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第143回 アジア新興国市場 マーケティングの基本プロセスとは その3

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、マーケティングの基本プロセスの中でも特に重要な2つのことについてお話をします。前回、前々回、前々々回ぐらいからずっと、このマーケティングの基本プロセスについてお話をしていますが、「R」「STP」「MM」それぞれがどういうものなのかと。それぞれを簡単に解釈するとどうなんだということを、この番組で解説をしてきたわけですが。今日は、このマーケティングの基本プロセスの中でも特に日本企業が弱点としているところ、もしくは、この2つをやれば、より実績を上げていく、アジア新興国市場でマーケットシェアなり、売上なり、実績を高めていくうえで直結しやすい事項について、2つのことについてお話をしたいと思います。

まず1つは「R」ですね。この「R」のミクロ環境分析。ミクロ環境分析って何なのかと言うと、敵を知ることだと。マクロ環境分析というのが市場を知ること。いわゆる儲かる市場なの?どうなの?ミクロ環境分析は、その儲かる市場、もしくは、儲からない市場にどんな敵がいるの?ということを見ていく。多くの日本企業は、この敵を知るということを非常におろそかにする。どちらかと言うと、マクロ環境分析ってデスクリサーチでできるレベルなので、いわゆるセカンダリーソースを使って情報収集できるので、マクロ分析というのは比較的自社でしっかりやっている。一方で、このミクロ環境分析って調査会社に委託をしないとなかなか、敵の知られたくないことを知ろうとするわけですからなかなか見えてこない。自分たちのセールスや営業が現場で拾ってくる敵の情報なんていうのは、こんな低いレベルの情報は、ここで言っている情報の類には入らないので。基本的には、敵が絶対知られたくないと思っていることを知っていかないといけない。そこに敵の弱点や強みを見ていくわけなんですけども。このミクロ環境分析がやっぱり非常に下手というか、ほぼやっていないと言ったほうが正しいかもしれないですよね。敵の脅威を徹底的に知る。特に、敵がどういう戦略で、どういう販売チャネルで。多いのは、販売チャネルの違いが非常に大きい。商品自体は負けていないんですよね。アジア新興国市場へ進出して、もの自体は負けていない。価格が高いとか安いとかありますけど、これはもう企業さんの努力で、どう競合のプライシングに近づけていくのか、合わせていくのか、それは導き出すことができると思うんですけども。その製品では負けていないのにチャネルで負けている。これはどういうことかと言うと、チャネルって、直販は別にして、ディストリビューターを使うわけですよね。そうすると、使っているディストリビューターの戦闘能力がそのまま、言ったら売上に影響するわけですよね。現地に法人があれば、自分たちの法人もセールスをやっていますから、自分たちのセールス部隊と敵のセールス部隊を比べていくわけですけども、当然、自分たちのセールスだけじゃ賄えないところがあるので、ディストリビューターの戦闘能力を比べていく。これが、やっぱり全然できていない。自分たちの、たとえば、セールスと敵のセールス、どういうスペックの人員が、セールスがどれぐらいいて、それをどういう統括が束ねていて、どういう役割をデイリー、ウィークリー、マンスリーのタスクの中で行っているのか。そういったものが全く見えていない。ディストリビューターに関してもそうですよね。自分たちのディストリビューターと敵のディストリビューターは、具体的に数字でどれぐらい戦闘能力が違うのか。自分たちのディストリビューターがカバレッジしている、B2Cだったらストアカバレッジはどれぐらいなんだ。B2Bだったら、ユーザーカバレッジどれぐらいなんだ。敵は、じゃあ、どうなんだ。自分たちには何が足りていて、何が足りていないんだ。敵のディストリビューターと自分たちはどれぐらいの数字的な差があるんだということが全く見えていない。こういったものを完全に可視化しないと、自分たちのディストリビューションチャネルがどうあるべきかというのは全く見えてこないわけですよね。この1つ目のミクロ環境分析、敵を知るということがこの2つ目のプレイスにつながっていくわけなんですけども、売上を上げるってチャネルの戦いなわけですよね。日本企業は商品が全く駄目ということはまずないので、少々商品に高い安いのいろいろあったとしても、基本的にはチャネルが強ければチャネルの力で売上を押し込んでいくということはできるわけなんですよね。ただ、チャネルが非常に弱いので、せっかくいいものを持っていてもなかなか市場に浸透していかない。そもそもミクロ環境分析で敵のチャネルの脅威を数字で把握していないので、自分たちがどういうプレイス、つまりはチャネルをつくりあげたらいいかが分からないというのが日本企業の大きな問題で。まず、敵のチャネルがどうなんだということを知らないと、ベンチマークをして初めて自分たちのチャネルがつくれるわけで。自分たちしかいなければ、市場に、敵のことなんて全く関係なく自分たちがどうやって消費者に、もしくは、どうやってエンドユーザー企業に商品を売っていくかということだけを考えて、それを満たすチャネルをつくっていけばいいんですけども、そんな市場はあり得ないわけで。市場に出るということは、競合と競争をするということなので、いかに敵のチャネルと自分たちのチャネルの配荷力の差を比べて、敵よりも強い配荷力を持っていくか。チャネルの差が開いているということは、これ、チャネルって生き物なので、日々、どんどん、どんどん、成長していく。そうすると、この競合との差が、どんどん、どんどん、開いていくわけですよね。このミクロ環境分析とプレイス、この2つが日本企業は弱くて、その通ずるところは競合のチャネルである。自分たちのチャネルである。このチャネルの戦闘能力をいかに可視化して、いかに自分たちのチャネルをいいものに仕上げていくかということが重要になってきます。

それでは今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。