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第167回 【Q&A】海外戦略の中で最も重要なことはなにか?

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、皆さんから寄せられる質問にお答えをしていきたいと思います。その前に、いつもこの番組を見ていただいてありがとうございます。ぜひチャンネル登録、ここら辺に出ていると思いますので、お願いいたします。こっちかな、こっちかな。よろしくお願いします。

では、今日の質問をお願いします。「海外戦略の中で最も重要なこととは何ですか?」と、製造業の方からの質問です。「海外戦略の中で最も重要なこととは何なのか?」ということで、これって企業の、製造業の置かれている状況や、また視点によって、この戦略、最も重要な戦略って非常に大きく変わってくるので、なかなか一概にお話をするのって難しいと思うんですが、製造業にとって最も重要なことが、海外市場で売上を上げていくことであると、キャッシュの力を蓄えることであるということの観点から言うと、海外戦略で最も重要なことというのは、やっぱり僕は「ターゲティング」と「4P」だというふうに思います。また、多くの日本の製造業が、海外市場でなかなかうまくいってない製造業というのは何が弱いかと言うと、「ターゲティング」と「4P」が弱いので、戦略が結果弱くなり、結果として稼げない、結果としてうまくいかないというのが現状だと思うので、僕はやっぱりこの「ターゲティング」と「4P」が戦略上最も重要だと思っています。

その詳細はこれから説明するわけですけども、基本的に日本の製造業の海外展開、B2Bって比較的海外売上比率も高くて、比較的うまくいっているんですよね。一方で、やっぱり出遅れ感があって、なかなかうまくいってないのがB2Cで、分かりやすい例で言うと、B2Cのエレクトロニクス、B2C系のいわゆる白物・黒物家電というのは、もう、だいぶ中国勢、韓国勢、台湾勢に日本企業はやられてしまったというのが状況で。これからFMCGが、先進グローバル消費財メーカーFMCGや、地場の中国やASEAN系のFMCG、Fast Moving Consumer Goods、いわゆる食品・飲料・菓子・日用品の企業とどう戦って伸びていくのかというのは、これから求められる市場になってくると思うんですが、その中で日本企業の海外戦略上の最も重要な視点というのは、「ターゲティング」と「4P」で。日本企業って、海外に行くときに、ターゲットが非常に不明確、自分たちの商品をどういうユーザーに売りたいのか、B2Bだったらですね。B2Cだったらどういう消費者に売りたいのかということが、まず大前提としてないと、「4P」って決まらないんですよね。ターゲットに対する「4P」なので、自分たちのやりたいことの「4P」じゃないんですよね。むしろ、「4P」よりも「4C」の観点で考えたほうがいいのかもしれない。ターゲットに対してどうなのか。例えば、消費財で言ったら、ターゲットが中間層だといった場合には、中間層が求める商品を、中間層が賄える価格で、中間層が売りやすい売り場に並べて、中間層が手に取りやすい仕掛けをどうやってするのかということが非常に重要で。すべてはターゲットを軸にどう組み立てるかということが非常に重要になってくるわけですよね。B2Bでもそうです。ユーザーという非常に重要なターゲットに対して、自分たちはどういう製品を提供するのかと。そのユーザーに対して、じゃあ、どういうディストリビューション・チャネルを使うのか、どういうメンテナンス、アフターフォローをしていくのかということがまさに重要で。ターゲットありきなわけですよね。

逆に、このターゲットが明確になっていると、そのターゲットにリーチできるディストリビューターはどこなんだということになってくるので、ターゲットからディストリビューターを決めれるんですよ。日本企業の多くの製造業の場合、自分たちは漠然と売りたい、中国で売りたい、ASEANで売りたい、だから、ディストリビューターが必要だと言って、ワーッと言って、ディストリビューター、大手のところだったらいいんだと言って、ガッと捕まえてくるわけですよね。そのディストリビューターが自分たちのターゲットにリーチしているのか否かというのはあまり精査せずに、とにかく契約をして。蓋を開いてみたら、半分はいけたけど、半分はいけなかったとか。それに対して、ああだこうだと、あなたたちの製品が高すぎる、品質がオーバースペックだ何だ、それに対してなかなか手が打てないという。いわゆる、ターゲットをぼんやりさせて、ディストリビューターからターゲットに近づいていくというのが今の駄目な製造業のパターン。

重要なのは、明確に「ターゲティング」すると。自分たちのターゲットはここですと。B2Bだったら、このユーザーとこのユーザーとこのユーザーとこのユーザーなんだということを明確にする。B2Cだったら、どのエリアに住んでいる、男性・女性、所得がこれぐらい、年齢これぐらい、その人が行く小売、その人が買い物をする場、小売で商品を並べないと、その人たちの手には渡らないわけですよね。そうすると、そのターゲットが買い物をする小売というのはどこなのかということを特定して。その小売にリーチしているディストリビューターはどこなんだということを逆算をしていくと、ターゲットに対する「4P」、ディストリビューション・チャネルも、このPlaceの「4P」ですから、それがまとまってくるわけですよね。ターゲットに対してどういう商品を、どういう価格帯で、どういうチャネルを通じて、どういうプロモーションをするんだということが非常に重要なので、絶対にターゲット。ターゲットが明確になれば「4P」も明確になるんですよ。日本企業が何となくぼんやりしちゃって、「4P」も、いや、分かっているんですと、現地の人が求める商品を、現地の人たちが賄える価格にしなきゃいけないのは分かっているんだけども、なかなか前に進めないというのは、もうターゲットが明確にビジュアライズされていないから進まない。このターゲットをやっぱり明確にしないと、すべての戦略は崩れるので、私、「ターゲティング」と「4P」というふうにお話しましたけども、もしかしたら、最も重要なのは、ターゲット戦略なのかもしれないです。ターゲットさえ明確になれば、「4P」は確実に明確になります。ターゲットと「4P」、もう1度見直してみてください。

それでは、今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。