東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、前回に引き続き、『グローバル・マーケティングの基本』からお送りしていますけども。2-8で「近代小売(MT)と伝統小売(TT)をレイヤー化する」と、「近代小売と伝統小売、2つの議論だけでは不十分」だというかたちでなっているんですけども、ここを少し。
森辺:やるということですね。
東:はい。
森辺:近代小売をまずやるということは絶対に重要で、近代小売が先だというのも、もうこれは正しいんですよね。なぜかと言ったら、伝統小売のオーナーは、近代小売で売れ筋でないものを伝統小売、自分の伝統小売の店舗では取り扱いたがらないので、近代小売を攻略するということはもう絶対です。
東:取り扱いたがらないというのはなぜなんでしょうか?
森辺:伝統小売の狭い店舗で、売れるかどうか分からないものを置くというのはなかなか経営判断としては難しくて。基本的に伝統小売で売れているものを見てもらったら分かると思うんだけども、もう絶対に回転率の高いものなんですよね。伝統小売で高いものなんて売ってないので、どれだけ回転率が高いかと。じゃあ、どうやって彼らは回転率の高いものを品定めするかと言うと、やっぱり近代小売で売れ筋になっているもの。近代小売で売れ筋になっているものをばら売りにして売るというのが伝統小売の最大の特徴なので。その代わり、1グラムあたりとか1個あたりの単価は高くなる。それでも、っぱり新興国の人たちというのは、1個買えると。頭痛薬24錠を買うのではなくて、今頭が痛い、この頭痛を治すための1錠が欲しいという、こういうニーズなわけですよ。今お腹減った、この空腹を満たしたい。ポテトチップス、小さい袋が欲しいと。1袋あげたら食べきれないと。このニーズが伝統小売のニーズなので、そこが大変重要ですよと。で、何だっけ、何の話だっけ?
東:レイヤーの話です。
森辺:レイヤーの話だね。
東:はい。
森辺:それで、そうなってきたときに、近代小売をまずやりますと。その後、伝統小売をやるんだけども、伝統小売にはいくつかのレイヤーがあって、いわゆる地域一番店みたいのがあるんですよね。インドネシアだとグロシールとかって言ったりするんですけど、本当の伝統小売をワルンというふうに呼んで、グロシールって半分問屋みたいな機能を持っているような、なんだけど小売もやっているみたいなね、そういう地域一番店があるので、そういうところを攻略していったほうが効率がいいですよと。なぜならば、そういう伝統小売は、仕入れをね、地域の数十店舗の伝統小売の仕入れをその地域一番店が賄っているんですよ。昔で言う、頼母子みたいなね。
東:はいはい。
森辺:なので、そこを攻略するとオセロ返しのようにその地域の数十店舗の伝統小売にも導入されるということになるので、いかに地域の規模のデカめの伝統小売を押さえるかということが重要。
東:うんうん。
森辺:あと、近代小売と伝統小売の地域一番店の間にグローサリー的な、スーパーとは呼べないよと、POSレジ入ってないから。ただ、伝統小売じゃないよねというような店舗もあるので。基本的にはデカいところ、デカいところ、人通りの多いところ、多いところから押さえていくということが重要で。そうすると、やっぱりレイヤー化をしないといけない。どういう種類の伝統小売があって、それをどういうふうに切っていきますかという。うちにはうちの切り方があるから、各社各社で切り方を切っていけばいいんだけど、分かりやすいのは、近代と伝統の間的なね、さっき言った、近代とは呼べないけど伝統小売じゃないよねというところを加える。近代とそういうところを加えて、その次に伝統を加えるんだけど、地域一番店を加えて、そこから普通の伝統小売みたいな。
東:順番があるわけですね。
森辺:順番があるんですよね、大きく言うとね。もっと細かくしようと思ったら細かくできるんだけども。そういう順番で攻めていくということが必要で。じゃあ、それをね、ベトナムでも、インドネシアでも、フィリピンでも、マレーシアでも、何でもいいんですけど、全土で一気にそれをやるというのは難しいので、やっぱり自分たちが配荷している近代小売がある市とか区にフォーカスをして、エリアでやっていく、ドミナントで広げていくというほうが成功確率は高いですね。一気にうわーっとやるよりも。なので、そんなふうに攻略をしていくのがいいんじゃないかなというふうに思います。
東:分かりました。今日はありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。