東忠男(以下、東):こんにちは、ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは、森辺一樹です。
東:森辺さん、今回始める前に、だいぶ前になっていて申し訳ないんですけれども、感想を。本名言うのもなんなので、Hさんという方からいただいてて。
森辺:中国の。
東:そうです。
森辺:Hさん、感想いただきましてありがとうございます。たいへんご丁寧なメールをいただいて、感謝申し上げます。おっしゃってる通りだと思います。この場を借りてお礼を申し上げたいと思います。また東京に来ることがあればぜひ遊びに来てください。ありがとうございます。
東:ぜひみなさんも。今回すごい長い感想をいただいたんですけど、ちょくちょく感想はいただいてるんですけれども、ぜひみなさんも番組をお聞きして何かあればメールをいただければと思います。今回ですね、ちょっと今月で10月度に配信するPodcastについては、グローバルチャネル、森辺さんの専門領域だと思うんですけれども、そこについて少し、すべてはお見せできないんですけれども、ちょっと詳しく、深掘って、系列立ててご紹介できればな、ということで。グローバルチャネルって簡単に言いますけど、森辺さんどうとらえておられますかね。
森辺:我々の言っているグローバルチャネルっていうのは、基本的にはお客さんの商品を世界中に輸出をする場合もあれば、現地で販売をする場合もあるんですけど、一大販売プラットフォームですよね。それを構築支援するのがグローバルチャネルアウトソーシングっていう私共の基本的なサービスになりますけども、そういうものですよね。基本的には、輸出でやられるケースもあれば、現地に進出をしているようなお客さんが現地に根付いて販売するケースもあるので、輸出と販売と両方あるんですけど。基本的には日本から単に出荷をするっていうことではなくて、現地の市場でチャネルそのものを構築しないと、なかなか継続的には売れないので。その現地に根付いたチャネルを作っていくっていう、そういうものですよね。
東:なるほど。そのサービスとしてあるんですけども、そのお客さんが独自にやろうとしたときに、カギとなるのはこういったサービス外にもあるんですけども、どういったことになるんですかね。
森辺:結局、海外で本気で売ろうと思うと、輸出であれば受けの輸出から攻めの輸出に変わらないといけないし、販路を現地に出て築いていくんであれば受けの販路から攻めの販路に変えないといけない。その戦略的転換を図らないと継続的には売れないわけですよね。そのすべてのカギっていうのはディストリビュータのネットワーク化なんで。そのディストリビュータのネットワーク化を実現しないと、絶対に永続的に継続的に海外で売るってのは無理で。ワンショットの出荷商売をするんじゃないわけじゃないですか。コンテナ出荷して、100万儲かりました、1000万儲かりましたっていう商売ではないので、事業を作りに行くわけですよね。そうすると、ディストリビューションの、ディストリビュータのネットワーク化っていうことが最大のお題目になってくるんじゃないかなと思いますけどね。
東:今、戦略的転換って言われたんですけども、分かっちゃいるけどみたいな感じもあると思うんですけど、今まで森辺さんがいろいろなクライアントさんを見てきて、この戦略的転換をできているクライアントさんと、できていないで海外へ行ってしまうクライアントさんがいると思うんですけれども、そういった時に、受けの輸出から攻めの輸出、受けの販路から攻めの販路ってあったんですけど、ここの切り替えが結構難しかったりするじゃないですか。その辺はどうやって。
森辺:わかりやすく言うと、どのお客さんも日本国内では攻めの販路を持ってるわけじゃないですか。自分たちが他社に負けないチャネルを国内では持っていて、それと同じものを海外で作るっていうのが私の言っている攻めなんですよね。それを、海外だから商社にお願いしてコンテナ出荷してもらえればいいやとか、現地のパートナー見つけて、そこに丸投げして売れたらラッキーだなとかっていう、それが全部受けなんですよね。
そうじゃなくて、自分たちが日本で持ってるようなチャネルを海外でも作っていこうよ。これが戦略的転換であって、攻めの販路なんですよね。これをやらない限り、絶対に海外事業なんて成り立たないんですよね。海外輸出は成り立っても、海外事業は成り立たないので、そこに戦略的転換を図りませんかと。
東:そうすると、日本に攻めの販路だったりそういうものが実在してるわけだから、それを海外でも作りましょうよということなんですよね。
森辺:そうです。日本でやれてるのに、やれてることを海外でも同じようにやりましょうと。ただ、日本でやれてるからすぐに海外でも同じことがやれるかっていうとそうじゃないので、そこを支援しているのが私の仕事の根幹部分ですよね。
東:日本で販路を作れてるんだから、森辺さん自身は、多くの日本企業は海外でも同じように販路をきちんとやれば作れると思われてるということですね。
森辺:そうですね。なんですけど、これがなぜか海外に行くとそこで思考が一回止まっちゃって、ちょっと不得意だしちょっと分からないから、なんかパートナーに丸投げとか、商社にお願いして売れたらいいなとか、そういうところで全部が受けになっちゃってるんですよね。その発想を変えていかないと、難しいですよね。
東:そうするとまず発想を変えて、受けから攻めへ行かないと、継続的な海外での企業の取引ってのはできませんよっていうことですかね。我々のサービスとしてもあるんですけれども、これをリスナーのみなさんに簡単にお届けするとすると、これはたぶん自分たちである程度までは形にできると思うんですけど、具体的にそのチャネル構築っていう、そもそもチャネルっていう言葉がなんなのかっていうところから入ると思うんですけど、そこからご説明いただいてもよろしいでしょうか。
森辺:チャネルって販路じゃないですか。もっと言うと4Pの中でplaceにあたるところで、自分たちの商品が販売されるためのインフラですよね。だからもっとわかりやすく例えると、自分たちの商品を売るためのパイプみたいなものですよね。自分たちの商品が水だとするじゃないですか。そうすると水をいきなり海外の市場にぶわっと撒いても土に染みてしまって終わりですけど、パイプがしっかりお客さんまで行き届いてたら、その水はそのパイプを流れてお客さんの手元に届くわけじゃないですか。その一番重要なパイプをチャネルという風に言っていて。
日本の企業って営業力が強いですよね。この営業ってのはやっぱりチャネルのインフラがしっかり整っていて、その上に乗っかって初めてその効果を最大化させられるものなので、日本ではチャネルがあるから営業が上に乗ると効果が最大限に出ると。ただ海外ではこのチャネルがないのにいくら営業しても効果は出ないっていう、そういうことで。このチャネルを作るっていう、そういうことですよね、パイプですよね。
東:そのパイプを作るためのチャネル構築っていうのがあると思うんですが、チャネル構築までの、全体的にやらなきゃいけないこと、プロセスって言ったらいいんですかね、それがあると思うんですけど。ざっくり一通り、流れを教えていただきたいんですけども。
森辺:大きく分けると、4つのパートに構成されるんですよね、すごくざっくり大きく分けると。一番最初のパートって、いわゆる可視化って我々は言うんですけども、いわゆる海外の市場ってわからないことがものすごくたくさんあるので、その可視化をしましょうというのが一番最初なんですよね。
どういう可視化をするかっていうと、市場環境を可視化する。それからその市場は儲かるの、出て儲かるの儲からないのってことですよね。あと、競争環境の可視化です。これは出たときにどれだけ強い競合がその地にいるの、もしくはいないのと。三つ目が流通環境の可視化。日本とは違った流通構造をしているはずなので、その流通ってどれくらい特殊性があるのっていうことを可視化していく。もう1つ目が、例えばB to Cの企業さんだったら消費者の可視化。これ消費者の需要度ってのは日本の消費者と全く違うので、消費者はどういうものを欲しているのかってことを可視化していかないといけないですよね。B to Bであれば企業だし、現地の企業の需要度っていうのはどういうものなのかってことを可視化していく。もう一つは、どういうディストリビュータがいるのかっていうことを可視化していく。5つの可視化をやるんですね。
この可視化ができると、いろんな情報がインプットとして入ってくるじゃないですか、これをベースにしないと参入戦略なんて立たないんですよね。まったくインプットがなかったら、戦略なんて立てられないじゃないですか、情報が少なすぎて。なのでこの可視化をフェーズ1でやって、フェーズ2でようやくこの参入戦略っていうのができあがってくると。これが2つ目ですよね。この参入戦略ができあがると、今度はその戦略に基づいてチャネルの構築をフェーズ3でやっていくと。そうするとパイプは通るわけですよ。物理的にパイプを通すってのはあんまり、難しいんだけど難しくないっていう。物理的な話なんで。ディストリビュータのところまでパイプを通す。ここからほんとに難しいのは、この通したパイプがしっかり詰まらないで錆びないで、ちゃんと商品が届くようにチャネルの管理・育成みたいなことを継続してやっていかないといけないんですよね。ここが非常に厄介で、これをやっていかないと継続的には売れていかないので、この最後の4つ目がチャネルの管理・育成になります。
東:わかりました。この4つ目のチャネルの管理・育成っていうとこが、チャネルの構築までできてる企業はあるけども、この管理・育成をやらないことによって商品が流れないっていう企業もあるんですよね。
森辺:そうですね。たとえば、先進的な日本企業さんとかっていうと、その作ったチャネルがほんとに一番いいかよくないかってのは別にしてね、チャネル自体を作って、そのチャネルの管理・育成するところに最もその経営資源を投入してるんですよね。だから商品が徐々に売れていくっていう話で。失敗しちゃう企業っていうのは、チャネル構築はおろか、組み立てるって発想、チャネルをデザインしていくって発想が全くないので、とにかく買ってくれと、買ってくれそうなところに闇雲にっていう、それじゃだめですよって話だと思うんだよね。
東:わかりました。じゃあ今日はお時間が来たので、全体のプロセスをお聞きしたところで、また次回少し構築をお聞きしたいと思いますので、次回よろしくお願いします。
森辺:はい、ありがとうございました。
東:ありがとうございます。