東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、前回は事業部間の話をちょっとされたと思うんですけども、今回ちょっと、戦略と言うか、販売のほうにちょっと今回フォーカスしてもらって、海外のチャネル戦略なのか、海外販売と言ったらいいのか分からないですけど、それで重要なことって何なのかというようなことが、リスナーの方からもいろんなクライアントさんからも聞かれたりすると思うんですけど、その辺の考えを教えていただければと思うんですが。
森辺:「海外販売で重要なことは何なのか?」みたいな話ですよね。「海外展開で重要なことって何なのか?」と。ここで言う海外展開というのはアウトバウンド、海外で売ると、世界で売るということになっていくわけですけども、僕、戦略をつくっているときとかっていろいろ悩むと思うんですよ。お客さんも悩むし、みんな悩むしと。でも、やっぱり僕はシンプルに考える必要があって、僕、いつも「backtothebasic」だと思うんですけど、海外販売で最も重要なことは「ターゲットと4P」なんですよ。この「ターゲットと4P」のいずれか、どこかが、もしくはどこか複数が最適化されていないからうまく売上が推移していかない。ここをやっぱり追及していくということを僕は一番重要じゃないかなと思うんですよね。
東:「ターゲットと4P」ということですね。そしたら、ちょっとターゲットからどういったことなのかというのを教えていただきたいんですけども。
森辺:例えば、アジア新興国だと、アジア新興国市場の魅力ってこの番組でも散々お伝えしていますけど、中間層なわけじゃないですか、2030年に30億人に拡大する中間層が最も重要だと。その中間層をターゲットとせず富裕層をターゲットに結果としてしちゃっていたら、中間層は大事だと分かっていながら、富裕層をターゲットにしていたら、もともとのパイが少ないので、要はかさが出てこないと、売上のかさが出てこないという問題が当然あるし、そのターゲットは中間層になっているのに、4Pが富裕層になっているケースってめちゃめちゃ多いんですよ、日本企業の場合は。「アジア新興国は中間層が重要だ」と、「中間層をターゲットに進出します」と。それで出たんだけど、Productは日本で売れたものの若干のカスタマイズ、つまりは、いわゆる品質がよすぎる、機能がありすぎる。Priceは少しは安くするけど、基本的には高すぎる。Placeに関しては、チャネルですよね、これは消費財のFMCGで言うと、MTはやっているけどTTやっていないとか。Promotionはできれば売れるまで投資したくないみたいな。なので、この「ターゲットと4P」がやっぱりずれていて、4Pがどう間違っているかというのはまだいいんですけど、ターゲットに対しての4Pがあべこべになっているケースが結構日本企業の場合は多く見られると思いますね。
東:ターゲットの何が?
森辺:ターゲットが、例えば、中間層をターゲットにしているにも関わらず4Pが富裕層になっちゃっているみたいな。これはよくあるパターンだと思います。
東:それをもうちょっと分かりやすく教えていただきたいんですけども。
森辺:日本の消費財メーカーなんて、アジア新興国に出る理由は爆発的に拡大する中間層だと言って出ていくわけですよね。消費財のメーカーなので、いかにたくさんの人に、いかにたくさん多く、繰り返し買ってもらうかということが重要なわけじゃないですか。なので、中間層をターゲットにするんだけども、実際にやっていることは富裕層向けの商品を富裕層向けの価格で富裕層が行くような場所だけに置いてビジネスをしちゃっているというケースが多いと。
東:分かりました。ちょっとおさらいで、海外販売で最も重要なことというのは? もう1回教えていただきたいんですけど。
森辺:「ターゲットと4P」です。海外事業で迷われることたくさんあると思いますけど、そのときには、ターゲットが間違っていないか、4Pが正しく行われているか、これをもう1回見直すと戦略改善の参考になると思います。
東:分かりました。引き続き、次回も伺いたいと思います。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。
<終了>