HOME » 動画番組 スパイダー・チャンネル » 第121回 日本企業の世界競争力

動画番組 スパイダー・チャンネル

第121回 日本企業の世界競争力

新刊はこちら » https://www.amazon.co.jp/dp/449565019X
定期セミナーはこちら » https://spydergrp.com/seminars/

テキスト版

皆さん、こんにちは。スパイダーの森辺です。今日は、日本企業の世界競争力についてお話をします。日本はこの25年、世界における競争力を大きく変化させてきています。このことを知ることで、次の25年、日本企業がどのように変わっていく必要があるのかを学ぶことができます。今日は、日本企業の世界競争力について一緒に学んでいきましょう。

まず最初に申し上げたいのは、日本はこの25年で世界における競争力を著しく低下させてしまった、ということです。この図の通り、1992年当時、日本の世界競争力は第一位であった。それが現在2018年では25位にまで低下をしてしまっている。2019年の最新のデータによると、日本の世界競争力は25位からさらに5位ランクを下げて、現在30位にまで低下をしてしまっております。Fortune Global 500の企業に関しては、1992年当時、日本はアメリカに次いで第2位で119社の企業がランクインしていた。それが現在は中国に抜かれ、第3位54社にまでランクイン企業を減らしています。

この日本並びに日本企業の世界競争力の低下の要因、大きく分けて2つ存在します。もう皆さんご察しの通り、1つは中国企業の台頭です。25年前、どれだけの人が中国の競争力を意識したでしょうか?25年前、全くランク外だった中国企業が現在では98社もランクインして、アメリカに次いで第2位である。例えば、世界の白物大物家電の最大手というのは中国のハイアールであったり、かつて市場を席捲したIBMのラップトップや三洋のアクアというブランドの洗濯機などは、現在、中国のレノボやハイアールがそのブランドを引き継いでいる。そして、このような家電・エレクトロニクス系の分野だけでなく、アリババやテンセントに代表されるようなIT・ネットテクノロジー系の分野でも中国は著しい成長を遂げている。自動車や電気自動車、そして、ドローン、さらにはAIという分野、多岐にわたる分野で中国企業はこの25年間、著しく成長して大きく台頭した。これが日本の世界競争力が下がった大きな要因の1つ。

そして2つ目。この2つ目の要因は、やはり何と言ってもアメリカの変わらぬ強さである。1992年当時、Fortune Global 500にランクインしていた米国企業は157社あった。確かに社数は減らしたんですが、現在でも米国は第1位で128社がランクインしている。この変わらぬアメリカの強さは一体何なんだ?それはこの157社と128社の中身にあります。25年前、Googleという会社は存在したでしょうか?25年前、Facebookという会社は存在したでしょうか?25年前、UberやAirbnbという会社は存在したでしょうか?25年前のApple、Microsoftと現在のAppleやMicrosoft、どれだけ時価総額が変わっているでしょうか?日本は多くの産業分野でより小さく、よりよく、より安くつくることでアメリカのたくさんの産業を奪っていった。アメリカは日本に多くの産業を奪われた結果、イノベーションの力でたくさんの新しいものを生み出していったというのがこの25年間。Uberなんていうのはまさにそうで、1台の車も1台の運転手も持たずに世界最大のタクシー会社になった。このようなイノベーションを生み出すことでアメリカはその強さを誇示し続けてきた。

日本はこの25年間どうだったでしょうか?Fortune Top 100を見ても、1992年当時にランクインしている企業と現在の企業、確かに社数が大きく減っただけで基本的には現在ランクインしている企業は25年前にもランクインしている。唯一の例外がソフトバンク。日本がこの25年間で新しく生み出した会社というのがソフトバンクただ1社である。日本のこの25年間のイノベーションというのは一体何だったのか、今一度考える必要があるんじゃないでしょうか?

それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。