第201回 中国/ASEAN/インド 販売チャネル構築 発掘選定 その2
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も前回に引き続き、ディストリビューターの発掘選定についてお話をしていきたいと思います。今日はその2になるんですかね。前回、ディストリビューターの選定で、発掘選定というのは、自分たちが手の届く範囲からの選択ではなくて、網羅的に選択をして、それを絶対評価で絞り込んで、最終的には相対評価をしてくださいと、そういう話をしたと思います。そういうことをしていくと、ちょっとスライドを切り替えてもらって、6番のスライドに切り替えてもらって。この図のように、この図は、横軸が製品分類が近いと遠い。どういうことかと言うと、例えば、分かりやすく、消費財、食品とか日用品、FMCGだと、自分たちが食品メーカーであれば、洗剤なんかを扱っているディストリビューターというのは、取り扱い商品が遠くなるので、図のこっち側になるわけですよね。一方で、近いということは、食品を扱っているディストリビューターだったら、こっちになる。アジア新興国のディストリビューターって、フード系かノンフード系か、その両方をやっているかって、いずれかになるわけなんですけど、結構、フードに強い、ノンフードに強いという、この2つに分かれていて、両方強いというのはそんなに多くないんですよね。そうすると、やっぱり、ノンフード系にフードをやらせてもなかなか、同じ小売に行っているは行っているんだけど、レーンが違うから全くもってお話にならないというのがあるので、このどっちに強いかというのは非常に重要なので、これが横軸が1つです。縦軸が、企業規模がでかいか小さいかですよね。これ、ディストリビューターの商売って何かと言うと、商品をディストリビューションする、セールスしてデリバリーするということだけじゃなくて、キャッシュを負担をする、回すというのが問屋のビジネスの1つのメリット、なぜメーカーが問屋を使うかと言ったら、ディストリビューターを使うかと言ったら、そこも1つなわけですよね。そうすると、規模がでかい会社はそれだけキャッシュを回せることになりますので、たくさん売上をやりたいというプリンシパル、つまりは、メーカーは規模のでかいところがいいわけですよね。これからちょっとずつやっていくと言うなら、小さいところでもいいんでしょうけども。でかいプリンシパル、日本の消費財メーカーは、でかいところと付き合っていかないといけないので。
この図で言うと、自分たちの商品分類に近くて、なおかつ企業規模が大きいという、このカテゴリー、右上のカテゴリーが一番いいわけなんですよね、お付き合いするには。ただ、これらの企業って、残念ながら日本のメーカーというのは、もう先駆者ではないので、すでに先駆者がいるとなると、もう優秀なところって取られていて。そうすると、どこへ行けばいいんだということになるんですけど。じゃあ、まず、規模がでかいほうがいいと。だって、どのみちお金が回らないんだったら、売上が上がらないから規模がでかくなきゃ駄目だということで、じゃあ、ノンフードに行くかというのが、もう1つの選択肢。もしくは…。この一番左下ってないですよね。規模も小さくて、カテゴリーも違うって、ここを選ぶ必要は全くないので、ここの左下は消えるわけですよ。そうすると、この右上が駄目なんだったら、左上に行くのか、右下に行くのかという、こういう選択肢になるんですが、私の経験則から言うと、なかなかこのカテゴリー違いのところ、規模が大きいけどカテゴリー違いのところは、オーナーが実はもう別会社をつくって、「今ノンフードが得意なんだけども、もうフード専門のディストリビューションをしっかりやるんです。これだけの経営資源を取り揃えて、これだけ投資をしていくから、一緒にやりましょう」みたいな話でない限り、ほぼうまく配荷されない。「やってみる」でやらせてみてもなかなかうまくいかないので、それぐらいの経営資源の投資をするという決断がオーナーにあって、まさにそういう状況にポーンとたまたまわれわれが入っていって、うまく滑り乗っていったというケースだったらありなんですけど、たいがい、そんなの万に1つもないので、たいがいの場合は駄目ですと。そうなってくると、この右下の分野。これ、右下というのも極端なので、この右真ん中上ぐらいのところから選んで、そして、それをちょっとずつ成長させていくというのが現実的なのかなというふうに思います。
結構、アジア新興国市場、ディストリビューターが椅子取り合戦になっています。欧米の先進的なグローバル消費財メーカー、ネスレはユニリーバやP&G、コカ・コーラ、ペプシコなんかは、ディストリビューターがまだディストリビューターと呼べない状態から、彼らが育成して育てていっているわけですよね、ディストリビューターに。なので、ものすごく、ディストリビューターも彼らには感謝をしていて、「われわれはP&Gとともに成長した」「われわれはネスレとともに成長した」ということをディストリビューターが言うので、決して彼らを裏切らないし、彼ら以外の競合製品を扱ったりはしないので。そう考えると、やっぱり椅子取り合戦になっているというのは1つあるので、急がなきゃいけないというのは、日本の消費財メーカーには、消費財の分野ではあると。これがB2Bになっても、似たような状態で、日本企業というのは、早くから行くというのはなかなか難しいので、どうしても先駆者になりきれないところがあるので、この椅子取り合戦になっているということは1つ認識をしないといけないと。
あと、ずっと絞り込んできて、最終的に、この絞り込みって何を…。スライドの3を出してもらっていいですか。絞り込めと、網羅的にディストリビューターをロングリストをつくって、そこからミドル、ショートと絞り込んでいく過程で絶対評価と相対評価を繰り広げて絞り込んでいってくださいねという話を前回もしたと思うんですけども。ここって、スキルセットを見るんですよね。スライド7に切り替えてもらって。ディストリビューターを選定するときに重要な要素というのは、スキルセットとマインドセットなんですよ。この2つを使って絞り込んでいく。さっき説明した、すみません、また3に戻ってもらって、スライド3のこのスキルセットというのは、僕、どういうことかと言ってると、提案力と、それから配荷力と資金力、この3つが、僕は大きなディストリビューターのスキルセットだと思っています。いわゆるフィジカルなスキル、能力ですね、ケイパビリティ、これが何を指しているかと言うと、この小売提案力、それから、小売への配荷力、そして、資金力と。この3つが非常に重要なので、これをどう他社と比べていくか、相対評価で比べるか。スライド7に戻してもらって、比べていくかということはすごく重要。
でも、もっと重要なのって、やっぱり最後はマインドセットで。絞り込んできて10社になった、5社になったと。この状態のときに、もうすでにだいぶスキルセットという意味ではしぼり込まれてきているので、ここまで一旦絞り込んだら、今度はスキルセットよりもマインドセットを重要視する必要があって。このマインドセットってどういうことかと言うと、企業理念であったりとか、社風であったりとか、あと、社長の人柄。アジア新興国の華僑のディストリビューター、最大のポイントは、スーパーワンマンであるということです。ものすごいリーダーシップでいろんなことを決めていくので、いくら下といろいろ調整しても、上が「やらない」と言ったら一気にやらないので。仮に下がいくら「やらない」と言っても、上が「やる」と言ったら、一気にやるわけなんですよね。そうすると、必ずこの商談自体はオーナー社長と話さないといけないんですけども、このオーナー社長のマインドセットが本当にどうなのかと。自分たちの商品のことをどれぐらい興味を持ってもらっていて、どれぐらい熱量がそこにあるのかということをしっかり見ていかないと、なかなか一緒にやっても長続きしない。これ、新しい商品をやるということは、ディストリビューター側も2~3年投資をすることになるんですよね。そうすると、それに対してどれだけ本気でついてくる意思があるのかということは、もうこの絞り込みをする段階で会っているわけですから、この後に話す契約交渉なんかでもそうですけども、会って会話をすれば、彼らの熱量、彼の熱量が分かるので、そのしっかり熱量を測って、マインドセットで最後は決めていく。いくらスキルセットが高くても、マインドセットが弱かったら、これ絶対成功しないので、ある程度、絶対評価と相対評価で絞った後は…、ごめんなさい、ある程度、絶対評価で絞った後は、この相対評価で一旦スキルセットは見るんだけども、最終的にはマインドセットを選んでほしいというのが、選ぶべきだというのが私の意見でございます。
その他、少しディストリビューターの紹介をしていきたいと思いますが、スライド8に切り替えてもらって。これ、上は比較的大きなディストリビューターで、倉庫もしっかりしているし、社屋もしっかりしていますよね。下は本当にデリバリー機能しか持っていない。この番組でも、前回か、お話しましたけども、本当に数人でやっていてデリバリー機能しか持っていないようなディストリビューター。大きなディストリビューター、スライド、今度は9を見せてもらって、大きなディストリビューター、社内はこんなふうになっていまして、結構、下のほうに黄色い服を着た男の人が写っていますけど、これはオーナーの、いわゆる一族系の、ファミリーの子なんですけども、だいたいファミリーが企業を牛耳っていますので、中にP&Gの部屋があったりとか、営業マンにGPSを持たせていたりとか、あと、女の子が白板を見て自分の今日のタスクがちゃんとできたかって数字を入れて帰ったりしていますけど、非常に近代的なディストリビューターですよね。一方で、スライド10を見てもらうと、これ、さっきのスライド8のときに見せた、本当にデリバリーしかできないようなディストリビューターですけども、本当に社長が旦那さんで、奥さんは副社長なんですけど、旦那さんはだいたいバイクの上で日中寝ているので、奥さんが切り盛りをしているという、こういうディストリビューター。社員は10名ぐらいしかいないんですかね。本当にデリバリーだけやって、マージンもこんな薄い薄いマージンでやっているという、こういう会社もあれば。あと、スライド11なんかは、各国のこれ、いろんな会社のディストリビューターを6社写真写っていますけども。もう、見てもらうと分かるんですけど、息子とか娘と一緒に写っていますよね。だいたい海外のプリンシパル…、プリンシパル、メーカー側ですね、メーカーがこうして行くと、自分の息子、20代30代ぐらいの息子が出てきて、ASEANとか、アジアASEANのディストリビューターって、だいたい今、第二世代ぐらいなので、こうした息子がアメリカとかカナダ、英国で教育を受けてきていて、結構マーケティングに知識がある、お父さん、商売自力でつくってきた本当に商売人というお父さんなんですけど、息子は逆に、娘さんなんかも非常にマーケティングマインドを持ったようなご子息がいて、こういったのが出てくるので、こういった子たちといかに仲良くして商売を進めていくか、ビジネス関係を深めていくかって非常に重要で。これ、息子と海外のメーカーが密になってやり取りしているのをお父さんが見たら、もうこんなうれしいことはないので、こういうことをしっかりやっていくというのは、これ、少しちょっと昭和の営業の匂いがしますけども、でも、まさに現場はそういう状況になったりもしていますので、問屋というのはまだまだ泥臭い、脂っこい人たちが切った張ったやる、そういう市場ですから、そういう昭和の泥臭い営業が意外に通じたりするので、そんなところも1つ考慮してもらえればなというふうに思います。
今日で、ちょっと長くなりましたけど、その3まで言ったんですかね、強固なディストリビューターをつくるにはどうすればいいのかということを、3つの重要な要素がありますよと。1つが発掘選定、1つが契約交渉、1つが管理育成ですよと。その一番最初の発掘選定について2回に分けたのかな、3回に分けたんですかね、お話をしてきましたが、どっちですか、2回に分けたんですか、3回に分けたんですか?発掘選定はどっちですか、2回ですか?…2回ですか?2回に分けてやりました。なので、今日はこれぐらいにして、また次回、契約交渉の話をしていきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。それでは、また次回お会いいたしましょう。