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第134回 アジア新興国市場 革新的な戦略をうみ出すために必要なこと

概要

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、革新的な戦略というのは一体どうやって生み出されるのかということについてお話をしたいと思います。

アジア新興国市場なんかに参入をする際、もしくは、再参入をする際、戦略をつくらないといけない。その戦略づくりに悩まれている企業が大変多くて。いろんな企業と仕事柄お会いをするわけですけども、経営戦略室とか事業部の方に戦略を見せていただいたときに、この戦略、もうすでにちょっと危ないなとか、これは失敗しているケーススタディがあるのになんでこんなことをしてしまうんだろうというようなことが、非常に多く垣間見れて。日本の企業というのは、革新的な戦略を生み出すために必要なことをあまり理解をしていないんじゃないかなと思うケースが多々存在します。

どうやったら革新的な戦略って生まれていくのか。特に、皆さんにとって未開の地であるアジア新興国、これ、日本の市場とアジア新興国の市場って何が違うかと言うと、日本の市場というのは、いろんなものが出来上がっているうえでビジネスをしているので、根本から戦略をつくるなんていうことは日々の仕事の中でしないわけですよね。例えば、B2Cであれば、対消費者に対してどうセールスをしていくか、プロモーションをしていくかということが戦略の中心になっていくし、B2Bであれば、対ユーザーに対する、いわゆる川下の話が非常に多くなってくる。ただ、一方で、アジア新興国市場になってくると、土台から戦略を組まないといけない。要は、ないものづくしなわけですよね。チャネルもない、小売の信頼もない、消費者の信頼もない、知名度もない、ユーザーもいないという中で、ゼロから事業を組み立てていくわけなので、川上から川下までを一気通貫してやらなきゃいけないと、そういう大きな違いがあって。そんな中で革新的な戦略を、新規参入だったら生み出していくわけだし、多くの日本企業は、弊社のクライアントでもそうですけど、9割以上は、もうすでに進出をしていて、なかなかうまくいかないので再参入戦略をつくるという、そういうタイミングで過去を引きずったまま再参入戦略をつくっていくんだけども、どうしても過去を断ち切れずに引きずったまま、再参入戦略と言いながら、なかなか革新的な戦略が生めないという企業は非常に多いと。

じゃあ、どういう仕組みになっているのかというのを表しているのがこの図なんですけど、戦略というのは、アウトプットなわけですよね。戦略というアプトプットを生むためには、絶対にこの中にインプットがないといけない。インプットがないのにアウトプットというのは出ませんから。じゃあ、インプットって何なんだ?と言うと、この図の通り、可視化なんですよね。分からないことを可視化をする。可視化をするということは分かるということなので、インプットが入ってくる。そのインプットがアウトプットになっていくわけですよね。ただ、もちろんインプットだけ入れれば=アウトプットになるか、10というインプットを入れたら10というアウトプットになるかと言ったらそんなことはなくて、この中で化学反応を起こさせないといけないと。じゃあ、何が化学反応を起こさせるポイントになるかと言うと、インプットという知識に合わせて、経験が必要になってくるわけですよね。自分たちがそれを実体験をしている経験、それを掛け合わせて多少のセンスで革新的な戦略というものが生まれてくる。多少のセンスなのか、ものすごく高度なたくさんのセンスなのかというのは、ちょっと私にも分かりませんが、センスは間違いなく必要だと。ただ、絶対的に言えるのは、知識と経験、この2つが重要で。経験に関しては、以前この番組でもお話しましたけど、なぜ先進的なグローバル企業があれだけ早期に進出するのかと言うと、誰よりも早く出て、誰よりも早く失敗をして、誰よりも早く経験をして学ぶということが、彼らは革新的な戦略を生むことだというふうに理解をしているので、グローバルの先進的な企業というのは、どの業界でもとにかく早い。スピードが速いというのは、まさにそういうことなんですよね。もちろん、先駆者メリットを得るとかって、そういういろんな要素もありますけども、誰よりも早く失敗をして学ぶということがスピードを重要視するもう1つの側面であるので、経験というのはそうだと。今回は、知識にフォーカスをするわけですけども。

じゃあ、アジア新興国市場で再参入戦略、参入戦略をつくるときにどんなインプットが必要なのかと言うと、やはりまず市場環境を可視化しないといけない。これって言ったらマクロ的な話なので、どちらかと言うと、セカンダリーソースで、デスクリサーチで何とか情報が得られる。この市場環境の可視化については、日本企業は比較的やれているんじゃないかなと思っていて。私がやっぱりやれていないなと思うのは、この2番の競争環境の可視化、それから、流通環境の可視化、ここについては、とくに2番の競争環境の可視化、日本企業はほぼやっていないに等しい。自分たちの営業マンが拾ってくる競合の情報を競合の情報として捉えていたり。そうではなくて、競合の情報というのは、競合が知られたら困るぐらいのレベルの情報を取ってこないとなかなか難しくて。例えば、チャネル戦略なんかをつくるときに、競合はどういうディストリビューターを何社ぐらい使っていて、それをデイリーでどういうふうに管理育成しながら、どんなオペレーションを回しているのかということを知らないと、自分たちのチャネルの強弱調整ができないんですよね。ものを売るということはチャネルの競争なので、競合よりも強いチャネルをつくらなければ、ずっとそのシェアの差というのは開いていってしまうわけですよね。そうすると、競合のチャネルの調査なんていうのは非常に重要で、そんなことは全くやっていない。自分たちのディストリビューターと競合のディストリビューターは、戦闘能力がどれぐらい違うのか。これは数字でどう違うのか。自分たちのディストリビューターには何が足りていて、何が足りていないのか。こういったことが全くインプットされていないというケースは日本企業の場合、非常に多い。また、消費者、ユーザーの可視化、この消費者の可視化というのは、日本の消費財メーカーは消費者調査が大変好きですから、これは比較的できているのかなと。ユーザーの可視化も、取りあえず訪問するということは非常によくやっているので、ここもいいんじゃないかなと。あと、5番のディストリビューターの可視化というのが、少しさっきもお話しましたけど、やっぱりまだまだで。各国でディストリビューターの数なんて有限で限られているので、無限にあるわけじゃないですよね。そうすると、自分たちが手に届く範囲のディストリビューターだけを調べて、その中から選択するということではなくて、もう網羅的にすべてのディストリビューターの戦闘能力をしっかりと調べて、その中からディストリビューターを選ぶ、もしくは、競合のディストリビューターと自分たちのディストリビューターを比較検証するというようなことをやらないといけない。これだけのインプットがあって初めて、そこに経験値を掛け合わせて、センスというスパイスで革新的な戦略というのは生まれていくわけで、インプットの量と質を格段に上げていかないといけない。

日本企業はとにかく調査をしなさすぎというのは、1つ私が20年近くこういうことをやっていてすごく感じることです。調査というものの費用を、やっぱり費用計上、コストだというふうに捉えていて、戦略をつくるための投資だというような考えで調査をしっかりしていかないと。本当に竹やりを持ってアジア新興国市場に攻めていくみたいな話になってしまうので、革新的な戦略はインプットです。最低限のインプットがないと、経験値は積まないとないので、少なからずインプットがないと、真っ暗闇の海に飛び込むような話で、そこをサーチライトで照らして、岩がないな、サメがいないな、何とかがないな、危険がないな、ということをサーチライトで照らすということが可視化なので、ぜひこのインプットを増やすということをやってみてください。そうすると、必然的に戦略の制度は上がっていくと思います。

それでは、皆さん、今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。