切って、またこの続きを次回お話をしていきたいなというふうに思います。
それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。