第200回 中国/ASEAN/インド 販売チャネル構築 発掘選定 その1
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、前回から引き続き、製造業が販売チャネルを構築するときに大変重要になる3つのことを前回お話しましたが、その3つのことの、今日は1個目、発掘選定についてお話をしたいと思います。日本の製造業は、B2CでもB2Bでも、海外展開をする際に、販売チャネルの構築が非常に弱いと言われていて、強固な販売チャネルをつくるためには3つのことが重要ですよという話を前回しました。1つが、いかに優れたディストリビューター、自分たちに適したディストリビューターを発掘選定するかということと、その発掘選定したディストリビューターといかに契約交渉するかということ。そして、契約交渉した後に、いかにそのディストリビューターを管理育成するかという、この3つが大変重要であるというお話をしました。今回は、この一番最初の発掘選定というところについて、詳しくお話をしていきたいと思います。まず、前回も少しお話したんですが、ディストリビューターをかなりご縁的要素で決めているケースが非常に多いというのが日本企業の製造業の1つの大きな過ちでございます。これは決して中小企業だけじゃなくて、大企業も、例えば、中小企業の場合はもう全くご縁なんだけども、大企業の場合はある程度スクリーニングしたうえでのご縁とか、紹介をしてもらった中でのご縁とか、もしくはそこのご縁で決めて、一応、バックグラウンドチェックは取っているんだけども、もうここでやることは決まっている前提でのバックグラウンドチェックであったり。要は、こことやるかどうかをまだ決めていない状態でのバックグラウンドチェックではなくて、もうある程度決まっているうえでのバックグラウンドチェックだったりするので、全く意味が違ってきたりする。なので、中小企業でも大企業でも、結構、この日本企業ってご縁要素が抜けきらないというのが、このディストリビューターの選定発掘、選定でよくあるパターンで。
ちょうど、ちょっとスライド2のスライドに切り替えていただいて。まさにこういうことなんですけども、自分たちが、今、手の届く限られた選択肢から集めたディストリビューターの中から一番いいところどこなのか、一番気が合うところどこなんだ?という決め方をしているわけですよね。そうすると、手が届かなかったところはどうするんだ?という話で、もしかしたら手の届いていないところにもっといいディストリビューターがいたかもしれないと。そういうものは端から無視をしているケースがあって、あくまで自分たちの手の届く、この手の届くというのは、自分たちがたまたま探したとか、金融機関に紹介してもらった、地元政府に紹介してもらって、こういう手の届く範囲での選択になってしまっている。
一方で、スライド3に切り替えていただいて、本来はディストリビューターなんていうのは、各国にそんなにたくさんないです。例えば、分かりやすく、Fast Moving Consumer Goods、FMCG、食品・飲料・菓子・日用品等の業界だと、ASEANで1カ国、日本の大手の消費財メーカーが付き合えるところなんていうのは、候補として挙げられるのは、本当に厳しい目で見たら5社、本当に候補として検討できるのは10社、Maxどれぐらいがロングリストとしてあるかと言ったら、50社、40~50社がいいとこなんですよね。これは、ノンフード、それからフードのカテゴリー、それぞれ含めて。そうすると、高々数十社、これが100社だろうが、200社だろうが、万単位でない限り、やっぱり全部をこの図の通り、まずリストアップをして、そして、そこに絶対評価をかけて絞り込むということをやるべきで。そうすると、自分たちの手の届かなかった範囲も網羅的に見れる。それをやらないと、本当に適しているところが…。スライド2に戻してもらってください。このA社と始めたんだけど、A社の王さんと始めたんだけども、実はB社の陳さんのほうがよかったじゃんみたいな。これ、なんで王さん陳さんと言っているかと言うと、世界中のディストリビューターの大半は、特にアジア、ASEANは華僑なんですよね。なので、中華系の人が非常に多いので、アジアは。なので、陳さん、王さんと言っていますけど、A社の王さんよりもB社の陳さんのほうが後で考えたらよかった。でも、自分たちが手が届く範囲が、このA社の…王さんと言ったかな、王さんで、B社の陳さんというのは手が届かなかったから、そのときには分からなかったみたいなケースだと、これはなかなか、ストラテジック、戦略的とは言えないので。スライド3に戻してください、このように絞り込んでいくと。
この絶対評価ってどういうことかと言うと、自分たちが5年ぐらいで30億ぐらいまで、例えば、消費財でやりたいと言っているのに、売上が10億しかない会社とやっても、これはなかなか難しい。やっぱり100億200億あるようなディストリビューターとやらないと、なかなか30億40億を数年でやっていこうというのは難しいので、そういう規模の小さいところはまず消去になるし。例えば、自分たちと競合する商品を扱っているところはNGだったりするわけですよね。そうすると、それが消去になる。だから、自分たちが絶対的にこういう会社は駄目だという絶対条件を付けて、その絶対評価で絞っていくということをまずやっていくんですよね。そうすると、母集団が50とかだった場合にそれがどんどん、どんどん、絞られてきて。絞られてきて、最終的には5~10社ぐらいに残っていく。そのときに初めて、相対評価というものを使ってそれぞれを比べるわけですよね。残った10社を比べて点数をつけていく。そして、どこが自分たちにとって一番いいんだ、悪いんだということを見ていく。そうやって絞り込んでいかないと、見えていなかった部分というのが、非常にいいところがあったら、これは非常にもったいないことになるので、あくまで全部を網羅的に絞り込むということが非常に重要で。さらに言うと、自分たちの競合のディストリビューターと比較するということもやらないといけないんですよね。比較してどうなんだということを見る。これも、この最後の相対評価に入れたらいいと思うんですよね。絞り込んだ10社を相対的に比較するということもそうなんだけども、おそらく、この10社の中に、もしかしたら自分たちの競合のディストリビューターも入っていると思います。そういった面も含めて、競合のディストリビューターと比較するということもやっていくということが大変重要で。
スライド4をちょっと出してもらって、どういう情報を集めてディストリビューターを見ていくのか、絶対評価を繰り広げるのか、相対評価をするのかと言うんですけど、こういうような情報を集めていくわけですよね。当然、会わないと出てこない情報というのが、当然、下のほうがまさにそうですけども、そういう情報もあります。ただ、会わなくていい範囲で集められる情報、会わないと集められない情報、そんな情報もあるので、弊社みたいな会社は、常にこういう情報を半年、1年ごとに世界中のディストリビューターの情報を更新していますので、いろんな産業、インダストリーで、また何か要望があればぜひご連絡いただければと思いますけど、こういう情報を集めてくるというのが1つですね。
スライド5にいってもらって、結構すごく重要なのは、これは気を付けなきゃいけないんですけど、ディストリビューターの機能なんですよね。自分たちがどういう機能をディストリビューターにお願いするのかということが大変重要で。日本だとディストリビューターって、言ったら自分たちの商品を売ってくれる人だと思うんですけども、アジア新興国の場合は、デリバリーの機能しか持っていない。セールスができないディストリビューターなんていうのは全然いるわけですよね。これは本当に不思議なんですけども、デリバリーしかできないって、それ、佐川やヤマトと一緒じゃんという話なんですけど、ベトナムなんか、まさにこのセールス機能を持っていないディストリビューターが大半でございまして。セールス機能を持っているディストリビューターなんていうのは10社ぐらいしかいないんですよね。トップ10ぐらいの、上のディストリビューターしかセールス機能を持っていなかったりするので、本当にどういう機能を持たせるかということが非常に重要。デリバリー機能、セールス機能、それから、マーチャンダイズ機能、それから、輸出でやる場合はインポートライセンスを持っていないと、これ、ディストリビューターとしては使えないので、こういう機能を持っているかということもしっかり見ていかないといけない。プロモーション機能は、別に、どこの国でもプロモーション会社はあるので、それはまた別個にしたほうがいいので。今、ここで赤枠でくくってありますけど、デリバリー、セールス、それから、マーチャンダイジング、輸入であったらインポートのライセンスを持っているというところに絞っていったらいいんじゃないかなというふうに思います。
発掘選定に関しては、ちょっと今日、時間もだいぶ経ってしまったので、また次回、引き続きやっていきたいと思いますので、今日はこれぐらいにしたいと思います。それでは、また次回、皆さん、お会いいたしましょう。