HOME » 動画番組 スパイダー・チャンネル » 第470回 【本の解説】ディストリビューターは絶対評価と相対評価で絞り込む

動画番組 スパイダー・チャンネル

第470回 【本の解説】ディストリビューターは絶対評価と相対評価で絞り込む

新刊はこちら » https://www.amazon.co.jp/dp/449565019X
定期セミナーはこちら » https://spydergrp.com/seminars/

テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺でございます。今日も引き続き、この『グローバル・マーケティングの基本』 日本実業出版社の解説をしていきたいと思います。

今日は173ページ、「4-4 ディストリビューターは絶対評価と相対評価で絞り込む」ということでお話をしていきたいなと。過去にね、この番組でもお話をしたと思うんですけど、ディストリビューターの選定というのは販売チャネルをつくる上で非常に重要で、感覚値で恐縮なんですけど、5割6割ぐらいをどのディストリビューターを選択するかで決まってしまうぐらいに重要だなと。逆に、間違った相手を選んでしまうと、ディストリビューターとのディストリビューション契約って、じゃあ、1年やって駄目だったから、すぐ次に変えられるかと言うと、なかなか現実的にはそうはいかなくて。結局、日本企業の場合、1年やったけども、初年度は目標未達だったけども、1年目だからしょうがない。2年目見ていって、2年目はちょっと成果は出るんですよね。ちょっと成果は出るんだけども、やっぱり未達で。でも、2年間一緒にやってきたんだから、もう1年見てみよう、3年間やってみたいな。そして、4年間やってみたいな間に担当者が変わったり、駐在員が帰任したりして、次の担当者が来て、ディストリビューターを代えようというマインドも薄まりますよね。。そして、また、次の担当者に代わるまでの間、7年8年と続いていって、なかなか成果が出ないと。そもそも何が問題で成果が出ないんだっけ?みたいなところに、どんどん、どんどん、泥沼にはまっていくというような状態になってしまうので、1回決めるとなかなか代えられませんよと。だから、時間をかけて適切な相手を選ぶ必要があるというのがこのディストリビューターで。意外に多くの日本の企業は、これはB2C、B2B問わず、ディストリビューターの選定方法が非常にふんわりしてしまっているというか、感覚値で決めてしまっているというか、そんなところがあると。この4-4の「ディストリビューターは絶対評価と相対評価で絞り込む」ということは、どうやって適切なディストリビューターを選ぶかと、間違った例と正しい例と今日はちょっと解説をしていきたいと思うのですが。

スライドを見てもらったほうが分かりやすいですかね。スライドをお願いします。1枚目のスライド。こうことなんですけど、ディストリビューターを選定するときに、結局自分たちの手の届く範囲からディストリビューターを選んでいくと、結局A社を選んだと。いくつかの候補、自分たちの手の届く候補の中にA社があったので、A社を選んだんだけども、実際には自分たちが選定をしているときには知らなかったB社というディストリビューターのほうが全然よかったよね、ということがあとあと分かってしまった。あとあと分かってしまっても、もうA社と取り組みが始まってしまっているので、結局B社のほうがいいというふうに分かっていたのに、「A社を切り捨てて、じゃあ、B社」というわけにはいかないわけですよね。なので、自分たちの手の届く候補の中から選ぶということは、これはもう絶対に間違いで、断片的にディストリビューターのリストを集めてきたりとか、こういうことも間違いなわけですよね。

重要なのは、次のページなんですけども、皆さんが該当するインダストリーの中に存在している全てのディストリビューター、B2Cであろうと、B2Bであろうと、自分たちのインダストリーがあるわけですよね。そのインダストリーでディストリビューションを行っている企業を全部ロングリストとして集める、その前にマスターリストがあるわけですけど、ロングリストとして集めて、そのロングリストをショートリストまで絞り込んでいくんですけども、そのときに絶対的な評価をする、絶対評価をする。どういうことかと言うと、自分たちが10億やりたいのに、売上が1億の会社とやったって、ディストリビューターをやったって、これは極論ですけど、無理ですよね。だって、ディストリビューターをというのはキャッシュを回す仕事で、10億やりたいということは10億円のキャッシュを回さないといけない。ほかのクライアントも当然いるわけですから、ほかのクライアントの商売、プラスアルファ自分たちの10億を回してもらわないといけない。そうすると、1億円のディストリビューターとやったって無理なので。何なら10億円のディストリビューターとやったって無理ですよね。そうすると、売上が小さいということはまず絶対的な評価で消去していったりとか、それとか、あとは営業マンが10億やるには何十人必要ですと、その何十人の営業マンがいないところは消去していったりとか。あと、自分たちの商品は例えばB2Cでコールドチェーンが必要なもので、コールドチェーンを持っていないというところは例えば消去していくとか。自分たちはMTもやりたいんだけど、TTをやらないと10億円いかないですよね。そうすると、TTの伝統小売のディストリビューション・ネットワークを持っていないと、なかなかTTには到達しないので、これも絶対評価で、持っていなければ消去していく、みたいなことをやっていくと。自分たちが誰に売りたいのかというのがまずあるわけですよね。誰にいくらやりたいのか、10億やりたいんだということがあって、それができる人は誰なんだというのを今、選んでいるわけですから、物理的にできないと考えられるところは絶対評価でどんどん、どんどん、消去していく。そして、最後に残った母集団に対して相対的な評価をして、最終的な1社なのか複数社なのかを選んだいくということになるわけですよね。この相対評価というのはまさにその名の通り、相対的に比べるわけですよね。残ったショートリストの5社とかを比べていく。

前にもこの番組でどこかでお話しましたけども、絶対評価のときはスキルセットを見てくださいねと、物理的なスキルですよ。例えば、売上もスキルだし、営業マンの数、こういったものも、ディストリビューターとしてのスキルですよね。一方で、相対評価はマインドセットで見ましょうねと。結局、新規の商材をやっていくわけですから、ディストリビューターのオーナー社長がものすごく強い熱量で自分たちの商品を取り扱いたいという意欲が高くて、自分たちと一緒にどういう世界観を一緒に描いていこうとしているんだという思いがなかったら、そこに対してディストリビューターとしての投資、経営資源は放り込まないですよね。なので、相対評価の段階ではマインドセットを見てくださいという話を過去にしましたけども、そういうことですよね。この絶対評価と相対評価を繰り返すと。まず重要なのは断片的なディストリビューターのリストとかはもうまったく意味がないですよ。自分たちの手の届く、自分たちの人脈があるようなところからの選択というのは、もうこれは絶対的な間違いで、インダストリーの全てのディストリビューターやったって、ASEANで言ったら高々数十社ですよ、ディストリビューターなんて、インダストリーごとにやれば。もうお話にならないのが何十社か含まれていますから、実際に絶対評価から相対評価までしていったら、最終的に残るのって5社とかそれぐらいになってくるので、この絶対評価と相対評価をしっかりとやっていくということが大変重要になってくるということでございます。

今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。