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第471回 【本の解説】販売店と代理店の違い

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も、この『グローバル・マーケティングの基本』 日本実業出版社から出している本ですが、これの解説をしていきたいと思います。

今日は4-5、177ページ、「日本とは異なるアジア新興国のディストリビューター」ということでお話をしていきたいと思います。この章の4-5のところで、「日本とは異なる新興国のディストリビューター」ということで、ディストリビューターの特徴をお話をしたい、書いている項目なんですよね、ここは。いわゆる日本のディストリビューターと違って、新興国のディストリビューターってこういう独得の特徴がありますよと、こういう独特の特徴を理解してお付き合いしていかないと、なかなかうまくいきませんよということを説明している章なんですけど。その前に「販売店と代理店の違い」のお話をちょっとしておきたいなと思っていて。日本国内だと、販売店と代理店ってあまり区別がされていなくて、みんな、代理店、代理店、「うちの代理店が」とかって、「販売店が」って言うのはなかなかあれかもしれないですけど。あまり意識されていなくて、代理店と販売店は一緒と思っている人が多い。一方で、一歩日本の外に出ると、販売店と代理店というのはまったく違うビジネスモデルで、これはいわゆる誤解を生んでしまう。取引条件が違うので、「販売店だったらやるけども代理店はやらないよ」とか、「代理店だったらやるけど販売店はやらないよ」みたいなことにもなるわけなんですね。だから、まったく意味が違うので、この定義の整理をまず今日はやっていきたいなというふうに思うんですが。

スライドをお願いします。まず、販売店。販売店は英語ではディストリビューターです。代理店がエージェントで、この2つは商売の形態がまったく違うと。販売店というのは、メーカーから商品を仕入れ、つまりは購入して顧客に販売するのが販売店なんですよね。一方で、代理店、エージェントというのは、メーカーと顧客を仲介してコミッションを得るのが代理店なんですよ。ですから、代理店というのは商品は購入しません。あくまでメーカーの代理として顧客との間を仲介するので、資金リスクは取らないですよね。代理店しかできないところに「ディストリビューター、ディストリビューター」と言って何かやっても、これは話が詰まらないですよね、ずっと代理店なんですから。一方で、ディストリビューターのところに行って「代理店、代理店」と言っても、これまた話が違うので。まったくこの2つは違うと。販売店、ディストリビューターは、商品を皆さんから購入して、メーカーから購入して顧客に販売するのが販売店。従って、顧客との契約は販売店が行うんですよね。これは契約の話で。じゃあ、この売買契約ってどうなっているの? メーカーと販売店がまず商品を仕入れますから、ここで売買契約が成立しているわけですよね。仕入れたものを販売店、つまりはディストリビューターは在庫して、そして顧客に販売をする。このときまた販売店、ディストリビューターと顧客との売買契約がなされるわけですよね。なので、販売店、ディストリビューターというのは資金リスクを取るし、代理店というのはあくまでメーカーと顧客を仲介するので資金リスクは取らないということになっています。

例えばなんですけども、分かりやすく言うと、保険は代理店なんですよ、車は販売店なんですよね。これはどういうことかと言うと、保険は皆さんいろんな保険に入っていると思いますけど、自動車保険、生命保険、何でもいいですけども、あくまで契約書は誰になっていますかと言うと、甲は皆さんで、乙は保険会社なんですよね。その保険を売った代理店の名前は一切ないわけですよね。なので、契約はあくまで保険会社と顧客との間で行われる。保険の代理店というのはそれを仲介をする。だから、代理店です。一方で、自動車の販売店は一旦メーカーから自動車を購入して在庫するわけですよね。それを顧客に販売をするので、販売店、ディストリビューターになるわけですよね。自動車はもう全部そういう仕組みだし、皆さん、例えば、分からないですけど、トヨタでもメルセデスベンツでも買ったときに、トヨタと契約しないですよね。メルセデスベンツと契約しないですよね。ヤナセと契約するわけですよね、ヤナセから買うわけで。トヨタはどこで買うのかと言うと、東京トヨペットとかそういうところで買うんだと思うんですけど、そこと契約するわけなので、あくまで販売店から買うわけですよね。だから、基本的にはそこが全然違いますよと。

これは日本だとあまり意識しないで、自分たちの会社のいわゆる売ってくれている社外の会社さんが代理店なのか販売店なのかということすら意識していなかったりでいくケースもあるので、販売店、代理店、販売店なのに代理店と呼んでいたり、「うちの代理店が」と、「いや、販売店ですよ、だって商品買っているんだから」みたいなのをまったく区別されていないですけど。でも、英語だとディストリビューターが販売店、代理店はエージェントですよということで明確に区別がされているので、しっかりと区別をするということが重要でございます

では、次回ね、この4-5の本来の話ですよね。本来の話、「日本とは異なるアジアの新興国のディストリビューターの特徴」ということでお話をしていきたいと思います。それでは今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。