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第413回 【本の解説】「STP」で現実的な売上予測ができる

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。前回まで、先日、私がホーチミンに行った際の現地の視察動画ということで、伝統小売の景気動向のインタビュー動画みたいなものを何本かご紹介したのですが、それももう終わりまして、今日から久しぶりにこの『グローバル・マーケティングの基本』 日本実業出版から私が去年出した本ですけども、この本の解説を引き続きやっていきたいと思います。

今日は、1-12、54ページですね。54ページからの解説になります。「「STP」で現実的な売上予測ができる」ということで、「R」「STP」「MM」のいわゆるマーケティングの基本プロセスの話をずっと現地視察動画の前やっていて、その続きの「STP」というところのお話が今回になります。

まず、スライドをお願いします。この1枚目のスライドなんですが、この「STP」、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの略で、またカタカナで書かれていると、何なのかパッと感覚として分からない方もいると思うので。非常に簡単に言うと、「どんな層に売ったらいいの?」というのがセグメンテーションなんですよね。これはどういうことかと言うと、自分たちのターゲットって、例えばB2Bだったら、自動車産業のセグメントにいる、インダストリーにいる企業なのか、それとも通信産業にいるインダストリーの人たちなのか、はたまたなんとか産業にいるって、これは大きく分類しているという、これがまさにセグメンテーションなんですよね。通信産業の顧客と、いわゆる自動車産業の顧客って、例えば攻める場所も違えば、攻める攻め方も違うし、その業界独特の商習慣もあったりするわけだから、大きくセグメントで分けていって、どこを優先的にやりますかということをまずざっくり分けるという、これがセグメンテーションなんですよね。B2Cだったら、例えば若者をターゲットにしているのか、それとも高齢者をターゲットにしているのか、はたまた女性をターゲットにしているのか、男性をターゲットにしているのか、もしくは地域で分けてもいいと思うんですけども、非常にざっくり分けていく。B2Bならインダストリーだし、B2Cだと層で分けていくということになると思うんですけども、ざっくり分けると。

じゃあ、ターゲティングって何ですかということなんですが、これも赤字で書いてある通り、その層の中でも具体的にもっとフォーカスして絞り込んでいくとどこを狙うことになるの?と。例えばB2Bだったら、自動車産業ですということなのであれば、自動車のインダストリーの中のどの企業を攻めるんですかと、バイネームで企業名をリストアップするぐらいの話、ここまで具体的にするのがターゲティングなんですよね。攻める相手を特定する。B2Bは、もうバイネームで企業を特定するというのが非常に重要で。もっと細分化していくと、部門とか、担当者みたいなところまでターゲティング。これは細かくなればなるほど、それだけいわゆる受注接点というか、商談機会が増えますから、いかに細かく細分化していくかということがすごく重要で。B2Cだと中間層、B2C、FMCGの場合、中間層とざっくりあったときに、私は新興国市場だと中間層というのが、言ったらざっくりとしたセグメンテーションの中で、中間層でもどのレベルの中間層なのかという、所得で分けるということをやっていっても永遠になんかよく分からない、亡霊みたいなターゲットを追いかけることになるので、やっぱり地域で分けるというのが非常によくて、本当の所得なんて分からないんですよね、可処分所得をどれぐらいもらっているかなんていうのは。一番それを特定しやすいのは、やっぱり可処分所得が高いとか、世帯年収が高い、1人あたりGDPが高い人たちというのは、それなりの場所に住んでいますから、そこをもう場所もしくは地域でターゲティング、絞っていくというのが、僕は一番効果的だと思うので、それをやっていく。もしくは小売で絞っていくということをやっていくというのが1つですよね。

一方で、ポジショニングというのは、じゃあ、そのセグメンテーション、ターゲティングの人たちに対して自分たちってどういう立ち位置でいるべきなの?と。言ったら、ブランド・アイデンティティーをどう示していくんですかと。自分たちはどういうイメージを持ってもらうの?ということになるわけんですが、次のスライドを見てもらったほうがいいかもしれない。これは、たぶん、多くの参考書なんかでは、こういう書き方をしているんですけども、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング。

セグメンテーションというのは…。セグメンテーションとは、市場の中で同じような欲求や行動を持つ集団をグループ化すること。だから、自動車産業だったら、同じような欲求や行動を持つわけですよね。それをグループ化するわけですよ。本当に分かりにくいですよね、これ。僕もね、自分で書いていて思うんだけども、同じような欲求や行動を持つ集団をグループ化と言われても、これ、どの参考書にもセグメンテーションってこう書いてあるんですよ。なんですけど、これは本当分かりにくいから、僕は「インダストリーで分けてください」というふうに言うんですけども、まあまあこういうことですと。

ターゲティングというのは…。ターゲティングとはセグメンテーションした市場から、自社にふさわしい市場を決める。だから、自動車産業、何とか、通信産業、何とか産業って、いくつかセグメンテーションした中で、自分は自動車なんだとか、B2Cだったら、自分は中間層の中でも女性でこのエリアなんだとか、そういうことを決めていくと。市場の魅力と自社の能力でセグメントを選んでいくんですよと、これがターゲティング。
最後のポジショニングというのが、ポジショニングとは製品やサービスをターゲットの心の中に独自化する。つまりはエボークドセットになるということなんですよね。エボークドセットというのは、人々が、もしくは企業が何かを購買するという意思決定をするときに、もうすでに候補が頭の中にいくつか挙がっているんですよね。これがエボークドセットというものなんですけども。この候補の中に挙がらないと、まずもって選ばれる可能性というのは低くなるわけですよね。
よし。例えば簡単な例で言うと、暑いな、アイス食べたいなと。何のアイス食べようかな。ガリガリ君かな、雪見だいふくかな、それとも、何だろう、パルムかなみたいな、こういう感じで、これ今、3つの商品を言いましたけど、これがまさにエボークドセットで。このセットのところに行くわけですよね。だから、それ以外のものというのは選ばれる可能性が著しく低い。そうすると、この3つの、今言った雪見だいふくと、何だ…、3つ、僕、言いましたけど、そのアイスというのは、もう僕の中ではエボークドセットになっていて、各メーカーが消費者に対して、いわゆるブランド・アイデンティティーを示してきているわけなんですよね。だから、僕はそれがいいと思っているし、食べたこともあるし、おいしいとも思っていると。なので、心の中に独自化されちゃっているわけなんですよね。そうじゃないと、なかなかちょっと選ばれないというふうに思います。

雪見だいふくっていいですね。おいしいですよね。でもね、もっとおいしいアイスあるんですけど。福岡のね、会社がつくってる、●マルフク製菓(※丸永製菓 00:08:13)と言ったかな、あいすまんじゅうというアイス、地方に行かないとコンビニに売ってないんですけどね、もう本当においしくてね、あのアイスはたまらないですね。あずきの、アイスなのに小豆のこのねちょっとした感じと、バニラアイスのクリーミー感。ちょっと全然関係ない話ですけど、ぜひ、機会があったら食べてもらいたいんですけど。

ポジショニングと言ったら、まさに独自化をすると。独自化とは、ちょっとスライドに戻りますけど、その製品やサービスがターゲットの心の中で、他社とは異なる特別な存在として認識される。僕の中では、雪見だいふくというのはもう特別な存在なんですよ。あいすまんじゅうというのは特別な存在。ガリガリ君というのは特別な存在なんですよね。これが僕の中でのエボークドセットとしてインプットされているので。こういうふうにインプットされると、5回行ったら、5回のうちのやっぱり3回4回はそれを選ぶわけですよね。まれに、「あれ?何このアイス。白くまくん、面白そうだな」って食べるかもしれないけども、基本的には独自化していく。他とは異なる特別な存在になるということがすごく重要で、これを築いていかないといけない。これがポジショニングなわけですよね。
こんなことをしていくということで。ちょっと長くなっちゃっていますけど、まあまあ、「STP」で2回に分けたくないのでこのまま引き続きいきますけども。

ちょうど57ページのところのターゲティングの5つのフレームワークということで、ターゲティングって5つのフレームワークがあって、これもちょっと覚えておくといいと思うんですけど、縦軸がP、プロダクトの軸で、横軸がマーケットの軸ですと。この図の通り、3枚目のスライドの通り、単一集中型、このP2の製品のM2の市場だけをまず狙うんです、一点突破バーンとするんですというのが、このP2ですよね。あと、選択専門型というのは、プロダクトと市場を選んで、いくつか選びながらいく。もしくは製品特化型。もうもう、この製品で全市場を獲りますと。あと、市場特化型。もう、プロダクトじゃなくて市場、この市場で全部の製品を投入しますと。あと、もう全商品を全市場に投入しますという、フルカバレッジ型というふうに書いてますけども。結局ね、新興国市場でこのフルカバレッジ型なんて、日本企業はなかなかできないんですよ。これ、特に欧米の企業は非常に戦略的に物事を進めていくので、その戦略に基づいて大規模投資の決断をバーンとやって、ダーッとフルカバレッジでいくというケースがありますけど、なかなか日本企業の商習慣というか、文化にはなかなか向いていないので。だいたい新興国市場ではやっぱり単一集中型で、一点突破でまず風穴をあけて、そのあと製品特化型に進むのか、市場特化型に進むのか、そのいずれかがおそらく向いているんじゃないかなというふうに思いますけども。一応、こんな5つのフレームワークが、ターゲティングのフレームワークがありますよ、ということを認識しておいてくれたらよろしいんじゃないかなというふうに思います。

とにかく…。2枚目のスライドに戻りますけれども、まず自分たちが攻める「STP」というのは、攻める市場をまずざくっとセグメントしましょうよ、分けましょうと。インダストリーで分けましょう、B2Bだったら。B2Cだったら、どの消費者を狙うの?どの地域の消費者を狙うの?と、消費者を分けていきましょうと。そして、その中でもターゲティングというのは具体的にする。B2Bは、バイネームで企業名を挙げていくと、それがターゲットですと。B2Cは、エリアに特定しましょうと。そのエリアがいわゆる所得を反映していますから、居住エリア、地域でフォーカスをしてくと。すごく重要なのはポジショニングで、ブランド・アイデンティティー、自分たちがどういう存在であるのか、これこそがお客さんがその商品に手を伸ばす動機になるわけですから、エボークドセットに入らなければ選ばれないということを、選ばれにくいということを理解する必要があるし、この他とは異なる特別な存在だから買う価値があるんですよね。それが味でもいい。品質でもいい。ブランド力でもいい。でも、日本企業はどっちかって言うと品質に寄っちゃうんだけども、品質ではなかなか特別な存在にはなれないというのが昨今なので、やっぱりブランド・アイデンティティーをつくっていくという活動が非常に重要になるんじゃないかなというふうに思います。

本当に長い動画になっちゃって申し訳ないんですけども、今日はこれぐらいにしたいと思います。

それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。