森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も番組に寄せられた質問にお答えをしていきたいと思います。
今日の質問は、「販売チャネルの再構築について詳しくお伝えください」ということでございます。まとめると、消費財メーカーの方からの質問なんですが、販売チャネルの再構築について詳しくお伝え・・・、これはちょっと何回か、結構ね、同じような質問が来るので、少し前のエピソードでもお答えしたような気がするんですけど、まあまあ、何回でも同じような質問をしてください。何回でも答えますので。
販売チャネルの再構築についてなんですけど、基本的には製造業、消費財メーカーを中心に、B2Cの製造業のクライアントさんからご依頼されるというケースが100%ですと。販売チャネルの再構築って何をやっているかということなんですが、いわゆるお客様はすでに進出をしているという会社さんが8割ですと。新規でこの国っていうのも当然ありますけども、大企業でもね、「この国はまだちょっと本格的じゃないので本格的に」みたいなのだと、再構築というよりかは新規構築みたいな話になるんですが、ほとんど再構築ですと、8割方、再構築ですと。じゃあ、その再構築って何をやっているんですかということなんですが、既存の販売チャネルで、なかなか満足ができていないと、売上が伸び悩んでいますと、もしくは鈍化していますと。もしくは10年20年ずっと数%のシェアのところにいますと。その国のGDPなり1人あたりのGDP、経済成長率がどんどん上がっているのに、自分たちのシェアは上がっていないと。その要因は何なのかという、こんなところで漠っとご相談が来ると。もちろん商品の観点、プライスの観点、チャネルの観点、プロモーションの観点、ターゲットの観点、4つ5つぐらいの観点で見ていくわけですけど、やっぱり一番シェアに直結しやすいのって販売チャネルのプレイスの部分だし、さらに言うと、日本企業が最も遅れているのがこのチャネルの部分ですよと。プロダクトとかプライスって、目に見えている、表面化しているんですよね、自分たちが現場に行ったら目に見えているので、自分たちで解決できる話なんですよね。これはわれわれがどうこうする話ではなくて。もちろん指摘はできますよね、競合と比較して消費者のインサイトを、ファクトをベースに「商品はこうでないと駄目だ。プライスはこうでないと駄目だ」。なんだけども、これはお客さん自身でできること。じゃあ、プロモーションってどう?って言うと、やっぱりこれはプレイスのチャネルがしっかり回っていないと、プロモーションにいくら投資しても、これは砂漠に水をまくような話なので、プロモーションの前にプレイス、チャネルだよねという話になってくると。
じゃあ、このチャネルの再構築って何をやるのかって言うんですが、もう多くの企業がというか、100%こういう課題を持っている企業っていうのは、自分たちの目指しているシェアとか売上に到達するための販売チャネルにおける基準値を持ってないんですよね。どういうことかって言うと、自分たちの競争力が今どこで、どこまで競争力を高めないといけないのかっていう、明確な数字の基準値を持っていない。これがないまま今までやってきたことをなんとなく引き続きやるみたいな、もしくは新しい施策を繰り出すんだけども、ディストリビューターから猛反発されてなかなかできないとか、「俺たちに任せておけ。日本のメーカーは分かってないんだから」と、どっちがパワーバランス強いのか分からない状態になるみたいな。いろんな施策を提案してもなかなかそうはならないし、ディストリビューターとも、疑心暗鬼になってくると。例えばですけど、二次店たくさん使っているんだけど、二次店以下の状況がもうブラックボックスになってしまっているとか、出張に行ってもディストリビューターが見やすい小売に連れていかれ、「ほら、並んでいるでしょ」と。本来はメーカーは課題のある小売を見ていかないといけないのに、なかなかそこには連れていってもらえない。真実が見えてこない。小売との接触に関してもなかなかできないと、させてもらえないと。よく分からないけど、プロモーション予算を支援してくれとか、そういう話になっているみたいな、そういう問題がある。
基本的にシェアって競合のシェアを1%奪うから自分たちのシェアが1%上がるので、いわゆる競合の販売チャネルの競争力を把握する必要があるわけなんですよね。競合の販売チャネルを100とした場合に、自分たちの販売チャネルは80なのか、50なのか、30なのか、ここをしっかり可視化しないと、どういう時間軸でどういう戦略を繰り広げて、そこに追いついていけばいいのかっていうことが組み立てられないんですよね。なので、まずは競合の販売チャネルの競争力を明確に可視化するということがめちゃめちゃ重要。それがないと、もう、闇雲になってしまうわけですよね。自分たちのチャネルのストラクチャー、例えばチャネルのデザインとかって僕は言いますけども、それを見ただけでね、「もう、これはいかないじゃないですか。シェア10%って絶対無理ですよね、このストラクチャーの構造だと」と。だって、これって近代小売も最も重要な近代小売に直販できてないし、例えば伝統小売も、この1カ国、理由なき1ディストリビューター制だと、そもそもこれだけのストアカバレッジ獲れないですよねと、間口獲れないですよねと。そうすると、売上、どれだけ頑張ったって上がりませんよ。だって、ストラクチャーがそもそも悪いですからというようなことから入っていくわけですよね。このストラクチャーが間違っていたら、やっぱりシェア10%を可能にするチャネルのストラクチャーっていうのがあるわけですよ。それに至れていない。また、主要競合と比べたときにこんなに差があるんだ、自分たちのストラクチャーが、こういうことが明確に見えていないなんていう企業が結構多くて。
じゃあ、ストラクチャーだけでいいのかって言うと、そこには直販とかね、中間流通、ディストリビューター経由の組織があるわけですよね。じゃあ、組織の構造ってどうなっているんだろうと、どういうリーダーのもと、何人のセールススーパーバイザーがいて、セールスがそれぞれどういう地域をどう担当しているのかと、さらに言うと、その組織がどういうふうに動いているのか、まさに組織マネジメントがどう行われているのか、こういうことも、結局、「いやー、うちも伝統小売、回っているんです。1日25件回っているんです」と。「でも、競合は、じゃあ、何件回っているんですか」と。「いや、25件ぐらいです」と。ここまで分かっている企業は珍しいんですけどね。多くあるのは、「うちは10件しか回れていないのに、競合は20件30件回っています」みたいな。でも、中にはね、「うちも競合と同じぐらい回っています。でも、セルアウトしないんです。だから、プロモーションなんです」みたいな、そういうケースもあるんだけど。でも、そこって実はプロモーションじゃなくて、いや、同じ20件回っているんだけども、これは回り方。まずね、虚偽の報告をされているから、20件回っている、30件回っているって報告来ているけど、実際にこれは10件しか回っていないですよというケースはまずあるし、あと、回っているのも、「ただ行った」は、これは回っているんですかと。そこの店主と話せている、例えばオーナーがいる時間帯が何時から何時って、ほとんどの伝統小売って決まっていて、そうすると、月に1回は店主と話せている、1日20件の月25日のルーティンの回り方と、店主とはもう、会ったのは半年、1年前ですという回り方とね。あと、店先に行ったときの店員との会話の仕方、それによって覚えられる。ただ行って見て帰ってくるみたいな、いやいや、まったく意味ない、それは行ってないのと一緒だよと。状況を見計らって、店員と少し会話をするとか、「最近、オーナーどう?」みたいなね。自分たちのSKU、「もうちょっとこっちに置いておいてよ」と話をするとか。そういうTo Doが明確に決まった上での25件と、ただ25件回るのではまったく違うとかね、こういうことが見えてきたり。
あと、セールスマンの質もそうなんですけど、教育するってね、もうね、限界があるんですよ。やることはこうです、知識はこうですと、そういう教育はできるけども、そもそも、例えばB2Cの消費財メーカーの伝統小売のセールスでね、日本の企業とかはとにかく優秀な子を採用するって、「優秀の定義って何ですか」と、「いや、それはちょっと」みたいなケースはあるんですけど。優秀な子なんて伝統小売のセールスに要らなくて、伝統小売のセールスで重要なのは、毎日決められたことを飽きずに愚直に継続し続けられるかという、こういう力を持っている子が必要で。そうすると、そういう子に入って教育しようなんて無理で、入ったらより条件、より楽してたくさん稼げるところにどんどん転職していきますから。ほとんどがそういう人材ですよね。そうなったときに、もう圧倒的に教育よりも採用、どういう採用基準で、どういうスキルセットを最低限持って、それよりも僕はマインドセットを重視するので、どういうマインドセットの子を採用するかということと、辞めたときにすぐ別の人材がすぐそこに入って同じことを続ける、もう辞めること前提、2割3割は回転していきますぐらいの前提で、このモデル、回すモデルをつくっていかなかったら、それはなかなかうまくいかないので。そういうストラクチャーから採用までをすべて再構築していくという、こういうプロジェクトなんですよね。もちろんね、そんな半年、1年で終わる話ではないので、フェーズが何個かに分かれていって、2~3年かけてチャネルを強固にしていくと。
ただ、そこでね、お金と時間を投下して強固にしたチャネルっていうのは、模倣困難性が高くて、さらにそこでのノウハウっていうのは、例えばASEANでそれをやってもね、メコン経済圏がまだ待っているし、インドも待っているし、南米も待っているし、さらにはアフリカでもそのノウハウというのは活用できるので、そういう意味では投資対効果は非常に、僕はね、良い、良い投資だと思うので。多くの企業が抱えるこの伝統小売の攻略に関しては…、伝統小売はなくなりませんからね、別のエピソードで言いましたけども、伝統小売がなくなるスピードよりも伝統小売がデジタル武装するスピードのほうが圧倒的に速いので、数自体は減りますと、ただ、デジタル武装したときに、コンビニよりもさらに便利な小売として君臨し続ける、というふうに僕は踏んでいます。なので、これら、販売チャネルの再構築は本当に重要な仕事だと思いますので、皆さんも引き続き、このチャネルの再構築を考えてみてください。
今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。