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第122回 日本企業の世界競争力低下の理由

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皆さん、こんにちは。スパイダーの森辺です。今日は、日本企業の世界競争力の低下の理由についてお話をします。日本企業はこの25年、その世界競争力を大きく低下させてしまいました。その理由についてしっかりと学ばなければ、私たちはこれからの25年、どう変わっていけばいいのかを学ぶことはできません。今日は、日本企業の世界競争力低下の理由について一緒に学んでいきましょう。

まず最初に申し上げたいのは、日本企業が世界競争力を低下させてしまった背景には大きく2つの要因が存在するということです。まず1つは外部の要因です。そして、もう1つが内部の要因です。この外部要因に関しては、前回この番組でもお話をさせていただきました。中国の台頭とアメリカの変わらぬ強さ、そして、イノベーションの力が大きく関係しているという話をこの番組でもさせていただきましたので、今回は内部要因についてお話をいたします。

日本企業が世界競争力を大きく低下させてしまった最も大きな内部要因とは、日本企業自身が技術力がすべてであるという考え方にあまりにも固執しすぎてしまったからです。いいものさえつくっていれば売れるんだ、高い技術で高品質のものさえつくっていれば世界はそれを求めるんだ、という考え方にあまりにも固執しすぎてしまった。確かにそのような時代は存在しました。1970年代、80年代、世界に「Japan as No.1」とまで言わしめた、そんな時代、確かに技術力がすべてだったのかもしれません。

しかし、それから時は経ち、2つの環境が劇的に変わりました。1つは競争環境、そして、もう1つは市場環境です。競争環境の劇的な変化というのは、その昔、日本企業しかつくれなかったものが、今では中国や韓国、アジアの企業でもつくれるようになってしまった。この競争環境の劇的な変化がつくる力よりも売る力のほうが優先される市場ができてしまった。これが競争環境の大きな変化。そして、もう1つの市場環境の変化というのは、その昔、日・欧・米が主たるマーケットだった、市場だった、こんな時代から、アジア新興国という全く新しい市場が生まれた。そして、この市場は必ずしも高品質のものを求めない、最低限の品質で十分である、そんな新しい市場が生まれてしまった。この2つの環境の変化が技術力がすべてではなくなってしまった。技術力はマーケティング活動の中の1パートでしかなくなってしまった。これが日本企業がこの25年間で大きく世界の競争力を低下させてしまった理由なのです。

デジタルトランスフォーメーションがますます叫ばれるこの昨今、日本企業は本当にどの方向に舵を取っていけばいいのか、今一度しっかり考える必要があるのではないでしょうか?間違いなく言えることは、技術はすべてではない。技術は大変大切だ、しかし、それはすべてではなく1パートである、ということは変わらぬ事実だと思います。

それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。