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第412回 【現地取材】ベトナム 伝統小売で10円で売るチュッパチャップスとは?

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、6月に私が久しぶりに行ったホーチミンの現地取材の動画を見ていただこうと思っています。

最後の動画で、今日はベトナムの伝統小売のちょっと労働者エリアというか、前回とかって富裕層のエリアの伝統小売をご紹介したんですけど、今回は比較的交通量の多い労働者エリアで、周りに小さな問屋さんがいっぱいあったりとか、問屋兼小売みたいのがあったりとか、タイヤの、バイクのタイヤを修理するお店が小さいのがあったりとか、そういうところがごちゃごちゃしているようなところで。そこの伝統小売への取材で。結論から言うと、やっぱりあんまり景気よくないよという中で、伝統小売そのものは景気が悪いと。ただ、その伝統小売は幸いにも自分たちの家の1階が伝統小売になっているという、そういう状況なので、そんなに深刻的な感じじゃないんですけどもね。

伝統小売がまだ景気が悪いということよりも、むしろ面白いなと思った2つのことを紹介したくて。この番組のタイトルになっている、今回のタイトルにもなっているチュッパチャップスが10円ぐらいで売っているんですよね。日本でチュッパチャップスは10円じゃないので。100円近くするのかな。数十円すると思うんですけど。そのチュッパチャップスがベトナムで10円で売れていますよと。そこには、なぜ10円で売れるかという非常に単純なシンプルな、これは伝統小売ではこうやって売らなきゃいけないんだよねと。そもそも、例えば50円100円するものを、どうやって10円20円にするかっていうところ、ここがやっぱり伝統小売の面白さだし、こうやって各社工夫して伝統小売で売れるようにしていると。だって、そもそも7,000~8,000店舗しかない近代小売、一方で60万店ある伝統小売を考えると、絶対に伝統小売に並べないと、飴ちゃんなんて、お菓子なんて、大きな商売にはならないわけですよね。そうすると、どうやって、じゃあ、この価格が高いものを下げるのかというところに1つの面白さがあるので、このチュッパチャップスがどうやって10円で売っているかというところを動画を通じて見てもらえたらなということと。

あと、もう1つ盲点があって。それはクッキーなんですよね。ダニサーっていうクッキー、これはデンマークか何かのクッキーなんですけど、カンカンに入って、昔、日本でもこういうのあったと思うんですよね。まだ核家族じゃなくて、家族が食卓を囲んで団らんみたいな時代に、お客さんが来たときだけに出すような、こういうクッキーみたいなものですね、百貨店とかで買ってきてみたいな。まさにこういうクッキー、カンカンに入ったクッキーが、言ったら200~300円ぐらいで売られているわけなんですよ。200~300円。200~300円で伝統小売と言ったらめちゃめちゃ高いので。でも、それが売れるんですよね。なぜ売れるかと言うと、結局、家族、家にお客さんが来たときに茶菓子を出さないといけないと。その茶菓子として食べられたりしてるんですよね。チョコパイ、ロッテのチョコパイなんかも1個売りで今食べたいというニーズもそうなんだけども、一方で10個入ったパッケージとか、6個入ったパッケージが茶菓子として売れていく。こんなもの、伝統小売で本当に売れるんだろうかみたいなものが。

実は伝統小売での用途って、今使いたい分だけが欲しいと。薬だったら、例えば頭痛になっても10錠、将来なるかならないか分からない頭痛薬を買うお金はないんだけども、今のこの頭痛を治したいがために1錠から頭痛薬が売っているというのが伝統小売の魅力で。どれだけ今使いたい分だけ、今食べたい分だけ、今飲みたい分だけを買えるかっていうことが伝統小売の1つの攻略のポイントなんですけど。

一方で、伝統小売で買うものの中には、住宅街の伝統小売なんかは特になんですけど、お客さんが来たときの茶菓子みたいなものを300円程度ぐらいで置いておくと、これが意外に非常に売れていくという、で、単価も高いしということにもなっているので。ぜひね、このダニサーというクッキー、デンマークのクッキーだったと思うんですけども、たぶんみんな見たことあると思うんですよね、カンカンね。昔、日本でも昭和の時代に売っていたような気がするんですけども、ぜひちょっと、番組を通じて感じてみてください。


【現地視察:店の前にて】
森辺:皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は2022年6月28日、私はホーチミン郊外に来ております。比較的このエリアは労働者の多いエリアで、この労働者のエリアの比較的交通量の多いところの伝統小売をちょっと見ていきたいと思います。

ちょっとね、周りのこの風景をゆっくり回してもらっていいですか。こんなところですね。じゃあ、早速、お店のほうに行ってみたいと思います。

【現地視察:店の中へ】
森辺:コロナになってから、景気どうですかね?

店主(日本語訳):あんまりまだそんなに戻ってないです。

森辺:コロナ前を100とした場合、どれぐらいまで戻ってきてますか?

店主(日本語訳):60%。

森辺:60%ぐらい。

店主(日本語訳):まだ全然。

森辺:じゃあ、苦しいですね、それはね。

店主(日本語訳):今はたぶん、やっぱりみんな収入があまりそんなに。

森辺:戻ってきてないからね。

店主(日本語訳):戻ってきてないから、あまりお金、あまり使いたくない。

森辺:ちなみに、この店で一番売れてるのって何ですか?

店主(日本語訳):ダニサーが一番たぶん年中売れてる。

森辺:どれどれ?

店主(日本語訳):ダニサー。

森辺:あー、ダニサー。クッキーね。

店主(日本語訳):あと、チョコパイも年中売れてます。

森辺:そうですか。

店主(日本語訳):常に売れてます。

森辺:このオリオンのチョコパイ、いくらですか? 12パック入りのやつ。

店主(日本語訳):これが売れてます。

森辺:いくら?

店主(日本語訳):5万ドンです。250円。

森辺:5万ドンね。オレオもね、オレオのチョコパイも出てるんだね。5万ドンのね。これは?

店主(日本語訳):13万ドン。これは5万5,000ドンで、あれは20万ドン。15万ドン。

森辺:大きいやつね。これが5万ドンね。300円ちょっとだね。

店主(日本語訳):300円ぐらい。

森辺:このオレオも300円、290円ぐらいだね。

店主(日本語訳):ぐらいですね。

森辺:ちょっといろいろ売ってるものを映させてください。いいですか?

店主(日本語訳):はい。

森辺:チョコパイね。ベトナムはね、チュッパチャップスとかも。これもね、日本で売ってるチュッパチャップスに比べたらね、大きさがね、小っちゃいのよね。一回り、二回り小っちゃい、それで安く。これ、1個いくらですか?

店主(日本語訳):2,000ドンです。

森辺:2,000ドンと言うと?

店主(日本語訳):昔は1,000ドンだったんです。

森辺:1,000ドンだったね。今が、2,000ドン。でも、日本で売ってるチュッパチャップスに比べたらだいぶ小さいのよ。そこで調整してる。駄菓子系みたいのも結構売ってるんだよね。これKinderじゃなくて、King Sunって書いてある、これね。類似品。こっちがKinderですね。

店主(日本語訳):こっちがKinder。

森辺:こっちはKing Sunだね。日本のものって何か売ってますか? ナビスコね。

店主(日本語訳):あー、ナビスコ。

森辺:これも並行輸入で来ているんだね。

店主(日本語訳):これは、でも、インドネシアから。

森辺:インドネシアね。インドネシアからね。これは、でも、インドネシアから、日本向けにつくってるやつなのかな、これ。基本的にパッケージは日本。

店主(日本語訳):この辺は労働者なので、あんまりたぶん収入が高くないです。なので、高いものを売ってもあまり売れないです。

森辺:これね、インドネシアっていうか、日本製の並行品が1回インドネシアに出て、それが回り回ってベトナムに来てるね、このパッケージからいって。だいぶこれ埃っぽいから、だいぶ手に埃ついたね、今ね。あまり売れてないんだ、長いことね。これ、上は自宅になっているんですか?上は家になってるんですか?

店主(日本語訳):はい、自宅です。

森辺:いいですね。

日本語訳:家賃はたぶん掛からない。。

森辺:0ですね。

日本語訳:0です。

森辺:調味料、見てもいいですか? これ、冷蔵庫。SANAKY。
中のほうに行くと、シャンプーとかね、ほとんど欧米系ですよね。
あっ。S&Bのわさびがあった。味の素、これはどこでもある。S&Bのわさびは、これはもう輸出系のやつが日系食材問屋経由で回り回ってこういうところにも並んでいるんでしょうね。ここ、わさび売ってますけど、こんなところでわさび買う人いるんですか?

店主(日本語訳):うん。いるよ。

森辺:2万7,000ドン。

店主(日本語訳):2万7,000ドンです。

森辺:いくらぐらい?

店主(日本語訳):130円ぐらい。

森辺:130円ぐらい。

店主(日本語訳):140円、はい。

森辺:160円ぐらいか。

店主(日本語訳):今、円安だからね。

森辺:そうか、円安だからね。はい、ありがとうございます。Thank you。


【解説】
森辺:いかがでしたでしょうか。チュッパチャップス、10円で売るために、サイズを小さくしているという、非常にシンプル、単純なことなんですけども、そしてコストを下げると。それで10円で売っているという。もともとね、1,000ドンだった、5円で売っていたものを、今、2,000ドンになって、10円になっているという。10数円ですかね、今、円安なのでね。これがまた今度3,000ドンになって、4,000ドンになってということになっていくんでしょうけども、サイズを小さくしているということでございました。

動画でも見ていたダニサー、ああいう結構大物、大きい箱に入った200~300円ぐらいのお菓子が結構並んでると思うんですけども、あれれ?と思った方もいると思うんですよね。伝統小売って、本来、今使いたい分だけを買う場所じゃないの?と。だから、小分けにするのが鉄則でしょ、ということだと思うんですけども、いや、実はああいう大きなものは家庭に持って帰って、お客さんが来たときの茶菓子として出されているんですよという、そういうところも1つのポイントなので。

この両極端に分かれているので、これから商品投入をするときには、今使いたい分だけの商品なのか、それとも来客時の茶菓子として使ってもらいたいのか、ここで大きく戦略が分かれてくると思うので、ぜひそんな観点でも考えてみてはいかがでしょうか。

それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。