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第135回 アジア新興国市場 強い販売チャネル構築のために必要な3つのこと

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、強固な販売チャネル構築に必要な3つのことについてお話をします。このことは、どの産業セクターの製造業にも言えることなんですが、B2Cの製造業でも、B2Bの製造業でも当てはまることだと思うんですが、日本の多くの製造業はものづくりに長けているので、どうしてもものづくりに重要度のフォーカスがいってしまって、販売チャネルというのがなかなかおろそかになりがちな企業が少なくありません。これは、アジア新興国市場に限らず、グローバル市場で言えることなんですが、先進的なグローバル企業に比べて販売チャネルが非常に弱い。この販売チャネルを強固なものにしていかないと、販売チャネルって非常に重要で、これ、B2CでもB2Bでも、皆さんの優れた商品をいかにユーザーや消費者に届けるかというパイプ役を担いますので。このパイプ役って単に商品を届けるだけじゃなくて、皆さんの商品のプロモーションも兼ねて商品を届けていったり、消費者やユーザーとのコミュニケーションも兼ねて商品が届いていったりするので、非常に重要な、人間で言うと血管のような役割を担っていると思います。にもかかわらず、商品にフォーカスが当たりすぎて、なかなか販売チャネルが強固なものになっていないというのは非常に残念なので、今日はこの販売チャネルをどうやったら強固なものにつくり込んでいくことができるのかと、非常に重要な3つのことがありますので、そのことについてこの図を使って説明をしていきたいと思います。

まず、結論から申し上げると、強固な販売チャネルをつくるうえで必要な3つのことというのは、まず、いかにディストリビューターを発掘選定するかということが1つ目。そして、2つ目がそのディストリビューターといかに契約交渉をしていくかということ。そして、3つ目がそのディストリビューターをどう管理育成していくかという、この3つです。まず、最初の発掘選定のお話をしますが、これは言ったら、自分たちに最適なディストリビューターをどうやって発掘して、そしてどうやって最終的にそこに選定をしていくのかという、そのプロセスなんですよね。これ、本当に冗談かという話なんですけど、大企業であっても、自分たちのディストリビューターが、自分たちが今手が届く範囲で出会ったとか、知り合ったとか、見つけたディストリビューターの中からディストリビューターを選んでいて、海外で失敗をしている。分かりやすく言うと、例えば、このA社を選んだと。A社を選んだんだけど、もしかしたら、こっちにB社だという、もっと優れたディストリビューターがいるかもしれないのに、今、自分たちが見えているところの中ではA社が非常に重要なのでA社と組んだというケースが多くて。結構、アジア新興国市場の場合、日本の多くの企業というのは、もう20年も30年も前からディストリビューターって決まっているんですよね。使っているんですよね。当時のディストリビューターが今なお使われていて。でも、この20年、僕はアジア新興国市場を見ていても、ディストリビューターのランキングって大きく変わっているんですよね。当時、優秀だったディストリビューターが今は衰退していたり、当時、あまり優秀じゃなかったディストリビューターが今、台頭していたりするので、20年前のディストリビューターがそのままでいいのかと言うと、そんなことはない。そういうディストリビューターの選定って、この図の通り、ロングリスト、ミドルリスト、ショートリストをつくって絞り込んでいかないといけないんですよね。そのときの評価基準としては、絶対評価と相対評価を繰り返すということをわれわれはやるわけですけども。絶対評価って何かと言うと、自分たちが、例えば、アジア新興国市場で100億やりたいのに、売上が10億のディストリビューターを選んでどうするのかと。こんなことはないと思いますけど、分かりやすく言うとそういうことですよね。ディストリビューターってキャッシュを回す仕事なので、100億をやりたいのに10億円しか売り上がっていないディストリビューターというのはキャッシュが回りませんから、やっぱりそういうディストリビューターでは駄目だということになるし。それは絶対的な評価で切れるわけですよね。あと、例えば、競合の商品を取り扱っているほうがいいとか、取り扱ってないほうがいいって、これも絶対評価で消去をしていける。こういったものである程度ざっくり消去していって、アジア新興国市場で各国で主要なディストリビューター、日本企業が付き合ってもそんなに問題がないディストリビューターって数十社ぐらいですよね。50社ぐらいなので。マスターリストとしては、何百と出てきますけど、だいたい50社ぐらいなので、やっぱり絶対評価でバッサリ切っていって、そこから絞り込んでいく。相対評価というのはその名の通り、A社とB社とC社とD社とE社と比べて、最も優れたところを選んでいくかということなので、こういったことをして絞り込んでいかないといけない。また、別の動画で、この絞り込みだけに特化した動画も今後撮っていこうと思いますけど、基本的にはそうやって発掘選定をしていくということ。

2つ目が契約交渉ですね。契約交渉に関しては、日本企業の場合は、基本的には事実上独占なんだけど非独占契約。要は、リスクが嫌なので、独占契約とは契約書には書きませんと、非独占ですと。ただ、別に、そこ以外のディストリビューターは使わないし、事実上、非独占ですよみたいな契約書をつくるケースが多くて。その契約の内容も、日本の法務は非常にしっかりしているので、守りの契約書、契約書の中で自分たちの地位や立場を守ることの条項に関しては非常にきっちり書いてある。ただ、どうやって目標数値を売り上げていくのか、その戦略の契約交渉の交渉というのは、まさに自分たちの目標が、初年度、例えば、5億だ10億だと言うのであれば、その5億10億をどう達成していくのかという中身のブレークダウンをした議論が、どう契約書に反映されるかということなんですよね。コミットをさせる、させないとかというのはまた別問題で、そういった目標をどう実現するかという話し合いが、契約前にきっちりできている会社とできていない会社では、契約後の成果が全然違う。多くの日本企業は、この攻めの目標をどう達成するかという契約交渉が全くできていないので、攻めの契約書にはなっていないわけですよね。その目標を達成するブレークダウンをした数字、それから、プロセス、KPI、そんなものが全く決まっていないまま、あなたが非独占のディストリビューターです。今年、何億やってください。私たちはつくる人です。あなたたちが売る人です。あとはお任せしますで、年に何回か訪問をして、ディストリビューターに見せたいところだけを見せられて、結果がいかなかったら為替と景気のせいにされて、そこから対策が何も打てないという、こういうケースが非常に多いんですが、この契約交渉も非常に重要。

3つ目の重要な要素というのが管理育成で。アジア新興国のディストリビューター、グローバルのディストリビューターって、管理して育成していかないと駄目で。管理ってどういうことかと言うと、この前のフェーズで、契約交渉のときに決めたKPIであったり、to doですよね。目標をどうやって実行していくかというブレークダウンをして。例えば、マンスリー、ウィークリー、デイリーの活動プロセス、こういったものがしっかり本当に行われているかという、プロセスやKPIを管理する。これを管理しなかったら、1年蓋を開けて目標いかなかったら、これは1年無駄にするわけですよね。こういったことをしっかり管理をしていかないといけないし。彼らがそれを実現できるためには、どういう課題があって、どういうボトルネックがあって、それをじゃあ、メーカーとしてどうやって解決をしていけばいいのかというのが、まさに教育で。商品説明や何とか説明をするのがメーカーの責任、それだけがメーカーの責任ではないので、いかに彼らに目標を達成させてあげるかということも考えていかないといけない。自分たちはつくる人であなたたちが売る人という考え方はもう全くの間違いで、そんなのは先進グローバル企業は一切やっていないし、自分たちも、売るという戦略を、自分たちがつくって、それをディストリビューターと一緒になってやっていくという、そういう姿勢がまさに管理育成なので。

この3つが一緒になって初めて、アジア新興国では商品がセルスルーをしていく。マーケットシェアを高めていける、そんな市場だと思います。グローバル市場というのは、まさにそういう市場で、日本国内のドメスティックな市場とは違って、非常にこの3つの要素が大変重要になってきます。また、個別に1、2、3とそれぞれまた動画番組で詳しく話をしていきたいと思いますので、今日はこれぐらいにしたいと思います。

それでは、また次回お会いいたしましょう。