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第133回 アジア新興国市場 「良いモノ」の定義を変える

概要

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、日本企業がグローバル市場に展開する際、特にアジア新興国市場に展開する際に、変えなければいけない考え方についてお話をしたいと思います。

どういう考え方か、もうすでに図が出ておりますが、日本企業がアジア新興国市場に出る際に、この「いいもの」の定義を変えるということが非常に重要で、これはどの産業セクターにおいても、日本企業というのは高い技術を駆使して高品質で高機能なものをつくって、これが私たちの強みだし、これがメイドインジャパンの象徴だし、これをグローバル市場に展開をするんだということで、過去ずっとグローバル市場に展開をしてきたと。実は、欧米、日・欧・米が、いわゆるマーケットだった時代、市場だった時代というのは、この考え方がある程度受け入れられたんですよね。いろんなものが発明からまだ間もなかった、時間の経過が間もなかったということで、もともと欧米がつくっていたものを高い技術力でより高品質により高機能につくることで、日本の商品はアメリカやヨーロッパのメーカーからその座を奪っていった。一番分かりやすい例が、自動車とか家電なんかまさにそうですよね、白物、黑物家電と。そういう時代があったと。そこから、今、IoTの時代に来て、このハードそのものの価値というのは非常に薄れてきている中で、また、日本がプラザ合意以降、工場を中国を中心としてアジア新興国に展開をしたおかげで、当然ながら技術が中国やアジアにも広がっていき、今では中国や韓国の企業でもつくれるようになってしまった。そんな時代において、もう、高品質とか高機能、この日本人がよしと思っているものが、なかなかグローバルの市場で受け入れられなく、受け入れにくくなっている。なぜならば、1つが競争環境が変わっているわけですよ。わざわざ日本製の、日本製がいいということは、アジア新興国の人はみんなよく分かっている。ただ、値段も高いし、そんないいものを買うのであれば、別に最低限の機能を備えた中国製でいいよと。事実、今、白物、大物家電の最大手は中国のハイアールだし、三洋という会社はなくなってしまったし、あれだけいい液晶、世界の亀山モデルと言っていましたっけね、シャープは台湾の会社の支援を受けることになっているし、日本の家電メーカーはB2Cから、大半がB2Bに移行してしまったという、散々な目に遭っているわけですよね。それは、言ったら、グローバルのトレンドをアジア新興国のトレンドを読み間違えて、いつまで経っても「いいもの」の定義を変えられなかった。アジア新興国の人たちが求める「いいもの」の定義、それは何なのかということを読み間違えた。もしかしたら、気付いていたのかもしれないんですが、変えられなかったのかもしれない。

よく、いろんな日本企業の方とお話をしていると、グローバルの市場、アジア新興国の市場に出るのに、JISマークの品質基準を気にされる会社とかというのが結構あって、JISマークって、その名の通り、日本での品質基準なので、これをアジア新興国に適合させて何がしたいんだ?ということなんですが、やっぱり、アジア新興国にはアジア新興国の人たちにとっての「いいもの」というものがあって。この「いいもの」の定義を変えていかないと、アジア新興国でメインストリームの商品になるというのは、なかなかこれ、B2Cだけじゃなくて、B2Bも獲れなくて。よく、B2Cなんかで誤解を受けやすいのは、訪日観光客、訪日観光は日本の国家施策の1つになっていますので、たくさんの観光客が、今もこれからも日本に来ていて。その人たちが日本で、例えば、ドラッグストアやスーパーやコンビニでいろんなものを爆買いしていく。化粧品から医薬品から、いろんなものを爆買いして帰っていく。それを見たときに、「日本の商品、こんなに求められているんだ」と、これは確かに1つの事実なんですね。ただ、それってごく一部の人たちであって、アジア新興国の中間層が必ずしもそれを求めているか、もしくはそれが買える経済力があるかと言うと、必ずしもそうじゃないし。あと、観光に来たときに求めるものと、日々の生活で求めるものって全く違う。例えば、われわれ日本人はハワイが非常に好きだと。毎年1回ハワイに行きますと。そうしたときに、ハワイで、ハワイアンクッキーというのを日本人がこぞって買うクッキーがあると思うんですけど、あれをみんな買っていくと。ただ、あれってハワイに行くから買うものであって、日本のセブンイレブンやローソン、ファミリーマートで売っていて、ハワイアンクッキーを買うかと言ったら買わないですよね。それと同じで、訪日観光が日本に観光に来たときに買うものと、現地のアジア新興国の本当にマスマーケットで中間層が買うものというのは全く違うので、そこを誤解してはやっぱりいけなくて。私たち日本企業は、この「いいもの」の定義を変えられなければ、アジア新興国ではメインストリームは絶対に取れないということを、今一度しっかりと認識をしないといけないと思います。

私が支援する多くの企業も、このターゲット、中間層というターゲットに対して、4Pを組んでいくわけですけど、4Pのうちの最初のP、ProductとPriceのこの2つのPが、日本でのどうしても実績とか、日本での成功体験が中心になっていってるので、自分たちが「いい」というものを、なかなかゼロベースで組み替えるということができている企業というのは非常に少ない。ただ、ここさえしっかり読み間違えなければ、「いいもの」の定義を日本人が変えられれば、この失われた20年30年、アジア新興国でなかなか成果の出なかった20年が大きく変わっていくんじゃないかなというふうに思います。

それでは、また次回お会いいたしましょう。