アジア新興国 競合の脅威を数値で把握する
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、『製造業のためのアジア新興国販売チャネル戦略』ということで、私の新刊の解説をしていきたいと思います。今日は103ページ、「2 競合の脅威を数字で把握する」ということで、前回からね、Reference Value(基準値)の重要性ということでずっとお話をしてきていて、それに関連するお話です。数値で把握できれば課題と対策が明確になるということで。基本的に、シェアをさらに上げていくために何をどういうふうにしていけばいいのかということをより具体的にしようとすると、やっぱり数値でそれを測っていかないといけない。ディストリビューターの数を増やそうとか、ディストリビューターの中のセールスマンの数を増やそうとか、そのセールスマンの1日の訪問件数を増やそうとか、全部数で見ていかないと、なんとなく、結局、頑張ろうみたいな話になってしまうので。頑張るとかあまり必要なくて、数を増やしていくという、ここにやっぱり焦点をしっかり当てていく必要があると。
その中で、競合の脅威を数値で把握するというのは、この間もお話した通り、競争力が100なのか、70なのか、日系企業のほうが、消費財の業界で言うと、長けているということはほぼないので、どちらかと言うと自分たちが100だったときに競合が110なのか、120なのか、130なのか、この30の差なのか、10の差なのか、この違いによって戦い方は全然変わってくるので。まず、競争力の全体を把握するということもそうだし。じゃあ、この30の差異が何によって構成されているのか、ディストリビューターの数なのか、それともその中のセールスマンの数なのか、それともセールスマンのアクションなのか。もうね、4Pで言うとプレイス、チャネルですよね、ここに絞って競争力を把握するだけで十分だと思います。プロダクトとプライスとかって、見たら分かるので、そこでぐちゅぐちゅしている、うぬうぬやっている状態だと、ちょっともう論外になってしまうので、そこは大前提だと思うんですよね。結局、いろんな企業を見てきて思うのは、プレイスのところね、ここでやっぱり課題が皆さんあるので。必ず課題はありますよ。プレイスに課題がないなんていう企業、私は1社も見たことないので、必ずチャネルに、プレイスに課題があると。そこを数値で見ていきましょうねと。
104ページの、この上の図ですね。チャネル・ストラクチャー。そもそもストラクチャーがどうなっているの?と。例えばストラクチャーっていうのは、全体のチャネルのデザインなんですけど。例えばベトナムだったら、ハノイとホーチミンとダナンとどういうふうにディストリビューターを配置していてね、規模が大きい、中ぐらい、小さい、ディストリビューターが配置されていて、それらのディストリビューターと自社のセールスの組織がどういうふうになっているのか、組織体制がどういうふうに組まれているのか。じゃあ、その組織が日々どういうアクションを取っているのかということを、競合ベースで全部見ていくわけですよね。それと自分たちを比べたときに、何が足りてないですかと。まず、ディストリビューターの数はどうですか、ディストリビューターの中のセールスマンの数はどうですか、質はどうですか、じゃあ、彼らが1週間、1日あたりにやっているアクションってどういうことですか、ということを見ていく。これがシェアの差になっているわけなので、ここをしっかり分解していく必要があるわけですよね。そうしたときに自分たちの基準値というものが見えてくるので、今、自分たちはここだから、競合から5%シェアを奪うためにはここまでいかないといけないよね、ここまでいくためにはディストリビューターがあと何社必要だし、もっと言うと、そのディストリビューターの中にはこれぐらいのレベルのセールスマンを何人つけないといけないよね、そのセールスマンにはこのKPIでこれぐらいの数、1日訪問させないといけないよね、ということが見えてくるので。そうすると、対策が非常に具体的になっていくということですよね。
104ページの下にもね、自分たちに足りているものと足りてないものを把握する。まあね、うまくいってない企業の話を聞いていると、ぼんやりしているんですよね、課題感が。「なんとなく、課題感この辺だと思うんですけど」ってぼんやりしていて。それを、じゃあ、改善しようとすると、「でも、こういう問題があるので、ちょっとそこはできません。こういう問題があるので、そこも微妙なんですよね」って、結局、課題がぼんやりしているので、それに対して対策案を出すと、対策をするということはね、何かを犠牲にしないと、そんなの治療できませんからね、か犠牲にする話になるんですよね。でも、やっぱりそこの犠牲になるものが抵抗要素になるので、結局、今のままになるので、それがだらだら、だらだら、続いていく間に担当者が帰任して替わって、みたいな話になるということが非常に多いですよね。ここをやっぱり明確にするっていうこと。本社側と現地法人側でね、またこれは感覚も違うんですけど、本社側は、どちらかと言うと解像度がぼやっとしてしまっている問題。現地側は、解像度はよりクリアになっているものの、うーん、何て言うのかな、ものすごくネガティブなケースが多くて、「いや、もうそれはやったんだけどダメなんです」みたいな話が非常に多くて、「自分たちはよく分かっていて、やったんだけど、それでもダメだから今なんです」という。「じゃあ、どうするの?」っていうね、そういうのが結構多くて。結局、「やったんです」なんだけども、誰が、どうやったかによって、結果なんか、同じことをやったって全然変わるので、「あなたがやったからダメなんでしょ」っていうケースは結構多かった。ちょっときつい言い方しましたけど、多かったですよね。だから、素直にならないとね、やっぱりなかなかそこは改善されないので。素直じゃない人はね、だいたい戻されてしまっていますよね。僕らも「戻してくれ」って言いますしね、本社から依頼されたときに、「もし、このお仕事を手伝うんだったら、今のこの体制だとご支援が難しいので、チームを戻して入れ替えてください」という話はやっぱりしないとご支援できないので、そういう話にはなる。素直って重要だなと思いますけども。そういう問題がありますと。足りているもの、足りていないものを把握すると。
あと、105ページの、最も効果的なポイントを探すということで、これは何を言っているかと言うと、海外展開、新興国、アジア新興国市場、今、ベトナムの例を出しましたけど、ベトナムに展開する、人・モノ・カネ・情報、日本で皆さんが事業をやっているときよりもね、圧倒的に経営資源が少ないのは、もうね、大前提として分かっているんですよね。日本と同じような経営資源を使えてたら、それは十分に成功しますよという話でね。圧倒的に少ない経営資源しかないので、最も効果的なポイントをプスッと刺していかないと、つついていかないといけない。だから、数値でより緻密に把握をしましょうと。しっかりと調査をして、最も効果的なポイントに一刺しを入れていくことをしていかないといけない。なので、経営資源が少ないのは当たり前で、少ないからこそ効果的なポイントを狙うというような話をここでは書いている、というお話でございます。
次回、106ページ、競合の可視化するべき3つのポイントということで、いわゆる競争力を把握する、Reference Valueを、そして持つ、基準値を持つという中で、競合の何を可視化すればいいのか。これも経営資源ですよ、人・モノ・カネ・情報がない、調査費用が限られている、そうした中で全部を可視化できるんだったらいいですけども、可視化して、シェアに直結する、売上に直結する、そういうポイントはどこなんだっていうふうに考えていきながら可視化を進めていかないといけない。僕がおすすめする3つの可視化のポイントについて、次回お話をしていきたいなというふうに思います。それでは今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。