(東さん)
こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
(森辺さん)
こんにちは。森辺一樹です。
(東さん)
前回、TTでは一カ国一代理店だと最終的に限界があるというお話でしたが、具体的に他の企業や、外資系の先進グローバル企業と呼ばれているようなところは、どういったことをされているのでしょうか。
(森辺さん)
基本的に超スーパー先進グローバル企業の消費材の例で言うと、PGモデル若しくはネスレ、リーバモデルの2つがあります。
「PGモデル」はP&Gがやっているモデルで、P&Gの場合ASEANではどの国でも中堅クラスの6~8社のディストリビューターを活用します。
この人達にはデリバリーしかさせません。セールス活動はほとんど自社で行います。
自社で数百人規模のセールスを持って、その6~8社のデリバリー専門のディストリビューターを使って、TTを攻略していくのですが、当然デリバリーだけと言っても、ただ運ぶだけであればヤマトや佐川と変わらないので教育して新規獲得もやります。
彼等はどの国でも過去90年2000年代に元々50社程使っていました。
今はその中から選別した6~8社に集約され、商品的にそれぐらい彼等の商品でもないと中々上手く新規間口も獲得できないし、デリバリーもできないということです。
それを地域別でやっています。
一つのエリアで6~8社を争わせるのではなく、地域を分けてそのそれぞれの地域に6~8社をあてがっているというイメージです。
そしてダメな所や力が衰えてきた所はどんどん切っていきます。
ただ、一方でPGさんが使っているようなディストリビューターの社長とお話しすると、大体創業が20年ぐらいで、売り上げは数十億後半~数百億前半ぐらいの規模なのですが、皆さんが口を揃えて言うのが「我々はP&Gに育てられた」と仰います。
必ずPGのセールスマンが駐在する部屋があるので、かなり入り込んで一緒にやっいると言うイメージです。
そしてもう一つの「ネスレ、リーバモデル」は、ネスレやリーバはもっと目が細かく、ネスレがコピコやキットカットをやっているように、間口を広く取ると言う事がPGのシャンプーや洗剤以上にものすごく重要です。
リーバは圧倒的な先進グローバル企業です。彼等は小規模のディストリビューターをどの国でも100や150使っていて、それも地域毎に分けられています。
リーバは本当にデリバリーだけで、PGはデリバリーが主ですがセールスもやらせます。
小規模の所はあまりセールスが出来ないので、ネスレやリーバの方がよりデリバリーに近いです。
こういった小さな所を100や150束ねて、中堅クラスを大都市に数件置くやり方をします。
これと日系企業を比較すると、当然チャネルの毛細血管の届き方が全く違ってきます。
そうすると当然売り上げも違うし、シェアも違うので納得出来ます。
そして商品自体も日本の企業は負けていませんし、金額も彼等と同じにできないかというと、そんなこともないので本当にチャネルが違うということがよく分かります。
彼等がASEANに80年代後半に出てきてから35年位経っています。
日系企業も15~20年なので15~20年の差が出ています。
ただ私はPGやネスレ、リーバモデルに近付けながら、日本企業各社の新たなチャネルのモデルを作っていかなければいけないのではないかと思います。
(東さん)
そういった形にしないとTTには、なかなか届かないと言う事ですね。
(森辺さん)
そうですね。
ネスレもリーバもちゃんと自社のセールスが数百人単位でいます。
結局ディストリビューター任せにしていないと言う所が一番大きいと思います。
自分達が戦略を考えて、自分達が方針を決めて、そこにディストリビューターを機能として当て込むということが、上手くいっている会社のやり方です。
日本企業の場合は、「よく分からないからディストリビューターさんお願いします」という流れで、これでは数億円の売り上げが作れても、数百億には厳しく、限界があります。
そこが大きく違います。
他には、スイス人やアメリカ人の駐在に会ったことがありません。
最初の3~5年は、如何に早く現地の人間で現地の法人を回せるかということにフォーカスをして、いかに日本人を引き上げて、現地の頭で考えさせて行動させるか、それを本社からモニタリングするというやり方がしっかりしている。
日本の大手の場合、5年で駐在員が変わって、ゼロベースで知識を入れ直して、せっかくキャッチアップしたのにまたゼロに戻ってしまうと言う繰り返しのような気がします。
(東さん)
分かりました。
今日は時間が来ましたのでここまでにしたいと思います。
森辺さんありがとうございました。
(森辺さん)
ありがとうございました。
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