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第513回 海外展開に失敗する企業の3つの思考パターン その2

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、前回の続きですね、戦略に与える思考パターンの話をしていきたいなというふうに思います。海外事業に失敗する企業の誤った3つの思考パターンということで、前回はプロダクト依存型のお話をして、今日はパートナー依存型のお話になります。

じゃあ、早速、スライドをお願いします。パートナー依存型です。パートナー依存型というのはどういうものなのかと言うと、結局、重要なのって「誰と」売るか、つまりはパートナーですよね。「誰と」売るかよりも、「誰に」売るかのほうが圧倒的に重要なんですよね。だって、「誰に」売るかということが目的で、「誰と」売るかというのは手段なので、基本的に「誰に」売るかなんていうのは、売りたい相手に売れる人と売るというのが非常に重要なわけですよ。このパートナーというのはディストリビューターとかの話をしているんですけど、製販一体のパートナーというケースもあると思いますけども。そうすると、基本的には「誰に」売るかということが明確になって初めて、じゃあ、その「誰に」売るかに売れる相手に売ろうと、それはどういうディストリビューターなんだろうと決めていくわけなんですけども。多くの日本企業の場合は、とにかく大きなディストリビューター、とにかく実績のあるディストリビューターということで、「誰に」売るかよりも、「誰と」売るかが優先されてしまって、結局、売ることの大半をディストリビューターに丸投げして、結果としてなかなかうまく成果が出ないと。ある一定のところまでは行くんだけど、どこかでやっぱり利害が一致しなくなってくるので、うまくいかないというケースを多々見てきました。

ここの過ちに陥っている企業が本当に多くて、次のスライドをお願いします。B2Cの場合は、左の近代小売と右の伝統小売、ここに売らないといけないわけですよね。近代小売、輸出でやる場合は近代小売だけでいいですけども、基本的には現産現販含めて伝統小売も獲っていかないと、ASEANの市場、特にVIPなんていうのはなかなかマーケットが拡大しないので、基本的には近代小売マストで伝統小売も獲っていく。そうなってくると、そこに売れるディストリビューターってどこなんですかというところを見極めていかないといけないし、近代小売なんてみんな自分たちはストロングコネクションがあるとかって言うわけですよね。なんだけども、自分たちは強いコネがあるから入れられると言うんだけども、その入れられるを、近代小売に入れられる、例えば、フィリピンでシューマートに、SMに入れられる、ピュアゴールドに入れられる、インドネシアでトランスマートに入れられる、ベトナムでウィンマートに入れられるという、この「入れられる」のレベルがどういうレベルなのと。どのレーンの、どの棚の、どの位置に、何SKU入れられるの?いくらでみたいなところまで詰めていかないといけない。これこそが、まさに「誰と」売るか選び、パートナー選びの一番重要なポイントで。伝統小売に関しても、インドネシアで447万店、フィリピン80万店、タイ45万店、ベトナム66万店の、マレーシア20万店と、この伝統小売、どこの都市の、どの伝統小売、何万店レベルに、どういう時間軸で入れられるんですかということを詰めていかないといけない。それこそが自分たちに必要なディストリビューターだったりするわけですよね。なので、必ずしも大手じゃなかったりする。中堅クラスをエリア別に複数使ったほうがいいというケースだって出てくるので、基本的にはパートナーありきではなくて、「誰に」売るかということを絶対に明確にしないと、「誰と」売るかなんていうのは永遠に出てこないので、日本企業の多くはこの「誰に」売るかよりも「誰と」売るかを優先しがちであると。これはB2Bも一緒なので、置き換えて、今、B2Cの例で言っていますけど、B2Bも置き換えてもらって、どのインダストリーの、どのユーザーに売りたいんですかということが明確にあるはずなので、じゃあ、そこに売れるのは誰なんですかということを詰めていくということが非常に重要ですよということでございます。

パートナー依存型、陥っている企業は多いんじゃないかなというふうに思います。ぜひ参考になればと思います。それでは今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。