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第547回 FMCG 伝統小売の未来「EC」

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今回も伝統小売の未来ということでお話をしていきたいと思います。食品・飲料・菓子・日用品等のFMCG周りの消費財メーカー向けのお話です。対象地域はASEANとかグローバルサウスを中心とした新興国市場になります。

スライドをお願いします。じゃあね、前回…、前々回か、前々回、伝統小売の未来ということで「存続」と「DX」と、前回が「DX」、その前が「存続」ということでお話をして。「存続」では、なぜ伝統小売はなくならないのかと、そのなくならない理由を、私、3つお話をさせていただいていて。前回は「DX」、小売のデジタル化は何を意味するのかということで、伝統小売がデジタル武装し始めていて、それが今後の小売市場を大きく変えていくと、コンビニが初めて市場に登場したときと同じぐらいの衝撃を僕は受けていて、それぐらいのことが今、「DX」で起こっていますよという話を前回やって。今日3つ目が「EC」なんですけど、Eコマースの発展で小売市場はどう変わると、これはグローバルサウス全体ですけど、特にASEANを事例にとってお話をしているわけですけど、Eコマースの発展で小売市場はどう変わるかということで今日はお話をしていきたいと思います。

「EC」に関しては、中国の5割を超える異常なEC化率というのは1つあって、あれは非常に特別なことで、ASEANはそうはならないし、新興国市場もやっぱりなかなかそうはならないので、非常に小さいポーションだったんですよね。ただ、今回のパンデミックで、この3年間でね、やっぱり各近代小売もそうだし、EC事業者もそうだし、相当Eコマースには力を入れてきていて。人と接触しなくていいということで、Eコマースって3倍ぐらい伸びたんですよ。ちょっとどこかでその数値をね、ユーロモニターのデータを使って数値のお話を今度、次の回ぐらいでやっていきたいと思いますけど、3倍ぐらい伸びたというふうに思ってもらったらいいと思います、ASEAN6なんかも。

Eコマースがこれだけ伸びて、今後の予測としてもね、一旦、停滞はしないです、一旦成長は鈍化するものの、基本的には2027年ぐらいまでの予測では、ずっとECの比率は伸びていくと。そんな中で、今までって近代小売と伝統小売ということ、2つの大きなリアルの流通をしっかり獲っていくということが重要だったんだけども、いよいよこのFMCG、食品・飲料・菓子・日用品周りでも、このEコマースの市場というものがASEANでも重要になってきているというのが今で。

注意しなきゃいけないのは、3割…、3倍ぐらいになってきているとは言うものの、やっぱりEコマース、EC比率とかっていうデータを見ていくと、EC比率全体、あらゆる商品が含まれているので、例えば食品だけとか、生鮮食品だけとか、皆さんの日用品、洗剤とか、例えば菓子とかに限定していくと、やっぱりそれはまだまだ低いので、そこはちょっと、ちゃんとデータを読み解いていくということが非常に重要ですよということが1つと。

あと、ECはこれから確かに進んではいきますと。ただ、伝統小売という存在があるんでね、いわゆる国土が広くて遠方でなかなか買いに行くのが大変です、大型ショッピングセンターに行ってますみたいなね、そういう地域ではなくて、家を出たらすぐ伝統小売があるというところの市場でECがどれだけこのFMCG周りで使われるかということは、しっかりと僕は見ていかないといけないんじゃないかなというふうに思います。ある特定の商品に関しては、しばらく時間かかってもいいし、重たいのでEC使おうみたいな話はあり得ると。ただ、目の前に行けば買える醬油をECで買うかとかね、目の前の下に下りればすぐ売っている菓子をECで買うかと言うと、なかなか完全にそういうふうになるというのはしっかりと注視をしていかないといけないということは言えるのと。

あと、Eコマースって今まで何が問題だったかと言うと、デリバリーが1つ大きな問題で、、いわゆるヤマトや佐川みたいな宅配便屋さんがなかったわけですよね。でも、これをASEANは、例えばインドネシアだったらゴジェックとかね、その他の国でもグラブという、いわゆるバイク便、バイク便と言ってはいけないな、ライドシェア、バイクなんですよ。Uberって皆さん、日本だとUberEatsですけど、あれのグラブEatsとか、ゴジェックEatsとかってあって、レストランで買ったものを配達してくれる。彼らは基本的にスーパーで買ったものも配達するし、人も乗せて配達するし、何でも運ぶんですよね、バイクで。渋滞がすごいのでバイクでやると。ライドシェアのビジネスモデルですけど。これが佐川やヤマトを担っていますと。ただ、もちろんこれは中長距離になったらどうするの?とか、やっぱり都市部に限られたサービス展開でしょというのはあるので、今後遠方がどうなっていくのかというのはあるんですけど。これはまさにリープフロッグなのか、そういった現象でね、日本とは違う発展をしている。だから、こういうものが物流を担っていくので、そういう意味では物流の心配というのはそう深刻ではないのかもしれない、Eコマースにおいては。

あと、もう1つあるのが、やっぱりD・E層の住所、いわゆる消費者の所得のD層とかE層の住所って、この辺一帯が同じ住所とか、家の前に置いたら30分以内にものがなくなりますみたいな地域もたくさんあるので、そういうことをどうやってクリアしていきますかというのが今後のEコマースの、ASEAN6の重要な課題にはなってくるんじゃないかなというふうに思います。ただ、逆に言うと、そういう事業をコンビニが一時受け取り所として活用されたりとか、そういう可能性も出てくるので、Eコマースというのは今後さらに伸びていく市場として注目が必要だなというふうに思います。

今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。