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第124回 グローバル市場で商品価値の決め手になるものとは

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皆さん、こんにちは。スパイダーの森辺です。今日は、グローバル市場で商品価値の決め手になるものとは一体何なのか、ということについてお話をします。このことをしっかりと理解せずにグローバル展開をし、失敗をしている日本企業は少なくありません。逆に、このことをしっかりと理解をしてグローバル市場に展開をすれば、失敗をするというリスクそのものは大幅に減らすことができるのです。今日は、グローバル市場で商品価値の決め手になるものとは一体何なのか、ということについて一緒に学んでいきましょう。
まず最初に申し上げたいのは、欧米系企業も中国系企業も、もはや「機能」や「品質」は商品価値の決め手にはならない、ということをしっかりと理解をしています。従って、彼らは自分たちの商品価値の中心に「機能」や「品質」を置いていません。では一体彼らは何を自分たちの商品価値の中心に置いているのか、今日はこの図を使ってそれを見ていきたいと思います。

まず、欧米系。欧米系は、ここで言う欧米系というのはアメリカ・ドイツ・イタリア・フランス・イギリスの5カ国を総じて欧米系というふうに定義していますが、欧米系は彼らの商品価値の中心にブランドを置いています。もちろん「機能」や「品質」が大切だということは十分理解しているので、それそのものはもちろん高めようという努力は企業としては行う。しかし、この「機能」と「品質」だけでは商品価値の決め手にはならない、つまりは、購買の決定打にはならない、ということをしっかりと理解をしているため、彼らはその上にブランドを乗せる。「機能」と「品質」の上にブランドを乗せることによって商品価値の決め手としているわけですね。従って、いかなる産業でも欧米系の企業がつくり出すものというのは、だいたいドリーム・プロダクトの領域に当てはまっている。ドリーム・プロダクトというのは人々が憧れて夢にまで見て欲しいと思うような商品。アパレルの分野でもそうですね。革製品・バッグ、いわゆる高級ハイブランドの分野でもそうだし、自動車の分野でもそう。欧米系の自動車というのは高級車が多い。そして、家電でもそうですね。家電も非常に高級な家電が多い。家具もそうです。いかなる分野でも、やはり彼らはその商品価値の中心にブランドを置くことによってグローバルでの競争力を維持してきているというのが欧米系の戦い方。

一方で中国系はどうかと言うと、彼らは価格の安さ、これを商品価値の中心に持ってきている。どういうことかと言うと、「機能」と「品質」、これも大切です。従って、これを高めようということもやっている。ただ、この「機能」と「品質」は市場が求める最低限の「機能」と「品質」でいいんだ、というところに1つ線を引いてオーバースペックのものをつくらない。オーバークオリティのものをつくらない。最低限の「品質」と最低限の「機能」で絶対的な価格優位性をもたらす。いいものを安く供給する、ということで世界の市場で多くのものがすでに中国製になってきた。従って、彼らは商品価値の中心に安い価格を設定して、コモディティの分野はもうすでに中国系がほぼ世界を席巻してしまった。

かつて日本もドリーム・プロダクトをつくっていた時代がありました。ソニーがウォークマンをつくっていた時代。ニンテンドーガファミリーコンピュータをつくっていた時代。ホンダがスクーターを出した時代。そんな時代、世界中の人々は日本の商品をドリーム・プロダクトというふうに言いました。その時代はまだまだ「機能」や「品質」が商品価値の決め手になる、そんな時代でした。だから、日本企業はドリーム・プロダクトをつくれた。この日本企業がドリーム・プロダクトをつくるもう少し前の時代、プラザ合意以前の時代、この時代はやはり日本でつくったものを世界に輸出していく、安い、欧米がつくったものよりも安くてよくて小さくつくれるんだということでコモディティの分野を席捲していった、という時代が日本もありました。しかし、今はもう「機能」と「品質」が商品価値の決め手にはならない時代、こんな時代に日本企業はこれからどう舵を取っていけばいいのか、今一度見直す時期が来ているのではないでしょうか?

それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。