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第118回 アジア新興国で失敗する4P(マーケティング・ミックス)

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テキスト版

皆さん、こんにちは。スパイダーの森辺です。今日は、新興国市場における間違った4P(マーケティング・ミックス)についてお話をします。新興国市場に進出をしている消費財メーカーの失敗の要因の多くは、この4Pに潜んでいます。逆に言うと、この4Pがしっかり整理できていれば、適正化できていれば、アジア新興国でのビジネスというのは成功していく、と言っても過言ではないと思います。今日は、アジア新興国市場における謝った4Pについて、一緒に学んでいきましょう。
まず、この図は、誤った日本の消費財メーカーのアジア新興国市場における4P(マーケティング・ミックス)です。4Pが何かというのは、もうここでは敢えて説明をしませんが、Product・Price・Place・Promotionの4つのPで4P、別名マーケティング・ミックスというふうに言われていますが、まず、この4つのPを最適化しないといけない。日本の多くの消費材メーカーは、どういう4Pを組み立てるかと言うと、まずProductに関しては、アジア新興国でビジネスをしているにもかかわらず、日本で実績のある商品を、できればさほど変えずに。これは、変えずにというのは、現地適正化、適合化をしない。もしくは、世界標準化もあまりしたがらない。日本で売っている、日本の消費者に指示されてきたものを、日本の高度な消費者が指示しているんだから、アジア新興国を含めて世界の消費者は支持するはずだ、という発想でProductをまず投入していくと。
一応、アジア新興国なので、少しは安くするけど、できれば日本と同じ価格で売りたいなということで、価格も、結局、欧米の企業であったり、現地のローカルの競合に対して割高。従って、これを総じて、われわれ日本企業の日本の商品はプレミアムであると、プレミアム戦略なんだということで、まず2つのPが決まってしまうと。
そこが決まってしまうと、今度Place、売り場に関してはそんなプレミアムな商品はTTには置けませんので、決まって日本で慣れ親しんだMTだけになってしまうと。そうすると、例えば、ベトナムなんていうのは、MTの店舗数、最新のデータで1,500店舗ぐらいしかないですよね。フィリピンでも6,000店舗ぐらいしかないと。そんなような国では、もうMTしか置けなければ、正直利益出ないわけですよね。1,500店舗ですからね。対して、ベトナムはTTに50万店舗、食品が置けるTTだけでも30万店舗ある。インドネシアに関しては3万5,000店舗のMTがあるじゃないか、十分じゃないのかと言っても、うち3万店はアルファマートとインドマレットなわけですよね。アルファマートとインドマレットに商品を置くなんていうのは、相当な投資がかかる、リスティングフィーなり、強制プロモなり、相当な投資がかかるわけなので、残り5,000店舗にどうちょろちょろ置くかという話になってしまうので。結局、ここを間違えるので売り場の選択肢も狭めてしまうと。
Promotionに関しては、できれば実績が出るまでPromotionはしたくない。結果が出るか出ないか分からないものに、当然高額なPromotionはかけられませんので、Promotionは中途半端。この番組でも再三お話をしていますが、チャネル構築が重要だと、ストアカバレッジの横軸を伸ばして、いかにたくさんの店舗に置いて、配荷をして、そして配荷したものをいかに消費者に選んでもらうかというのは、Promotionへの投資、配荷をを増やす、ストアカバレッジを増やすのはチャネルへの投資、そして、インストアマーケットシェアを上げるのはPromotionへの投資だということをお話しましたが、それ自体も実行できなくなるわけですよね。
結果、必然的に中間層には売れなくなる。じゃあ、誰が買うのか。駐在員、韓国や中国の駐在員も含めて。もしくは、現地の非常にマニアな富裕層。もしくは、日本フリークの人たち。そういう人たちにしか売れないので、MTに行っても結局メインの棚取れずに輸入貧棚にちょろっと並んでいるというようなことになってしまうと。そうすると、頭では中間層と分かっていても、結局は上ブレしてしまうというのは、間違った4Pで、これをいかに正しい4Pに変えていくか、ということが日本の消費財メーカーはまだまだ必要だと思います。
それでは、また次回お会いいたしましょう。