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第389回 【Q&A】新興国展開で最も重要なこと その6

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、皆さんからの質問にお答えをしていきたいと思います。

「新興国で成功するために最も重要なこととは」ということで、今日で6回目ぐらいですかね、この質問に答えるの。最も重要なことなので、本来は1つなんですけども、これは誰に対してかによって、対象によって最も重要なことというのは変わってくるので、どういうインダストリーの企業が、どの国のどの都市に出ているのかによって全然、最も重要なことというのは変わってくるので。B2BでもB2Cでも相対的に本当に重要だなということ、お話しておきたいなということをいくつかの観点でずっとお話をしてきて、今日で6回目ぐらいですけども。また引き続き、ちょっと別の観点でお話をしていきたいなというふうに思います。

重要なことなんですけど、今日のお話は販売チャネルが非常に重要ですよというお話をしたいなと。日本企業の失敗事例をずっと見てきた中で1つあるのが、別にモノがまったく駄目とかっていうことってないんですよね。他国の製品、商品に比べてモノのレベルが追いついてないとか、品質が悪いとかっていうことはなくて、むしろ品質はより高い、機能もよりたくさん付いていたりとかっていう。それがガラパゴスになってしまっているとかっていうことはもちろんあると、求めていないものを押し売りしているというね、そういう傾向があるものの、モノの品質とか機能とか、そういったことだけを見たときに、プロダクトだけを見たときには別にそんな劣るなんていうことはなくて。じゃあ、「何が日本企業は一番劣っているの?」と言うとチャネルなんですよね。圧倒的に弱いのはチャネルで、これはB2BでもB2Cでもそうなんですけど。

例えばB2Cの世界だと、先進的な消費財メーカーに比べてディストリビューターの質や数でも圧倒的に劣っているし。結局そもそもターゲットがぼやけちゃっているので、そのターゲットに到達させるためのチャネルストラクチャーはどうあるべきなのかみたいな考え方自体がもうそもそもないので、当然、組むべきディストリビューターはとにかくでかいところみたいな話になってしまうし。その先のことに関しても、自分たちはつくる人で売るのはディストリビューターなので、ほぼお任せ状態みたいな状態になっていて、本当に弱いのは販売チャネル。これはB2Bでも一緒ですよね。

大して理由がないのに1カ国1ディストリビューター制を敷いていて、結局、本来到達すべきユーザーには到達していなかったり。ディストリビューターが、自分たちが到達したいターゲットに対してディストリビューターが今現状、既存で到達できていなかったら、そこに新規で食い込むなんていうのはもう5年10年の話なんですよね。ということは、やっぱりすでに顧客を持っているところを複数同時並行的に付き合っていって、それをどう自社内競合させないか、エリアで分ける、インダストリーで分けるということをやっていかないといけないのに、そのターゲットに対するリーチみたいなところはふわっとしておいて、ある程度規模があって大きいところに撒かせておけば大丈夫だみたいな、半分神頼みみたいな販売チャネルをつくっていっているという、そういう傾向が非常に強くて、本当に販売チャネルは弱いと。

製品に関して言うと、ある一定のインサイト、インサイトをいくらほじくっても、これは永遠に迷宮、幻のターゲットを追い求めることになってしまう。ある一定のインサイトを理解したら、これはチャネルの力とプロモーションの力で市場にどうやって浸透させるかということのほうが、実は本来のマーケティングの活動のあるべき姿だと僕は思っていて。消費者であったりユーザーもターゲット自身が何が欲しいか分かっていないわけですよね、深い話をすると。自分たちの深層心理を本当に理解しているなんていうのは分からなくて、目の前に出された瞬間、「ああ、これが欲しかったんだ」ということになるので、深層心理まで本当に消費者が理解しているのか、ユーザーが理解しているのか、そうではなくて。なので、インサイトってある一定のところ以上を突き詰めても、ROIが悪くなってしまうので。先進的なグローバル企業はみんなそうですよね。ある一定の基準までインサイトを明らかにしたら、あとはチャネルとプロモーションの力でそれを求めさせていくということをやっていかないといけない。チャネルがないとプロモーションも打てないので、本当にチャネルというのはすごく重要で。

チャネルの話になるとちょっと話が長くなって恐縮なんですけど、これは今回1回で終わらないので、またちょっと次回チャネルの話を引き続きやっていきたいと思うので。今日はこれぐらいにしますけど、また次回引き続きチャネルの話をさせてください。

それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。