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第390回 【Q&A】新興国展開で最も重要なこと その7

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、皆さんからの質問にお答えをしていきたいと思います。

「新興国で成功するために最も重要なこと」ということで、今日で7回目ぐらいですかね。(笑)すみません。本当はね、最も重要なことは1つであるべきなんですけども、どういうインダストリーの企業が、どういう国でどういう都市で取り組みをしているかによって最も重要なことというのは変わってくるので、僕が思う重要なことをいくつかの観点でお話をさせていただきますということで始めて7回目になっちゃいましたけど。前回はチャネルが重要ですよという話をして、私の話が長過ぎて1回で終わらなかったので、今日は引き続きチャネルの話を短くまとめていきたいなというふうに思いますけども。

チャネルが重要ですよと。もちろんターゲットが重要という話もこの番組でしましたけども、ターゲットがまずあるべきで、ターゲットというのは常に上位概念ですと。そのターゲットに対してどうやって4Pとか4Cを当てていくかということが重要なので、まずターゲットが絶対ですと。そのターゲットが正しいということを前提としたときに、じゃあ、4Pの中でチャネル…。プロダクトというのがね、いわゆるひとりよがりのI want you的な行き過ぎた過剰品質、過剰機能みたいなものが日本企業は強過ぎるというふうに揶揄されますけども、そういう問題は置いておいて、基本的にプロダクトが劣っているということはないわけですよね。求められてないほどに研ぎ澄まされちゃっているみたいな、そういう問題はあるにせよ、何かが至っていないみたいな、品質が至っていないとか、機能が足りないとか、そういうことはないわけですよね。プライスに関しても、じゃあ、ばか高いかと言うとそんなこともなくて。まあまあ高いは高いんだけども、そこそこですと。これも問題なんですけどね。1円でもモノは高く売る必要があるので。決して僕は安売りをすることに対しては賛成ではなくて、1円でも高く売ると。1円でも高く売れるようにどうすればいいのかということを考えるのがマーケティングなので。まあまあプロダクトはそうですと。プロモーションも国内だとそれなりにプロモーションをしっかりやるんだけど、新興国に行くと取りあえず売れてからということになってしまうので、プロモーションもほぼない中で。

一番の原因ってやっぱりチャネルで、チャネルが弱いからプロモーションも打てないわけですよね。結局プロモーションを打ったって、チャネルが消費者だったり、B2Bだったらユーザーに行き届いていないので、基本的には砂漠に水をまくようなものになるので、あまりプロモーションも打てないというところに陥ってしまう。
チャネルってやっぱりすごく重要で、何を言っているかと言うと、前回も少しお話しましたけど、消費者やユーザーが何を求めているかというインサイトに関しては、ある一定レベルまで到達したら、それ以上ほじくってももう何も出てこないんですよね。それよりもチャネルの力でいかにリーチさせるかということのほうが重要で、どれだけ求めさせるか。求めさせるかというのは、向こうがこれ欲しいというインサイトってある一定のところまで追い求めてしまうともうそれ以上は出てこないんですよね。それよりも、こちらからそれをプロダクトアウトしていく力のほうがすごく重要で。よく「マーケットインか、プロダクトアウトか」みたいな2極の議論をされますけど、これは両方必要で。ある一定の部分、ある一定のインサイトまではマーケットインで導き出すんだけど、それがカチッと確定したあとは、もう徹底したプロダクトアウトで消費者にそれを慣れさせるということはすごく重要で。今、世の中で成功している企業なんてみんなそうですよね。ある一定のインサイトまではマーケットインで取るんだけども、そのあとは徹底してそれがいいんだと。「私たちのクールはこれです。これを皆さんが求めているんです」ということを、どんどん、どんどん、市場に浸透させていく。その力の1つがチャネルだし、その力のもう1つがプロモーションだし。だから、チャネルとプロモーションというのは常に両輪で進んでいく。その上にプロダクトやプライスが乗ってくるんだけども、そのプロダクトやプライスに関してはめちゃめちゃ安くする必要もないし、商品もめちゃめちゃ良くする必要もなくて、ある一定のところまで持っていったら、あとはチャネルとプロモーションの力で市場に浸透させていくという、ここの部分がやっぱり非常に日本企業は弱いので、チャネルがすごく重要ですよと。

チャネルの部分に関して言うと、これは主要競合と自分たちのチャネルを比べてきていないですよね。何が違うのか。主要競合のチャンネル力が100だったときに、自分たちのチャネル力というのはどれぐらいなのかというのを数値で理解できていない。ディストリビューターの数が足りないのか、質が足りないのか、何が足りないのか、もしくは自社の営業マンなのか、何なのかということはまったく分かっていないまま、漠然と負けている感じなんですよね。ここのチャネルをしっかり可視化して紐解いていくと、具体的に自分たちには何が足りていないのか、ディストリビューターが足りていない、数が足りていない、質が足りていない、そういうところを見ていかないと、チャネルというのはいつまで経っても強くならないので、ここを変えるだけで日本企業の商品というのはまだまだ市場に浸透していくし、日本企業のシェアはまだまだ上げられるというふうに感じます。

ということで、チャネルが重要ですというお話でございました。今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。