HOME » 動画番組 スパイダー・チャンネル » 第168回 アジアビジネス 参入戦略 – 3C分析

動画番組 スパイダー・チャンネル

第168回 アジアビジネス 参入戦略 – 3C分析

新刊はこちら » https://www.amazon.co.jp/dp/449565019X
定期セミナーはこちら » https://spydergrp.com/seminars/

テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、アジア新興国市場に参入するうえで、参入戦略をつくるうえで重要になってくる「3C分析」というフレームワークについてお話をしたいと思います。この「3C分析」が一体どういうフレームワークなのかというのは、もうググってもらえればいろいろ出てくると思うので、今日は「3C分析」そのもののお話というよりかは、これをいかにアジア新興国市場に参入するときに使っていくか、活用していくか、むしろ、活用できるフレームワークか、使えるフレームワークかということについて、お話をしていきたいと思います。

「3C分析」、その名の通り、3つのCなんですが、「Company自社」ですね、それから、「Customer市場」、「Competitor競合」の3つを分析する手法なんですが、アジア新興国市場に参入するときに、この「3C分析」って非常に使えるフレームワークで。まず、見ていくときにすごく重要なのって市場で、そこの市場に出て儲かるのか儲からないのかということをCustomerで見ていくわけですよね、最初の市場というやつで。ここをどれだけ細分化できるかによって、自分たちがどれぐらい儲けることができるだろうか、利益を上げることができるだろうかというシミュレーションができる。もちろん、このCustomerのところに少しマクロ要素的な意味での市場も入れてもらって構わないと思うんですよね。海外なので、外資規制があるのかないのかとか、それから、人口動態がどうなっているとかって、日本だと当たり前のように分かっているけど、アジア新興国だと意外にそこが整理されていなかったりするので、少しマクロ環境的なところも加味してもらったら、構わないと思うんですけど、基本的にはその市場そのものが一体どういう市場なのかということをあらゆる観点で調べていくと。最終的には、自分たちがその市場に出たときに、本当にどれぐらい需要度があって、どれぐらいの売上を上げられるんだろうかというところ、どれぐらいの収益を上げられるんだということを見ていく。それを計算しようと思うと、だいぶ細かい情報を収集する必要が出てくると思うので、そんな観点で、まず最初のCustomer市場を見てもらえればというふうに思います。特に、B2Bなんかは、もう、ユーザー名、いわゆる自分がターゲットとすべきユーザー名をバイネームで出していって、そこからどれぐらいの売上が推計できるのかというのを推計していくというのがいいと思います。B2Cに関しては消費者なので、消費者を見るということももちろん重要だし、その消費者が接点を持つ小売、そして、中間流通、こういったところを見て、市場全体がどれぐらいの規模のものなのか、自分たちがそこに出たらどれぐらい儲かるのかというのをまず見てもらう、そういう情報を収集してもらうというのがこの市場だと思います。

日本企業が結構不得意なのが、このCompetitor競合と言われるところなんですが、いわゆる、自分たちの競合のケイパビリティが具体的に数字でどれぐらいあるのかということを測らないと、結局、アジア新興国市場に出るということは、市場そのものが魅力的なのかどうなのかということと、あと、魅力的であればあるほど、先駆者が必ずいるわけですよね。欧米を中心とした先進グローバル企業がすでにいるし、アジア新興国では、もう、中国やASEANの企業が育ってしまっている、そういう企業とマーケットを獲り合うという話になるので、彼らとどう戦っていくかということを考えないといけない。そうすると、自分たちの競合の脅威を事前に知るということはすごく重要で。多くの日本の製造業は、自分たちは、高い技術力で高品質のものをつくれるから、アジアの企業なんて競合じゃないと、欧米の企業なんか競合じゃないなんていうことを、産業によっては非常に強く思っている、いまだに思っているところが、ふしがあって。でも、結局、日本みたいにそんな完璧なものを求めていない市場でもあるんですよね、アジア新興国市場って。そうすると、本当に競合の脅威ってどうなんだろう。なぜ競合の商品はマーケットに求められているんだろう、認められているんだろうと。仮に今、認められていても、われわれ日本の製品が入っていったら、きっと日本の製品のほうがいいんでみんながこっちを選ぶはず、こんな誤解を持ちながら市場に参入するという日本の製造業も少なくないので、やっぱり、競合の脅威を徹底的に調べていく。ここ、市場と1つ違うのは、市場に関しては、自社でセカンダリーのいわゆるデータで収集ができるんですよね、すでに公知されているデータとか、あらゆる世界のシンクタンクからデータを買ってくるとか、もちろん、餅は餅屋なので、調査会社、産業調査系の会社に依頼をする、われわれのようなコンサルティング会社に依頼して情報を収集するというのも1つの方法ですけど、市場に関しては自社でできなくもない。一方で、競合調査に関しては、他社の嫌がる情報を手を突っ込んで抜いてくるわけですから、これはなかなか、やっぱり専門の業者に委託をしないと、本当に深い情報というのは分かってこなくて、自分たちの営業マンが拾ってくるような競合の情報って、正直あまり鮮度のいい競合の情報ではないですし、粒度の細かい情報でもないので、ここに関しては、やっぱり、業者をしっかり使っていくということを考えるというのが1つ重要なのかなというふうに思います。そうすると、どれだけ儲かる市場なのかということと、そこにはどれだけ強い競合がいるのかという、この2つが分かってくる。

そうなってくると、今度、自社、Companyというところを見ていくわけなんですが、自分たちのいわゆる経営資源を見渡すわけですよね。これだけ儲かる市場に、これだけ脅威な敵がいます。そこに自分たちが入っていく。その自分たちって一体どうなんだ?ということを見ていかないといけない。これは、日本国内での実績ではなくて、戦うフィールドは海外なわけなので、アジア新興国の某国なので、某国で自分たちが戦ったときに、自分たちにはどういう経営資源が整っているんだろうか。人はいるんだろうか、情報は十分足りているんだろうか、お金はどれぐらい使えるんだということをしっかり見ていかないといけない。

自分たちの製品は本当に市場に合っているんだろうか、人・もの・金・情報を全部見ていく。そうしたときに、果たして自分たちは勝てるんだろうか、どれぐらい市場を獲れるんだろうかということを総合的に見ていくというのがこの「3C分析」で、非常にアジア新興国市場に参入するときに使えるフレームワークだと思うので、1度皆さんが参入戦略を立てるときに、この「3C分析」というフレームワークに準じて戦略を組み立てていくというのが1つのいい方法だというふうに思います。

それでは、今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。