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第117回 先進グローバル企業から学ぶ3つのKSF

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テキスト版

皆さん、こんにちは。スパイダーの森辺です。今日は、先進グローバル消費財メーカーから学ぶ3つのキーサクセスファクター(KSF)のまとめということでお話をします。この3つのキーサクセスファクターを知ってアジア新興国に展開をするのは、知らずして出るよりも格段に成功確率を高めます。逆に、知らずして出てしまって、出てからそのことに気付いても、なかなかそこからキャッチアップしていくというのは、大変難しいことでございます。従って、いかにこれを出る前に学び、それを自社の戦略に折り込んでいくか、ということがアジア新興国の消費財メーカーにとってのビジネスでは大変重要になります。
まとめということで、3つのキーサクセスファクターの個々の詳細に関しては、この番組でも前回、前々回とずっとお話をしてきました。今回はそのまとめですが、まず、消費財メーカーにとって一番重要なのは、欧米のその先進グローバル企業が一番重要視している、この先進グローバル企業というのは、繰り返しになりますけど、ネスレとか、P&Gとか、ユニリーバとか、コカ・コーラとか、ペプシコを指していますが、彼らは、ターゲットを必ず中間層に置いている。このことは日本の消費財メーカーも、アジア新興国は中間層が重要であるということは頭では理解していながら、なぜか戦略が上ブレしてしまう、プレミアム戦略になってしまう。できれば、富裕層、上位中間層から狙っていきたいと。ここには製品を買いたくない、価格を落としたくない、ブランドを高い位置に置いておきたい、という思いから中間層ど真ん中を狙うということを避けてしまうと。結果として、パイが小さくなって、なかなか中間層に出れない。中間層を狙えないんだったら、もうアジア新興国に出る意味はそもそもないので、まずこの1番のところで、欧米の先進グローバル消費財メーカーと日本の消費財メーカーは大きなズレがある。中間層を自社は狙っていますよ、と勝手に思い込んでいるんだけども、やっていることは全然プレミアム層にフォーカスしてしまっている、という企業は非常に多いので、今一度、自分たちが本当に中間層ど真ん中を狙っているのか。コカ・コーラは富裕層を狙っていないですよね。ですけど、ど真ん中の富裕層に商品が変われ、中間層を狙っていても、コカ・コーラのブランディングは決して、いわゆる中間層以下のブランディングになっていない。貧困の人たちが飲む飲み物にはなっていない。むしろ、高い位置にブランディングは維持されている。それと同じで、ブランディングとかステータスと、このターゲットというのは、全く別個の次元の話なので、ブランドを気にして中間層を避けるというのは全くの間違い。アジア新興国では絶対に中間層ですよと。
2つ目が、ストア・カバレッジを上げるための戦略的チャネル構築。結局、伝統小売が圧倒的に多いアジア新興国では、MTはもちろんのこと、TTを獲得しないとなかなか収益が出せない。その数十万、数百万存在するTTのストア・カバレッジ、いわゆる自分たちの商品が配荷されている店舗数を、いかに横軸としてたくさん伸ばしていけるか。5万店、10万店、20万店に伸ばしていけるか。店に置いていないものは、消費者は買わないし、買えないんですよね。このストア・カバレッジを伸ばしていくというのは、自前の営業マンだけではなかなかできることではないので、いかにディストリビューターを活用するか、いかに複数のディストリビューターを活用してディストリビューションネットワークをつくっていくか、ということが重要。ネスレやユニリーバは数百のディストリビューターを各国で使っていく、そういうマイクロディストリビューションができる戦略的なチャネルを構築しているというのが先進的な消費財メーカーですと。
最後は、この2番で店に並べた、ストア・カバレッジを上げて店に並べた。この店に並ぶ瞬間から競争が発生するわけですよね。ガムはガム、ジュースはジュース、チョコはチョコ、スナックはスナックで、同じカテゴリーで並んでいきますから、ドン・キホーテに並べない以外、基本的にモノというのはカテゴリーごとに並んでいくと。そうすると、競合と同じようなエリアに並べられたときに、消費者が競合の商品ではなくて御社の商品を選ぶという、この選ばせることというのは、まさにプロモーションへの投資なんですよね。このインストア・マーケット・シェアを上げるということは、チャネルの投資ではなくて、プロモーションの投資。ストア・カバレッジを上げるのは2番のチャネルへの投資ですが、インストア・マーケット・シェアを上げるのはプロモーションの投資です。このことを欧米の先進的な消費財メーカーはしっかり理解しているので、ターゲットは中間層、ストア・カバレッジを上げないと何事も始まらないので、ストア・カバレッジを上げるためのディストリビューションネットワークに投資をする、それに投資をするのと同時に並んだ商品を売り上げるためのプロモーション投資でインストア・マーケット・シェアを上げるということ、これをバランスよくやるというのが、欧米の先進的なグローバル消費財メーカー。その結果、高いシェアを実現している、というのが欧米の消費財メーカーです。
それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。