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【連載】日本企業とグローバル・マーケティング

本コラムは、日本企業とグローバル・マーケティングを様々な観点で捉え、日本企業がグローバル市場で高いパフォーマンスを上げるための方策を具体的に指南する連載シリーズです。


Vol. 51 主要競合の販売チャネル戦略の可視化

著者:森辺 一樹

販売チャネルに対する基本的な姿勢や考え方が明確になる

1つ目の「主要競合のチャネル戦略の可視化」に関しては、チャネルそのものやディストリビューターをどう捉えているのかという基本的な姿勢、考え方を明確にし、彼らのチャネル戦略がどう組み立てられているのかという全体像を可視化します。具体的には、近代小売(MT)については主要競合他社の現地法人は何人の体勢で、都市部と地方部でどのような近代小売に、どのように直販を 行っているのか。また、一般小売(GT)や伝統小売(TT)についてはどのようにエリアを区分けし、どのエリアにどのくらいの規模のディストリビューターが何社あり、その配下のサブ・ディストリビューターが何社あるのか。主要競合他社はそのディストリビューターにどのような目標を与え、どのようにデイリー、ウィークリーで管理育成しているのか。このように主要競合の基本的なチャネル戦略を理解することで、自社の 現状と比較分析することができ、チャネル戦略における課題と改善策を明 確化して最も効率のいい戦略を立てることが可能になります。

チャネル戦略を可視化した結果を分析、集計

 以下に添付した図は、我々が顧客から主要競合調査の依頼を受けた際に、作成する調査報告書のフォーマットの一部です。より具体的にイメージしていただくために、実際の報告書の一部をサンプルとして紹介します。下の上図は、主要競合のチャネル・ストラクチャーの全体像です。近代小売と伝統小売それぞれのチャネル・ストラクチャーがどう形成されていて、中間流通マージンがどの程度あり、どのようなディストリビューターや、サブ・ディストリビューターを活用しているのかを可視化しています。下の下図は割引率や手数料をまとめた表です。小売においてはディスカウント・レートが重要になります。日本の消費財メーカーは日本国内では問屋/卸業者以上に、小売りや消費者のことを深く理解していますが、アジア新興国ではほとんどわからずに営業しています。本来ならば海外においても、ディストリビューター以上にその国の小売や消費者のことをわかっているべきなのです。

●調査報告書サンプル