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第388回 【Q&A】新興国展開で最も重要なこと その5

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、皆さんからの質問にお答えをしていきたいと思います。

引き続き、「新興国で成功するために最も重要なこと」ということで何回かに分けていろんな観点で回答をしています。最も重要なことがその対象にとって変わってくる。誰にとってなのかによって最も重要なことっていうのは変わってくると。どの国のどの地域に、どういう産業の企業が出ているかによって最も重要なことというのは変わってくるので、いくつかの観点でお話しますよということで何回かに分けてお話をしているというのが現状でございます。

今日は、新興国で成功するために本当に重要なことなんですけど、1つお話したいのが、積み上げ思考よりも逆算思考でやるということが非常に重要で、そのことについてお話をしていきたいなというふうに思います。

積み上げ思考って、日本企業の多くが、われわれ日本人というのは積み上げ型の思考に慣れてしまっているというか、心地良いんですよね。あまり先を見ずに目の前のことをとにかくしっかりやるんだと、それが正義なんです、美徳なんですということで、ずっとこれって常識なのか、われわれの道徳なのか、商習慣なのか、社会の中にそういう概念がやっぱりすごく根付いていて、大きなことは選ぶなと、とにかく目の前のことをやるんだと。部活動もそうですよね。1年は球拾いだとかね、会社に入ってもでかいことはまず偉くなってから考えたらいいと、言われたことをやっていればいいみたいな、そういう概念にも共通することだと思うんですけど。

非常に、日本企業の新興国市場の展開を見ていると、積み上げ式で一歩一歩階段を上っていくという、この一歩一歩上っていくということは非常に重要な考え方ではあるんですけども、残念ながら新興国市場というか、グローバル競争でそのやり方で勝てるかと言うと、残念ながらもうそういう時代ではなかなかなくなってきていて。70年代、80年代、90年代ぐらいまでは…、90年代はちょっと難しいですかね、60年代、70年代,80年代ぐらいまでは一歩一歩積み上げでというのは、ある意味それで日本企業というのは世界第2位の経済大国にかつてのし上がったわけなので、それはその時代はそれでよかったと。

なんですけど、今、多くの先進的なグローバル企業の戦い方を見ていると、まずビッグピクチャーをバーンとつくって、そこからゴールを設定しますと。全体像を描いてゴールを決めて、そのゴールに行くための最短の手法、ルートはどこかということを逆算していくんですよね。それがまさに戦略で。明確ですよね。全体像がパッと見えますから。その中でゴールはここです。じゃあ、ここに、今自分たちはここにいて最短で行くためにはどうやって行ったらいいでしょうか、というのが戦略です。だから、先進的なグローバル企業は戦略があります。

一方で日本企業の場合は、とにかくやってみようよと。今、目の前のことを、やれることをやりましょうと、コツコツ次に行きましょうって階段を上がっていくんですけど、上がっていった先にゴールがない可能性もあるわけですよね。特に新興国みたいに・・・。日本国内の市場はいいですよ、ある程度見えているので、実は積み上げで上がっていってると言ってもビッグピクチャーは見えているんですよ、潜在意識の中で。だって、国内の市場で慣れているわけですから。

でも、一方で、新興国市場って日本とはまったく違う市場で、まったく見えない中、ビッグピクチャーを見ずにしてただ目の前のことをやって積み上げていったら、そこの先に本当にゴールがあるかと言うと、必ずしもそうじゃないわけですよね。仮にそこにゴールがあったとしても、やっぱりスピードが圧倒的に逆算に比べて積み上げは劣ってしまう。積み上げというのは目の前のことをコツコツやっていくことなので、結果として速かった遅かったという話ですけども、逆算というのは常に最短ルートをたどっていきますからスピードが速いわけですよ。そうすると、ゴールにたどり着いたときにはもう市場が変わってしまっているということにもなり得るわけなので、やっぱり積み上げ思考ではなかなか勝てないと。先進グローバル企業をたくさん訪問していろんな話を聞く中で、調査分析してきた中で思うのは、彼らが戦略的なのは逆算の思考だからである。そして、日本企業が戦略的ではない、俗人的なのはこの積み上げの思考にいつまでも引っ張られてしまうからというふうに思います。

ですので、皆さん、ぜひビッグピクチャーを見てゴールを決めて、そこのゴールに最短に行く方法をつくるということが戦略で、逆算の思考を訓練をしていく。これは訓練なのでね、僕も意識的に訓練していますけども、逆算思考を訓練してみてください。

それでは今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。