森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日も前回に引き続き、真面目な話をしていこうと思うんですが…。
われわれの会社は「日本企業のアジア新興国市場のマーケティング課題を解決する」というのが主業務なので、それに関連することを聞かれることが非常に多いと。その中でやっぱり多く聞かれるのが、「どうやって強固な販売チャネルをつくればいいんですか」ということをすごく聞かれますと。これを一言で説明するのってなかなか難しくて。そこにはいろんなポイントがあって、そこをチューニングをしていかないといけないし、強固なチャネルって一瞬で出来上がる話ではなくて、1年目で側を完成させて、2年目で中身をつくって、3年目4年目でどんどん、どんどん、アップグレードしていくみたいな、そういう積み重ねの業務なので、非常に時間もかかるし、一瞬でどうこうという話じゃないですよね。ただ、3つのやっぱり重要なポイントがあって、この3つを押さえないと強固な販売チャネルというのは絶対にできなくて、この3つをしっかり押さえていく。この3つを押さえるというのはね、1年ちょっとぐらいでできるんですよね。だから、強固な販売チャネルをつくるという意味では、ある意味1年半ぐらいあれば十分出来上がる。一方で、その強固な販売チャネルをさらに強固に強固にしていくのが2年目3年目4年目5年目って、この積み重ねの話なので、時間がかかると言っても1年半でできる。ただ、一瞬ではできないですよ。ここをポッてボタンを押したら明日からこうなります、そういう話じゃないと。その中で重要な3つのポイントというのがあって、そのことについて今日はお話しようかなというふうに思うんですけども。
チャネルづくりって、発掘選定と、契約交渉と、管理育成なんですよね。ディストリビューター、いかに良いディストリビューターを、適切なディストリビューターを発掘選定するか、見つけ出して、選んでいくかということ。発掘は、絶対評価で発掘をしていくんですよね。選定というのは、相対評価で選定していくんですけども。まあまあ、詳しくはあとでまた話しますけども。とにかく良いディストリビューターを選定するということが重要、決めるということが重要。じゃあ、良いディストリビューターを決めたらそれで終わりかと言うと、そうじゃなくて。でもね、良いディストリビューターを選べたか、選べてないかによって、成功確率の、強固な販売チャネルをつくれるか、つくれないか、つまりはシェアを上げられるか、上げられないか、売上を上げられるか、上げられないかの5割は決まると言っても過言ではないと。もう、ここを間違えちゃうと、基本的には時間をロスしますよね。だって、間違いに気付くのって、やっぱり確信するのって何年かあとなんですね。そうすると、やっぱり何年もの時間をロスするということになるし、ダウンサイドに行ったときのダメージがでかいですよと。一方で、アップサイドの成功確率って5割はもうこの発掘選定で決まっちゃうというのが1つ。
じゃあ、5割をさらに高めようとする行為というのが契約交渉なんですよね。基本的には契約交渉までに戦略を握るということを、やっぱりしっかりやらないといけない。お互いKPIを握るということをやらないといけない。どういう組織体制で、どういうことをやるのか。つまりは目標数値があって、その目標通知を達成するための指標は何なんですかと、KPI何なんですかと。例えば、訪問数であったりとか、B2Cだったらストアカバレッジと、インストア・マーケットシェアと今までずっと言ってましたけども、分かりにくい、ややこしいと言われるので、1店舗あたり売上でいいと思うんですよね、店頭シェアでもいいと思うんですよ。1店舗における自分の商品の占有率を店頭シェア、インストア・シェアというふうに言っていますけど、僕がずっと言ってきていたインストア・マーケットシェアというのは、そうは言っても1店舗における自分の自社商品の比率よりも、同一カテゴリーでの自社商品の比率を見るべきだからインストア・マーケットシェアと言い続けてきたんだけども、そこまでこだわるのってもっとあとでいいので。むしろ店頭シェアという、インストア・シェアみたいなものにもこだわらずに「1店舗で自分の商品はどれだけ売れたの?」と、セールス…、何だろうな、パーストアのセールスの数みたいな、ということでも全然いいと思うんですよね。それを例えば設定しますと。じゃあ、それを実現する。それを設定してもね、結局、数値目標を設定したって、売上目標をまず設定するじゃないですか。例えば、10億やりますと。10億をやるためには、ストアカバレッジを5万店獲る必要がありますと。そして、1店舗あたりの売上は週販5個ですみたいなね、例えばあったとして。じゃあ、それでゴーとスタートするのではなくて、じゃあ、そのストアカバレッジと週販5個をやるために、どういう組織体制をディストリビューターはわれわれに提供してくれるんですかと。その組織でどういうことをやるんですかということを逆算で詰めていく。「あー、なるほど」と、これだけの組織があって、これだけの人数が日々こういうことをやれば、確かに言っているストアカバレッジには行くでしょうし、インストア・シェア、いわゆる1店舗あたりの売上も行くでしょうということが分かるので、そこまでを握るということが契約交渉で。「こういうことをしちゃだめです」とか、「こうです、ああです」みたいな、そんなことを言っているんじゃないんですよね。もう、具体的な戦略を握ったから契約を締結するという話なので、契約交渉って何をするかと言ったら、そこをやるという。そこが結構甘いというのは見てきていて、日本企業の契約書は、守りは完璧、攻め弱いみたいな、そんなところがやっぱり多いので、契約交渉をちゃんとやっていくと。
3つ目が、契約したら終わりというのがたぶん大半の企業で、あとはもう待つのみみたいなね。年に何回か訪問して、みたいな。そんなので売上上がるわけないですよね。特に導入期は、初年度、次年度、3年度ぐらいは。そうすると、やっぱりディストリビューターの管理育成をしっかりしていかないといけないと。管理するからには、市場のこと、競合のこと、戦略のことをディストリビューター以上に理解をしないといけないし、相手に委ねる、相手に任せるみたいな、ディストリビューターって完全に他社で、自分たちとは利益が相反する部分というのは絶対あるわけですよね。同じ目的に向かって突き進むんだけども、会社が違えば、やっぱりある一定のステージに行くと、お互いの利益がイコールにならないと。そうすると、やっぱりこっち側で戦略をしっかり握らないといけない。管理するためにはしっかりそれを理解しないといけないし。ディストリビューターを育成するというのは、これは商品知識とか、そういう育成もそうなんですけども、インセンティブをしっかりとつけていく。それによってキーマンをどういうふうに育成していけるかみたいなこともしっかりやっていかないといけない。
この3つがやっぱり非常に重要ですよと。発掘選定で5割、契約交渉で3割、最後の管理育成で2割か、もしくは発掘選定で5割、契約交渉と管理育成で2.5、2.5ずつぐらいの、そんな割合なので、この3つをやっぱりしっかりやっていくということを意識してみてください。
次回以降ね、この3つをもう少し詳しくブレークダウンしてお話をしたいなというふうに思います。それでは皆さん、今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。