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【連載】日本企業とグローバル・マーケティング

本コラムは、日本企業とグローバル・マーケティングを様々な観点で捉え、日本企業がグローバル市場で高いパフォーマンスを上げるための方策を具体的に指南する連載シリーズです。


Vol. 84 Q&A 現在のディストリビューターでこれ以上シェアを上げられるか悩 んでいる

今回も私がセミナーや、YouTube番組、Podcastなどでよく頂く質問についてお答えしていきたいと思います。

<質問>

20年以上お付き合いをしているディストリビューターですが、最近、本当にそのディストリビューターでこれから、さらにシェアを上げていけるのかが不安です。こういった課題に直面している場合、どうすることが適切なのでしょうか?

<回答>

この不安を取り除くには、現在のディストリビューターのケイパビリティ(能力)を可視化することです。そして、競合のディストリビューターと比較して優れているのか、劣っているのか、それはどの程度の差異なのかを明確にすることです。
日本企業の多くは、自社のディストリビューターのケイパビリティを明 確に理解していません。特に、数十年前から当たり前のようにそのディストリビューターを活用している企業などは、その能力が競合と比べてどうなのかを明確に診断、可視化したことがないのです。

ある程度のことはなんとなく理解していても、定量でケイパビリティの差異を理解していません。自社のディストリビューターと競合他社のディストリビューターを比較した結果、その実力の比率が70対100なら、新たなディストリビューターを探すより現在のディストリビューターに、あと 30の力をつける方法を探すほうが賢い選択だといえるでしょう。

しかし、実力の差が30対100のように開き過ぎている場合には、現在の ディストリビューターに70の力をつけさせるより、せめて、70〜80程度の 力を持ったディストリビューターを新しく選定したほうが賢明です。

このようにケイパビリティを比較することで、今のまま使い続けるのか、新し い会社に変更すべきかの判断ができるわけです。この問題は、そもそも、数十年前にディストリビューターを選定する際に、網羅的にディストリビューターを発掘し、選定してこなかったことが要因として挙げられます。

当時は、アジア新興国の市場など、日本企業にとっては大きな市場ではなかったため、かなりざっくり決めてきた背景があるのです。また、この数十年で、アジア新興国のディストリビューターの順位は大きく入れ替わっています。昔の上位ディストリビューターが必ずしも今の上位とは限りません。なので、多くの日本の消費財メーカーが、今、この問題に直面しており、ディストリビューション・チャネルの再構築を行なっている最中なのです。