東忠男(以下、東):こんにちは、ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは、森辺一樹です。
東:森辺さん、103回目ということで前回、前々回とは森辺さんとスパイダー。どんな人なのか、会社なのかみたいなものをちょっと振り返ってみたのですけども、リスナーの方は結構若い2、30代のこれから就職する人、もしくは就職してまだ10年未満の人が結構多いのかなという印象なのですけど、今結構雑誌を見ても本を見ても書籍を見ても、グローバルというのが結構出ているのですけど、その中で海外、若者というか若いうちに海外に出て行くのか、出て行かないのかというところで、色々な種類があると思うのですが、それで悩んでいるとか、出て行きたいけどどうしたら良いか分からないとか、色々なそういう悩みとかそういう思いを持っている人たちがいると思うのですけど、森辺さんなりに若い人なりに20代、30代の人たちが海外に出て行くべきかどうかというのは、どう思いますか?
森辺:結論から言うと出て行くべきなんじゃないかなと思うのです。もっと言うと、出て行くか出て行かないかを意識しないぐらい出て行きなさいという感じですね。国内と海外でボーダーを引いてちゃダメなのではないかなというのはすごく思うのですね。多分自分たちのお父さんの世代も既に海外の進出ってあるわけじゃないですか。60年代からあって。では、これから2020年、2030年、40年という世界を考えたときに、もっともっとボーダレスになっているはずなのですよね、この世の中が。そうすると東京から大阪に行く感覚で東京からシンガポールに行くだろうし、東京からニューヨークに行くだろうし、だからチャンスがあるんであれば絶対に行くべきだし、チャンスがないんであればそのチャンスをつくるべきだとは思いますけどね。
東:具体的に、多分出られない人というのは一歩踏み出せなかったり、どう出ていいか分からなかったりすると思うんですけど、その辺はどうですかね?
森辺:学生なのであればね、留学だったり、お金がかかる話なので。けど旅行は出来るわけだし、見たことのない世界を見るということは積極的にやったほうが良いとは思うんですよね。
ただ一方で、海外の出方も色々あって、日本の現実から逃避して海外に行くみたいな。やはりそういう子たちも僕は海外に行ったら会うのでね、日本の子で。「お前こんなところでそんなことしているならさっさと日本に帰って仕事しろ」という、そういう子にも会うので、それは一概には言えないとは思うのだけどもね。世界経済大国第3位の市場が日本にあるわけだから、そこの現実から逃避して海外にっていうことではないとは思うのだけどもね。
なんでこういうことを僕が言うかというと、日本に来ている外国人…色々上から下までいっぱいいると思うんだけど、やっぱりアメリカもそうだけど中国人にしろ、東南アジア人にしろ、インド人にしろ、ものすごく世界に出て一流の外国人ってやっぱ、世界のことをものすごく知っている。日本にもいるんだよね、優秀な中国の子たちが。もちろん英語はネイティブレベルだし、日本語もすごく喋るし。母国語の中国語は当然、広東語まで喋って4カ国、5カ国喋ります、みたいな。そんな子たちがたくさんコミュニティで集まっているところにいくと、あまりの優秀さに恐怖さえ覚えたりすることって多々あるんですよね。それは卒業して3年ぐらいの子たちなのだけど、そういうのをすごく目にすることがあるし。
あとたとえば日本はあんまり貧富の差が見えにくいというか、良いところでもあるんだけどね、そうかもしれないけどやはり企業経営者の息子さん、娘さん。みんな日本のインターナショナルスクールに小さいころから通わせてたりとかね、グローバル教育を徹底的にやっていたりというのは僕の周りでもたくさんいるんでね、学費が、幼稚園生が200万、300万かかるんですよ。それでもやはりお父さん、自分たちが英語で苦労したから子供にはデフォルトでグローバル人材になってほしいという思いが多分強いんだと思うんだけども、そういうところにいかしたりとか。今感じている以上に30年後の日本ってもっとグローバルになっているんですよね。だから、そういう意味でも海外に行くというのは絶対にやるべき。今悩んでいるんだったら、とりあえず行ってしまう。行ってから考えるのでも良いと思うんだよね。
東:そうすると今の2、30代が50代、60代になるときは日本の人口も減っていて、海外に出ていかざるを得ないという状況が、当然今より強いわけですよね。
森辺:だから、中国語が出来ませんとか英語が出来ませんとか言っている場合じゃなくて、そういう次元で世界は動いていないですよというのはやっぱり、自分で肌で感じないと多分僕がこうやっていくら番組で言っても実感がないと思うから、少しでも海外が気になっているのであったらいったん出てしまう。それで自分の目で見てというのはやはりすごく重要なことだと思いますけどね。
東:たとえば森辺さんから見て、まずきっかけとしては旅行が1番手っ取り早いというか、いきなり駐在員で行けないし、多分いきなり大学生だったら留学するというのは結構ハードルが高いと思うのですけど、まだ海外に行ったことがないとか、ハワイとかああいうリゾート地にしか行ったことがないという若い人たちに、この国を見たら面白いよというのはどういったところですか?
森辺:やはりアメリカというのは1つ面白い国というか、超大国として絶対に見ておくべき国だし、あそこの経済が全世界の経済とつながっているわけなので、そこは絶対に見ないといけないところですよね。ハワイもアメリカですけど、ハワイに行ってもしょうがないので、アメリカというのは1つ。
東:アメリカの本土ということですよね。
森辺:そうです。もう1つがやっぱり中国はそれに次いで日本を超えて経済大国になっているんで、中国というのは見ておかないといけないし。その他新興国と言われるASEAN、それからインド。この辺りもしっかりと見ていくということをしないといけないと思うんですよね。見るというのも観光しに行く、彼らの文化や歴史を学ぶというのも当然そうなのですけど、彼らの生活を見るっていうのがすごく重要で、これを何年かおきに繰り返してやっていくと、その国のその人たちがものすごいスピードで豊かになっているというのをしっかりと感じていくということがアジア新興国の醍醐味だと思うので、そんなところを、気をつけながら見ていくと面白いのではないかなと思うのですよね。
僕なんかがよく見るのは、日本の企業の製品がどれくらいスーパーマーケットで売られているのかとかね。そんなことを、気をつけて見たりはしていますよね。
東:まずはアメリカとかそういったところから見るのが1番なんですかね。
森辺:アメリカはちょっと遠いしお金もかかるんでね、ASEANから、アジアから見ていくとうのも良いかもしれないですけどね。今、数万円でしょ、アジアなんて。パック旅行で行けば。
東:安いですよね。5、6万で。
森辺:行けますものね。だから、そういうところを見るというのがすごく重要で。いきなり海外に行ったことないのに1人で行くというのは危険なので、やはり何人かで行くというのがすごく重要で。ただ同じ目的を持ったメンバーで行ったほうが、行きたいところが違ったりすると思うので、それはもう1つ重要かもしれないです。
東:意外と中国なんかは毛嫌いされていて、行ったことがない人が多いのかなっていう勝手なイメージがあるのですけど。すごく近いではないですか。上海だったら2、3時間でいけるし。北京でいっても3時間ちょっとですよね、東京からだったら。
森辺:また北京に行ったときに受ける印象、日本人が受ける印象と上海に行ったときに受ける印象は全く違うので、中国なんかは都市をまわっていくということがすごく重要なことかなと思いますけどね。あと、安全性とかセキュリティの面云々はちょっと除けといたとしてね、ツアーガイドさんに付いていくような海外旅行というのはあまり意味がないから、やっぱ自分で地図を開いてその都市、その都市の位置感覚。自分でこう見て、自分で行く所を決めてってやらないと、海外に行っても学ぶものは10分の1ぐらいになってしまいますもんね。
東:ツアーで、パックで決められた通りに行動するのと、自分で地図を開いてっていうのは、全く違うということですよね。
森辺:そうです。だから我々なんかも部下が全部セットアップして、泊まるホテルから飯食う場所から全部決めてくれたりするのは、慣れている国だったらいいでしょうけど、初めての国は自分でそれをやらないと、学べるものはものすごく少なくなっちゃいまいますよね。
東:現地の人の生活を感じるというところで見ると、スーパーとか見るのと他に森辺さんがよくやることとか、気をつけていることってのはどういうことがあるのですか?
森辺:僕の場合どうしても仕事にくっついちゃうんでね、そういう話になるのですけど。自分たちがどれくらい恵まれた環境で育ってきたのだろうということを僕は海外に行くとものすごく感じるんですよね。我々の言っている幸せって、今のこの基準が幸せなわけじゃないですか。けど海外に行ってもみんな幸せなわけですよね。ただ、その基準がすごく大きく違うっていうことを知ったときに、自分がいかに恵まれた国の国民なんだろうということにもつながるしね。そうすると毎月納めている税金の意味も分かったりとかね、色々な学びがあるんで、そういうのを感じていましたけどね、昔ね。
あと、学生なんかだったら向こうの日系企業とかねアポイントメントをとって「学生なのだけど企業研究しています」と。たとえばインドの日系企業に電話して「訪問したいのだけどお時間いただけますか」と言ったらね、多分何件かかけたら1件はOKと言ってくれると思うのです。あとジトロ。ジトロなんかに行って見るとかね。ただ行って観光地に行ってイエーイというのではなくて、そういうことをしてみるというのはすごく良いと思います。学生とかであればね。
東:一方で社会人の人だと、旅行に行くのは1つですけど、結構海外に行きたい派と行きたくない派でパッと分かれると思うんですけど、行きたいのに行けない人とかも結構いると思うんですが、それが少なくなってきているというのはちらほら聞きますけど、そういった就職している人たちというのもやっぱり旅行を1つの機転とするのはありなんですかね。
森辺:旅行は自由だからあれですけど、けど仕事がそうなれば1番良いわけなので。ただ会社として語学もできない、その国の事情もあまり詳しくない、それを駐在させて何の意味があるんだという話になるので、本当に駐在として行きたいとか海外勤務がしたいというんであれば、そこのナレッジにキャッチアップしていくというか、自らその能力を養っていかないと、会社としては当然赴任命令なんて出せないので、ただ行きたいというだけじゃなくて、それは自らがそこに近づかないといけないというのが1つあると思うのです。ただ、海外勤務を僕も断ったとかね、海外勤務命令が出たんだけどどうしたら良いですかってプライベートでよく相談を受けるのだけど、何悩んでいるの?とかって思うんだよね。「奥さんが反対している。」「子供の教育が」とか言うのだけど、そんなの即離婚しろと。冗談ですけど、子供を日本のお受験の世界でそれをやらすのと、海外に幼少時に行かせてその世界を見せるって、どれだけ価値が違うかというね。1つの固定概念にとらわれちゃってるわけです。小さな国で。
東:森辺さんなんかもそうですよね。
森辺:僕もそうです。父親には感謝していますけどもね。だからその固定概念を本当に破らないとイノベーションを起こせる人材なんてこの国では生まれないでしょうし、何も始まらないというか。それは僕も本当理解できなくて。でもね、分かるのですよ。地元から離れたくないとか、転勤になるなら辞めますとかね。そういう人もたくさんいらっしゃって、それは価値観だからどっちが良いとか悪いとかということを、僕はここで言うつもりは全くなくて、僕の価値観を押し付けるつもりも全くないのですけど、僕だったらそんなのは嫌。だって僕家も買わないぐらいですから、同じところに一生住むなんていうのは考えられなくて。だから見たことのない世界を見たいから見るみたいな。でもそう思わない人は別にそうしなくても良いわけだから、どっちが良いのかと言ったら微妙なところかもしれないですけどね。そんな感じですかね。
東:赴任命令が出たらとりあえず行ってみるのも1つの手なんじゃないかと。
森辺:だって一生そこにいるわけではないから。3年、5年ではないですか。そうしたら1回それをやってみて自分の価値観が変わるかもしれないから。良い機会だから絶対赴任命令が出たら僕は行った方が良いと思うのです。
東:赴任命令が出るということはある程度認められた存在だし、数千人いるところでも10分の1くらいですよね、海外に行けるのって。
森辺:そこで大きく価値観が変わるんですよね。それがすごく重要なので、そのチャンスを逃しちゃうのはね、すごくもったいないと思うので。行って死ぬわけではないし、命を取られるわけでもないので、とにかく行ったら良いと思うんですけどね。
東:結構今頃はそれが、事例が出る時期とか。結構そんなタイミングかもしれないですね。
森辺:行って嫌だったら嫌だった、もう行かないで良いと思うのですよね。ただやっていないのに多分嫌だというのはもったいないので、やったほうが良いんじゃないかなと僕は思うのですけど。会社員の辞令に従うのなんか当たり前と思っているんですけど、最近は断る人もいるんですかね?
東:結構聞きますよね。
森辺:商社に入って海外勤務嫌だという子も多いってね、何年か前に話題になっていましたもんね。
東:分かりました。じゃあ、最後にもう1度森辺さんとしては若者というか、若い世代は海外に出て行くべきかどうかっていうのは。
森辺:とにかく1回行こう!1回行って、嫌いだったらもう行かなきゃいいし、好きだったらどんどん行けば良いと。ただ1回も行かないでもう行かないというのは、もったいなすぎるんで、絶対行きましょうという風に思います。
東:分かりました。じゃあ、今日はここまでにしたいと思います。森辺さんありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。