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第188回 ASEAN市場 小売レイヤーの定義化

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それでは、今日は小売レイヤーの定義化ということでお話をしたいんですが、アジア新興国市場における小売レイヤーの定義化の重要性についてお話をしますが、以前もこの番組で少しお話をしたと思いますが、アジア新興国の最大の特徴は、小売がレイヤー化されているということでございます。よくある議論としては、MTとTTの2つの議論があるわけなんですが、MTというのはModern Trade、TTというのはTraditional Trade、近代小売と伝統小売、この2つの議論というのはよくあって、2レイヤーみたいなお話を世の中的にはされていると。ただ、実際には、こんな2レイヤーという、非常に単純明快な話ではなくて、実はこの間にGTというGeneral Tradeというものがあったり。国によっては、General Trade、どっちがGeneralかという話なので、Modern Tradeのほうが自分たちにとってGeneralだったら、MTをGTと呼んだりとか、TTのほうが自分たちにとってGeneralな国だと、TTをGTというふうに解釈したりする国もあるんですが。逆に、間に入れる、MTじゃないんだけどTTでもないみたいなものをGTというふうに言ったりするケースもあるので、こういったものがあったり。あと、MTも、単にMTと言っていいのかと言うとそうじゃなくて、MTにもいくつかのレイヤーがあるし、GTにもいくつかのレイヤーがあるし、TTにもいくつかのレイヤーがあると。これをしっかり定義化をしないと、同じMTという議論をしているのに、全然違うターゲットに対しての議論になってしまうので、まず会社として自分たちにとってのMTの定義ってどうなんですかということを定義化しないといけない。

弊社なんかの定義だと、MTというのは、MT1とMT2というものに分けていて。MT1というのは、本当に主要なMTで、メインになってくるようなMTで、特に大手の主要なものと、あと非主要、主要じゃないんだけども、POSレジ入っていてMTだ。最低限、たぶん、この2つのレイヤーに分けていかないといけなくて。主要なものの2割でMT市場の8割をカバレッジしているとかいうことは全然あるので、この主要MTと非主要MT、MT1、MT2というような分け方を最低限したほうがいいと思います。

一方で、GTもGT1、GT2というふうに分けていて、われわれの会社はGTをグローサリーとか、MTじゃない、POSレジが入っていないのでMTじゃないです。じゃあ、これをTTと呼んでいいかと言ったら、TTとは呼べない。言ったら、縦横10m×10mとかぐらいの広さがあって、レジには常に人がいて、オーナーのおばちゃんか何かがいて、POSレジは置いていないんだけど、引き出し開けてお金を、おつりを返すみたいな、そんな状態で。結構、地域一番店みたいな感じで、地域のTTのための仕入れなんかもしていたりとか、午後店を閉めて、問屋に変わったりとかって、そういう地域一番店みたいなグローサリーがあるんですよね。地域のご意見番みたいなことをオーナーがやっていたりとか。そういう地域に非常に根付いていて、地域、この1つの地域では主のような存在になっているようなグローサリーがあって。こういうグローサリーって非常に重要で、こういうものを、僕はGT1と定義していて、それ以外のものをGT2と定義していたり。

TTなんかもだいぶ、これ、TTの攻略って非常に重要なので、うちの会社では4階層ぐらいにレイヤーを分けているんですけど。TT1というのは、やっぱり、人通りの交通量の多いところにあるTTと、あと、居住区の中にあるTTって、これ、全く売上が違うんですよね、店舗の。国道沿いの人通りの多いところにあるTTというのはひっきりなしにバイクで消費者が来て、何か買って帰っていったりとかって、売上もびっくりするぐらいあるし。一方で居住区の中にあるようなTTというのは、基本的にはその居住区の人が「しょうゆないの。ちょっと買いにきました」とか、そういうレベルだったりするので、子どもがお菓子を買いに来たとか。なので、全然売上の規模が違ったりするので、これをひとくくりにしてしまうとなかなか大変で。やっぱり狙うべきはTT1が最初で、TT2というのは後だったり。TT1の中にも、自分たちの周辺地域の30とか40のTTのオーナーさんの仕入れをこのTT1のオーナーが担っていたりとかということが結構あるので、TT1、TT2を分けたりしています。あと、TT3は一応店構えは構えているんだけどドアがないとか。普通のTT2とかとはちょっと違うTTで、TT4までいくともうリアカーレベルとか、ござ敷いてものを売っていますとか、毎日そこにはいるんだけども、夜になるとござでまとめてどこかに行っちゃうみたいな、そういうものも付けたり。もちろん許認可の必要な国、TTをやるのに必要な国、一応ライセンスが必要なので、そういったものを取っている、取っていないというのもあるので、TT3、4とかって言うと、ほとんど取っていなかったりするので、そこに売ることが倫理的にどうなんだということも、もちろん判断をしていかないといけないですし。

こうやってレイヤー分けすると、自分たちがディストリビューターと一緒に具体的にどこのレイヤーのTTまでを攻めていけばいいのかということが非常に明確になるし。ただ漠然とMTとか漠然とTTってやっていると、なかなか具体的なターゲットにたどり着かないので、小売レイヤーを定義化していくと。それを社内の共通定義、また、ディストリビューターとの共通定義として認識を合わせるということは非常に戦略上重要なので、ぜひ皆さんの会社でも参考にしてみてください。

それでは今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。