話者の表記:◆アズマタダオ/男性/質問者
話者の表記:◆森辺一樹/男性/回答者
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◆アナウンス
森辺一樹のグローバルマーケティング。すべてはアジアで売るために。
ポッドキャスト、森部一樹のグローバルマーケティング。すべてはアジアで売るためには、過去10年間で1,000社以上の海外展開の支援を行った森部一樹がグローバルマーケティングを分かりやすく解説します。
グローバルマーケティングとは、世界のニーズに応えて利益を上げること。アジアで売るためには、物作りプラス、グローバルマーケティングを武器とした戦略を持たなければなりません。
日本には素晴らしい企業が多く存在します。その企業と共にアジア市場を目指したい。再びジャパンアズナンバーワンと呼ばれる時代を作りたい。森部一樹はそんな思いを持ちながら、この番組を皆様にお届けいたします。
◆アズマ
こんにちは、ナビゲーターのアズマタダオです。
◆森辺
こんにちは、森辺一樹です。
◆アズマ
森部さん、前回はディストリビューターとの付き合い方のスタンスというか、ディストリビューターと日本側のメーカーというのは共存共栄の関係で、ディストリビューターに得意なことをやらせて彼たちにもきちんと利益を分配できる業態を作ることが大切ですということを仰ってたんですけど。実際にマネジメントに入るというか、お付き合いをする段階になったときに、日本と付き合い方が一緒なのか、それとも違うのかってところから、わかっている日本企業と、そこまで詳しくないっていうところがあると思うんですけれども。そのへんは森辺さんどう考えて……。
◆森辺
ディストリビューターさんに日本企業がしてほしいことって、三つしかないと思うんですよね。一つが営業じゃないですか。これは既存の間口に対する営業。もう一つ目が新規顧客の開拓、新規間口を取ってくるっていうことですよね。これ二つともセールスですよね。セールスを取ってきたら、今度そこに商品を届けるデリバリーっていう話があるわけですよね。日本だとこれ間違いにくいんですけど、日本には素晴らしい会社があってヤマトとか佐川とか素晴らしい会社があるわけですよ。そうするとディストリビューターさんっていうのは営業活動するわけじゃないですか。注文取ったらヤマトや佐川が配達するわけですよね。でもアジア新興国にはヤマトや佐川みたいな会社ないわけですよ。そうするとこのディストリビューターっていうものは、新規で営業してきたり、既存のところに営業してくるっていう業務と、そのデリバリーをするっていう業務。大きく言うとセールスの業務とデリバリーの業務が2つあるんですよ。セールスの業務とデリバリーの業務がある中で、セールスっていうのは既存の顧客に対するセールスはいいじゃないですか。でも日本企業が新規で商品を投入するときってのは、新規で間口を取ってくる営業をしないといけないわけですよ、セールスをしないといけないわけですよ。そうすると、ここの部分が大変で、ここにメーカーがある程度のマイクロ・マネジメントなり、人を出すなりして支援をしないと、間口のカバレッジ伸びないんですよね。だから、デリバリーの業務とセールスの業務をしっかり分けて、ディストリビューターにまず絶対やってほしいのはデリバリーの業務なんですよ。こんな配達なんてメーカーがやってる場合じゃないじゃないですか。彼らデリバリーボーイがいるんでね。それ以外にセールスマンがいるわけじゃないですか。このセールスを彼らだけに任せていては、なかなか上手くいかないですっていうのが当然あるわけなんですよ。6割とか7割ぐらいなんですよ、満足度が。残りの3割をメーカーがどれだけやれるかっていうところがすごく重要になってくるんですよね。そこをやらないのが一つ日本企業の大きな問題になっていますからね。あと日本だとヤマトとか佐川がいるから、セールスとデリバリーを分けるっていう発想がないじゃないですか。そもそも別れてるんで。そこをちょっと勘違いしちゃうというかですね、混同してしまうってのが一つありますよね。
◆アズマ
そうするとセールスとデリバリーを分けなければいけないってのは、そもそものインフラが日本みたいに整ってないので、メーカーがデリバリーを請け負っていては、セールスができなくなってしまうっていう意味合いもある……。
◆森辺
どっちかっていうと、ディストリビューター、イコール代理店じゃないですか、卸じゃないですか。けどディストリビューター、イコール、アジアではヤマト、プラスせーするちょっとできちゃうみたいなね。そういう位置づけなんですよ。先進グローバル企業はそのアジアのヤマトや佐川、プラス、セールスちょっとできちゃうっていう。で、ディストリビューターに内政干渉しまくって、マイクロ・マネジメントしまくって、いっぱしのディストリビューターに成長してきたわけなんですよね。だからアジア新興国で、でかいディストリビューター、強いディストリビューターには必ずメッセかいいかユニリーバか、P&G担いでるんですよ。それは強いから担いでるんではなくて、彼らが強くしたんですよね。だから日本企業がアジアのディストリビューターと付き合うときは、ヤマトにちょっとセールス機能がついてるっていう認識で付き合ったほうが、楽なんですよね。そうすると「ああそうか。」と。デリバリーは問題ないんだなと。セールスが6割なんだな、満足度と。残りの4割うちから戦力なり、プロセス管理なり、人を出すなりして支援しなけりゃいけないなっていう話になっちゃうわけですよ。で、これを全く理解していないから、ディストリビューターさんが「よろしくお願いいたします。」っていってなかなか進まないで終わっちゃうんですよね、伝統小売の開拓が。そこすごい胆なんですよ。こんなポッド・キャストで言ってますけど、すごい重要なんですよ。
◆アズマ
それをまず理解しないといけないということですね。具体的にそのへんは、先進グローバル企業っていうのは、どうやっているかっていうのは、どのように……。
◆森辺
20年かけて、いわゆる中途半端なヤマト、中途半端な佐川みたいな会社を鍛えてきたわけですよね、セールスができるように。その仕組みを彼らの会社の中に入れて、新規間口獲得のためのKPIを突っ込んで、それをやらせてマネジメントして20年経って、今彼らが大きく成長してるっていうそういう背景があるんですよ。だから圧倒的に20年前からやってる彼らのほうが、そこが上手いんですよね。ディストリビューターと社長さんと話をすると、外資の大手と日本企業の大手の最もの違いは、外資には戦略があると。その戦略は大枠のぼわっとしたものではなくて、間口のカバレッジをどうやって取るか。そのディストリビューターが取った間口のカバレッジに対して、自分たちがどれだけのプロモーション支援で店頭シェアを上げていくかっていうのは端から明確に決まってます。それを見せられた時に頑張ろうと。これ頑張ったら儲かるっていうのが見えるっていうんですよね。一方で日本の会社さんがディストリビューターのところ来ると、うちの商品は品質がいいとか、うちの会社は東証に上場してるとか、売り上げが何千億あるとか、そういう話ばかりして、戦略の話にならんと。売ってくれ、売ってくれって言われるだけだと。そこが大きく違うよねっていうのは、みんな口を揃えて言うんですよね。だから、そういうことなんだと思うんですけどね。
◆アズマ
そうするとまず、そのへんは戦略がないと次に進みにくいということも考えられるという……。
わかりました。セールスとデリバリーを持てる。最終的にもうちょっと分かりやすく、メリットっていうのは日本企業にとって何……。
◆森辺
何がディストリビューターに足りてて、何が足りてないかを自分たちが理解をすることなんですよね。結局アジアのことは知りません。だからディストリビューターがパートナーだからお任せしますっていうスタンスの会社は100年やっても成功しないっていう話なんですよね。そうするとデリバリーができるんだなと理解ができるわけじゃないですか、単純な話だし、物は運ぶっていう話じゃないですか。スピードがあるにしてもね。そうするとやっぱり難しいのはセールスのほうなんですよね。このセールスの満足度が6割とか7割だから、残りの3割をどう埋めてあげるかっていうことなんですよ。そこが理解しないと、何がディストリビューターに足りてないのかが分かんないじゃないですか。なので手の打ちようがないっていう話なんですよね。逆にそこが分かれば、手の打ちようがあるので、日本のメーカーさんで、うちがベトナムでマーケットシェアが取れないんですよとか、インドネシアでマーケットシェアが取れないんですよ、フィリピンでマーケットシェアが取れないんですよ。何が問題なんですかって、チャネル側の卸に聞いたときに、「いや、ディストリビューターが悪いから。」っていう答えしか返ってこないんですよ。変えようと思ってます、みたいなね。「ディストリビューターの何が悪いんですか。」って聞くと、そうじゃ出てこないんですよ。それがそもそも問題じゃないですかっていう話なんですけどね。だからディストリビューターが問題なんじゃなくて、ディストリビューターの何が問題なのかが分かっていないあなたが問題なんですよっていう答えだと思うんですけどね。
◆アズマ
わかりました。今日はお時間がきたのでここまでにしたいと思います。森辺さん、ありがとうございました。
◆森辺
ありがとうございました。
◆アナウンス
本日のポッドキャストはいかがでしたか。番組では森辺一樹への質問をお待ちしております。
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森辺一樹のグローバルマーケティング。この番組はスパイダーグループの提供によりお送りしました。
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