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第166回 【Q&A】アジア市場 1カ国1代理店制は間違いか?

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、皆さんからの質問についてお答えをしていきたいと思います。今日の質問をお願いします。

今日の質問は、食品メーカーさんからの質問で、「中国・ASEAN市場において、1カ国1代理店制は間違いですか?」という質問ですが、結論から申し上げて、これは食品メーカーさんからも質問なので、答えは「間違い」です。まず、その理由をお話する前に、この「1カ国1代理店制」というふうに質問がきているんですけど、この代理店と販売店というのは、英語にするとちょっと全然ニュアンスが変わってきてしまって。日本では代理店と販売店と特約店とって、基本的には自分たちの商品を買って売ってくれる人というような認識だと思うんですけど、英語でこの代理店というのと、販売店というのは全く違う意味で、販売店はディストリビューターで、代理店はエージェントになって、エージェントというのはあくまでエージェント契約なので、メーカーの商品を買って売るということはせずに、メーカーにクライアントを紹介してくれてそこを繋ぐというのがエージェントなんですよね。それ以外にもブローカー契約というのがあるんですけど。一方で、このいわゆる食品メーカーなどの、中国・ASEAN市場で主流なのは、販売店契約というやつで、ディストリビューター契約ですよね。ディストリビューターという人たちと契約をするということなので、まずここでの質問は、「1カ国1ディストリビューター制は間違いか否か」ということになると思います。その答えは「間違いです」ということなんですが。

なぜかと言うと、中国もASEANも、いわゆる、例えば、中国って、あれだけ広大な国土に、例えば、自分たち、上海や北京の1社のディストリビューターと組んで、その1社のディストリビューターが各地に支店がある、二次店がある、三次店があると言っても、やっぱり強弱というのがあって、中国ってまだまだこれからもっともっといろんな分野で食品のディストリビューション分野もディストリビューターの統廃合というのが絶対に行われていく。全国物流できるディストリビューターは当然あるけども、やっぱり地域によって強弱というのが絶対あって、広東省ではここが強い、北京ではここが強い、上海ではここが強い、重慶ではここが強い、四川ではここが強いというのがあるので、そうすると、やっぱりそれぞれの強いところと、それぞれの地域で組んでいかないと、1社にすべてをお任せすると、力の入れ具合というのがどうしても差が出てしまうし、ここは強いけど、ここが弱いとか、ここはいいんだけどここが駄目とかということが必ず出てしまう。それを、ある程度均等にフルカバーを1社でやるというのは中国ではまず現実的に不可能ですと。

一方で、ASEANで言うと、特にSMT、シンガポール、マレーシア、タイランドはもういいんですが、VIPと言われるベトナム、インドネシア、フィリピン、いわゆる近代小売と伝統小売が混在をしていて、まだまだ伝統小売の比率が高い国、2割ぐらいが近代小売で8割が伝統小売というのが今言ったVIPですけども、8割以上が伝統小売の国では、例えば、ベトナムで50万店、フィリピンで80万店、インドネシアで300万店の伝統小売が存在すると言っているのに、1社のディストリビューターでそれだけたくさんの伝統小売に配荷することって、まず、ほぼ無理。近代小売に強いディストリビューターというのは、伝統小売、たぶん数万間口ぐらいしか持っていないんですよね。1万2万持っていたらたぶんよくて、だいぶ限られちゃうし。自分たちで近代小売に強いディストリビューターが自分たちで伝統小売にちまちま配荷をするかと言うと、そんなこともしないので、基本的にはサブディストリビューターに投げると。そうなってくると、食品メーカーがアジア新興国市場で、ASEANで近代小売だけやっていても絶対儲からないので、伝統小売と同時でやらないといけないというロジックになりますので、そうすると、やっぱり伝統小売は伝統小売に強いディストリビューター、近代小売は近代小売に強いディストリビューターって分けるのか、それとも、この近代小売に強いディストリビューターと一緒に伝統小売の配荷のディストリビューション・ネットワークをつくっていくのかということをしないと駄目です。そのときに、複数のディストリビューターをエリアで分けて使わないと絶対にまんべんなく配荷ができない。人口が多い都市が基本的には伝統小売の数も多いという構成になっているので、どれだけ首都を中心として主要都市を攻めていくかということをやっていかないといけない。特に地方なんかと言うと、やっぱり地方には地方の強いディストリビューターがいるので、そういったところとも契約をしていかないといけない。そうすると、もう物理的な距離と地域特性、地域での強い弱いって、この2つの理由でもう複数のディストリビューターをB2C、食品メーカーなので、消費財メーカーも含めて、B2Cをやっぱり使っていかないといけない。それを分けるときには、同じエリアで競わせるのではなくて、MTとTTで競わせるというのも、ちょっとこれも一部の国ではよかったりするんですけど、一部の国ではよくなかったりするので、そこも気を付けなきゃいけない。どちらかと言うと、違うエリアで競わせるというのが、たぶん正しいやり方で。例えば、ベトナムだったら、ホーチミンはホーチミン、ハノイはハノイと。その他の国でも、インドネシアはもう5島6島に分かれたエリアでしっかりと分けていくということをやって、複数のディストリビューターを使わないといけない。

ちなみに、P&Gなんかでも、昔は40~50使っていたんですけど、今はだいたいどこの国でも6社から8社ぐらいのディストリビューターに集約されているし、ネスレとかユニリーバをわれわれはネスレモデル、リーバモデルと言いますけど、150とか200のディストリビューターを使っているわけですよね。ベトナムで、日系でも大変成功しているエースコックなんかも、大変な数のディストリビューターを使って250とかのディストリビューターを使っていますし、そのほか、ユニ・チャームだったり、味の素だったり、そういった、いわゆる日本企業で中国・アジア新興国で強いと言われているような消費財メーカーも1カ国1ディストリビューター制をとっているところなどは1社の例外もなく存在しないので、やっぱり、食品メーカーが中国・ASEANに出る場合には、複数のディトリビューターをエリアに分けて使う必要がありますということでございます。これがB2Bだったらまたちょっと違うので、B2C、特にFMCG周り、食品・菓子・飲料・日用品、これらの商品は、1カ国1ディストリビューター制なんていうのは絶対あり得ないので、複数のディストリビューターをエリアで分けて使う必要があると思います。

それでは、今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。