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第162回 アジアビジネス 目標設定と戦略の相関性

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、目標設定と戦略の相関性についてお話をしたいと思います。

このような仕事をしていると、「どのように戦略をつくったらいいんですか」とか、「どうすれば革新的な戦略を生み出すことができますか」という質問をよく受けるんですが、この質問に対する答えとしては、戦略をつくるうえで最も重要なのは、何年でいくらやりたいのかということなんですよね。つまりは、3年で100億やりたい人の戦略と、10年で100億をやりたい人の戦略というのは全く変わってくるわけで。その人がどういう時間軸で、どういう規模の目標を実現したいかによって、戦略の中身というのは全然変わってくる。例えば、簡単に言うと、3年で100億やりたいとなってくると、これ、アジア新興国で、もうM&Aしかないですね。一方で、10年で100億であれば、自力でゆっくりチャネルをつくっていきましょうという話になるので、全く戦略が異なってくるんですよね。そうすると、戦略というのは、個々の企業によって全くその中身が違って、1つとして同じものはないわけですよね。企業によって全然違うと。そうすると、どの程度の規模のビジネスを本当に何年で望むんですかということが、まず非常に重要で、それをベースに戦略をまず立てないといけない。さっきみたいに3年で100億やりたいんだと言えば、M&Aしかないという話になるし、10年で100億であれば、じゃあ、自力で販売チャネルをつくりましょうという話になるので。どの程度の規模のビジネスを何年でつくりたいのかということに対して、本当にそれは現実的だ、望めることなのか否かということを議論していかないといけない。3年で100億、M&Aしかない。ただ、それをやるだけの経営資源が今、わが社にはあるのか、ないのかということを見渡したときに、なければ当然それは現実的に望めないので、3年100億の設定を変えていかないといけないし。じゃあ、5年で100億なのか、7年で100億なのか、どのラインだったらできるのかということを現実的に見ていく。これを現実的に細かく細分化して1個1個詰めていくということが戦略づくりの作業でして。まず、経営トップの何年でいくらやりたいんだということが、大前提としてないと駄目。そして、優秀な経営者であればあるほど、それは自分たちの経営資源を見渡したときに、そんなに大きく不可能な話ではないはずなので、それをいかに下の人たちがそれを細分化してくみ上げていくか、戦略につくっていくかということが非常に重要なので、まず、何年でいくらやりたいのかということが非常に重要と。

この図は、1~5年でずっとこう、図が出ていまして、利益曲線A、B、Cというふうにありますけども、どちらかと言うと、日本企業というのは、このCの曲線、茶色い曲線ですね。5年でバーンと売上を出すために、最初にドーンとへこんで赤字を抱えてグーンと一気にマーケットを獲っていくという、こういう欧米的な戦い方というのは、アジア新興国でも苦手としていて、あんまり日本の企業の、もしかしたら、風土にはそんなに合っていないのかもしれないと。日本企業の本音を言うと、どちらかと言うと、利益曲線がA、基本的はそんなにへこまないんだけども、どこかのタイミングで利益曲線BとかCに切り替わって、どんどん売上が上がっていくみたいなことを望む企業が非常に多いんだけども、さすがにそんなにできた話はなくて、へこまないと上がらないというのは、これは非常にあって、ハイリスクハイリターン、投資をしなければリターンはないというのは、非常に、確かにその通りだなというふうに思うんですが。利益曲線Bぐらいの投資をしないと、なかなか上には上がっていけないし、Bぐらいへこんでもらえれば、どうやってその後、Bのままの曲線じゃなくて、Cの曲線に切り替えていくということはできる。しかし、Aのままだと、なかなかAをいきなりCに変えていくというのは、ラッキーだったなとか、万に1つみたいな可能性になってしまうので、なかなかそれは難しいんじゃないかなと。

なので、重要なのは、どの程度の規模のビジネスを何年で望むかということと、それに対して、自分たちはどれぐらいの経営資源を持っているのかと。その経営資源を、必ずしもへこむというのは、お金を投資しろと言っているのではなくて、人・もの・金・情報、いわゆる時間もそうだし、労力もそうだし、人もそうだし、お金もそうだし、あらゆる経営資源を一旦そこに投下をしないと、なかなかリターンというアップサイドを獲っていくということは難しいということを申し上げています。そして、この目標設定と戦略というのは、何年でいくら望むかによって戦略の中身は全然変わってくるので、まず、そこを明確にする。多くの日本の企業は、この何年でいくらをやるというところが、どっちかと言うと、ふわーっとしていて、会社の大きな3カ年・6カ年・9カ年中期経営計画というのがあって、その中で海外これぐらいやらなきゃいけない、その中でアジア新興国これぐらいやらなきゃいけないというのはふわっと上から降りてきているんだけども、じゃあ、それが現実的に本当に望めるんですか、どうなんですかと言うと、精査ができていないので、なかなかそこが1つの課題なんじゃないかなというふうに思います。

それでは、今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。